働き方改革の一環として注目を集める「リモートワーク」。メリットが多い印象ですが、セキュリティのリスクなどデメリットもいくつかあるため、導入するには十分な理解が必要です。
また、リモートワークを効果的に機能させるためには、デメリットを理解した上での対策も重要になります。
この記事では、リモートワークの導入による4つのデメリット、4つの取るべき対策を紹介していきます。リモートワークの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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リモートワークの導入によるデメリットとは?
リモートワークの導入にあたり、意外と知られていないのがデメリット。
導入前にデメリットを理解しておけば、事前に対策を取ることができ、業務の生産性も向上しやすくなるでしょう。
なお、総務省が行った「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年)によると、既にリモーワークを導入した企業と導入を検討している企業が以下のような課題を挙げています。
次の章からは、上記の4つのデメリットについて詳しく解説していきます。
リモートワークのデメリット①情報セキュリティのリスクが高まる
リモートワークの導入で最も懸念されているのが、情報セキュリティの確保です。
リモートワークは、オフィスではなく外部で作業を行うため、情報漏洩のリスクが高まってしまいます。
例えば、「公共Wi-Fiを利用したときに仕事のデータを覗かれる」「パソコンやタブレット端末を紛失してデータが盗まれる」というケースが挙げられます。
情報が漏洩してしまうと、利益の損失や企業価値の低下に繋がりかねません。リモートワークを導入する際は、パスワード設定の義務化などセキュリティ意識の徹底が必要です。
リモートワークのデメリット②対象業務が絞られる
リモートワークの導入は、対象業務が絞られることもデメリットとして挙げられます。
業務の幅が狭まると、作業がマンネリ化することも考えられ、「モチベーションが上がらない」「キャリアアップに繋がらない」という状況を生み出してしまう場合もあります。
社員のモチベーションやキャリアアップは、生産性に大きく関わることなので、リモートワークの導入は慎重に判断するようにしましょう。
まずは限定的にリモートワークを導入し、どれくらいの業務をこなせられるのか、どのような経験を積めるのかを確認してみると良いでしょう。
リモートワークのデメリット③適切な労務管理が難しい
遠隔で作業を行うリモートワークは、労務管理が難しいのもデメリットの1つです。
通常の業務とは異なり、リモートワークは直接的に社員を管理できないため、長時間労働を防ぎにくい傾向があります。
労働時間が長くなると、少しずつ疲労やストレスが蓄積して、モチベーションや生産性が低下することも考えられます。
遠隔で労務管理をするためには、メールで始業・終業を報告したり、勤怠管理システムを利用したりするなどの工夫が必要です。
リモートワークのデメリット④社員同士のコミュニケーション不足
リモートワークを導入すると、通常の勤務に比べてコミュニケーションを取る機会が減少します。
コミュニケーションが少なくなると、情報を上手く共有できず、円滑に作業が進まないこともよくあります。
また、日中1人で作業するため、「孤独感を感じる」など精神的に不安定になってしまう方も多いです。
より良い環境で作業するためにも、チャットツールなどを利用して、コミュニケーションの機会を増やすようにしましょう。
リモートワークの導入を成功させるための4つの対策
ここまでリモートワークのデメリットを紹介しましたが、デメリットを理解するだけでは何も改善されません。
作業の生産性を高めたり、より良い環境を整えたりするには、デメリットを理解して対策を取ることが重要です。
以下の4つのポイントを押さえておけば、リモートワークを効果的に機能させられるでしょう。
- 限定的に導入して効果や課題を把握する
- セキュリティ対策を徹底する
- 労務管理に必要な環境を整える
- コミュニケーションの機会を増やす
次の章からは、取るべき4つの対策について詳しく解説していきます。
対策①セキュリティ対策を徹底する
先程も紹介したように、リモートワークのデメリットとして最も懸念されるのが、情報セキュリティの確保です。
情報漏洩を防ぐためには、しっかりとルールを定めることが必要になります。具体的には、以下のようなルールが挙げられます。
- セキュリティソフトのインストール
- 公共Wi-Fiの利用禁止
- 厳重なパスワード設定
- データの暗号化
もし紛失や盗難に遭ったとしても、パスワードの設定やデータの暗号化をしておけば、情報が流出するのを防ぐことができます。
第三者に漏洩すると、取り返しのつかない損害に繋がる可能性もあるので、しっかりとルールを定めて徹底させましょう。
対策②限定的に導入して効果や課題を把握する
リモートワークを導入するなら、一部の社員を対象として限定的に導入するのがおすすめです。
試験的に導入すれば、リモートワークの効果や削減できるオフィスコスト(電気代など)、活用していく上での課題などを把握することができます。
また、社員の中には「完全にリモートワークで作業をしたい」「週○日はオフィスで直接コミュニケーションを取りたい」など、要望を持っている方もいるでしょう。
導入による効果や課題の把握はもちろん、社員へのヒアリングも行って、より良い環境づくりを行っていきましょう。
対策③労務管理に必要な環境を整える
リモートワークは、直接的に社員を管理できないため、遠隔でも労務管理が行える環境づくりが必須です。
勤怠管理システムを利用すれば、社員の労働時間を把握でき、長時間の労働も防ぐことができます。
メールなどで仕事の開始・終了を伝えれば、社員の方も労働時間を意識しやすくなるでしょう。
また、社員にもスケジュール管理を徹底させ、効率良く業務を遂行するように促すことも大切です。
対策④コミュニケーションの機会を増やす
リモートワークを導入すると、社員同士のコミュニケーションが減るので、交流の場を設けることが必要です。
チャットツールやWeb会議システムなどを導入すれば、進捗状況を確認したり、必要な情報を共有したりできます。
また、人と会話をすることで、孤独感の喪失や仕事への不安の解消などメンタルケアにも繋がるでしょう。
リモートワークは、定期的な報告やモチベーションの維持が重要なので、必ずコミュニケーションが取れる場を設けるようにしましょう。
リモートワークは企業にも社員にもメリットが多い
ここまでデメリットを中心に紹介してきましたが、リモートワークはメリットも多い働き方です。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
- 通勤時間を削減できる
- オフィスコストを削減できる
- 育児や介護をしながらも仕事が続けやすい
- 新しい人材を確保できる
リモートワークは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活の両立)を維持しやすいのが魅力です。
好きな場所で仕事をしたり、プライベートな時間を確保できたりするので、社員にとっても働きやすい環境と言えるでしょう。
働きやすい環境であれば、生産性の向上・離職率の低下・人材の確保も期待できるので、企業側にも十分にメリットがあると言えます。
また、オフィスコストの削減にも繋がるので、余計な支出を出さずに業務を遂行できます。
リモートワークはデメリットを理解して対策をすることが大切!
今回は、リモートワークのデメリットや4つの対策について紹介しました。改めて紹介した内容を簡単にまとめてみます。
- 外部で作業を行うため、情報漏洩のリスクが高まる
- 仕事内容によっては、対象業務が絞られてしまう
- 直接管理ができないため、通常よりも労務管理が難しい
- コミュニケーションが減少し、作業や精神に影響が出る場合もある
- ガイドラインを制作して、セキュリティ対策を徹底する
- 試験的にリモートワークを導入して、実際の効果や今後の課題を把握する
- 勤怠管理システムなどで労務管理を徹底する
- 外部ツールを利用して、情報の共有やメンタルケアを行う
効果的にリモートワークを活用するには、デメリットについて深く理解し、予め対策をしておくことが大切です。
特に「セキュリティ対策」と「コミニュケーションツール」は、効果的に活用するための重要なポイントになります。
リモートワークは、社員にとっても企業にとってもメリットが多いので、しっかりルールを定めた上で導入を検討してみてください。