注意するとすぐにふてくされる…。あなたは、そんな部下に悩んでいませんか?
実は、これはあなただけの問題ではありません。この問題で悩んでいる上司は大勢います。
この記事では、注意するとふてくされる部下の特徴や具体的事例、部下が生き生き働き、仕事の成果をあげるようになる道筋を書きました。
これを読めば、あなた一人の問題ではないことがよくわかり、ふてくされる部下が良い方向に変化する方法が見つかりますよ。ぜひ最後まで読んでくださいね。
『注意するとふてくされる部下』のせいで鬱になる管理職
「キレる、スネる、自己中「モンスター部下」の驚異 」というタイトルの記事が日経ビジネス2019年07月16日に掲載されました。筆者は社会学者の河合薫氏です。
最近管理職の男性のウツが増えています。その一因となっているのが、注意するとすぐにふてくされる、自己中心的で、ビジネスマナーに欠ける部下の存在だといいます。
中には、トイレに入ったきり、何時間も出てこない人もいるようで、そういう困った部下を最近では「モンスター部下」というようです。
以前は、パワハラというと上司が部下に対して行うものでしたが、今は、部下から上司へのパワハラが社会問題になってきています。
『注意するとふてくされる部下』の特徴
日経ビジネスの記事「キレる、スネる、自己中「モンスター部下」の驚異 」によると、ふてくされる部下には次のような特徴があるといいます。
- お客さんに対して、マナーが悪い、礼儀がなっていない。
- 突然無表情になり、聞こえないふりをする。
- 自信家で意見が通らないと、感情的になる。
- 評論家のように、偉そうなことばかりいう。
- 自分がやりたくないことは絶対にやらない。
- 周囲が忙しくしていても、気にしない、自分だけ帰る。
- 地味な仕事は、「それ、なんの、意味があるんですか?」という。
- ナイーブですぐに自信を失う。
- 周囲が優しく慰めて褒めなければいけない。
- そうしないとスネ続ける
『注意するとすぐにふてくされる』あなたの部下も、このような特徴がいくつかあるのではないでしょうか。
実力と自己評価のズレが注意するとふてくされる部下を生む
産業医の大室正志氏によると、「部下がふてくされるのは、評価面談で悪いフィードバックをした時」だといいます。
自分を認めてもらいたい、けれど認めてもらえない。自分の自己評価と上司の評価がずれているからふてくされるんです。
自己評価の高さと傷つきやすさ、対人経験の少なさが、部下が上司に対してふてくされる原因です。
対人関係が少ないということは、コミュニケーション力が育たないということです。ふてくされる他、自分の感情を相手に伝える術を持たないのです。
『注意するとふてくされる部下』を生み出す時代背景
ここで『すぐにふてくされる部下』たちが育ってきた、社会の背景を考えてみましょう。ふてくされる部下が出てくるには、原因があります。原因を知ることは、何事においても問題解決の1歩です。
少子化で、いつも自分が中心で育った
少子化で今の多くの若者は一人っ子です。いつも自分が中心で、自分を気にしてくれる大人に囲まれて育った世代です。
結果的に相手の言わんとしていることを察したり、自分の伝えたいことを努力したりして伝えるという、対人関係の基本的な経験値が少ないのです。
SNSがメインのコミュニケーションツールとなったことも、生身の対人関係の経験値の少なさを助長しています。
キャリア教育の負の部分
もう一つは、大学のキャリア教育です。「自分に合った仕事を見つけましょう」「自分の能力を発揮できる、やりがいのある仕事を見つけましょう!」
このような教育が「自分のやりたいことしかやらない若者」を作りだしてしまいました。
あなたは自分を責めなくていい
ふてくされる部下に対して「なんで俺はあいつを上手くマネジメントできないのか」「俺のいい方が悪いんじゃないか」とあなたは、自分自身を責めているかもしれません。
自分の上司に言っても、「お前がどうにかしろ」としか言われない場合もあります。このような状況が続くと、心が折れてしまい、あなたは自尊心を低下させてしまいます。
いじめ問題と同じで、いじめは、いじめられている側が悪いのではないと被害者が認識しすることが、解決の第一歩です。「ふてくされる部下」についても同じです。
先述したとおり、部下はふてくされる以外、自分の感情を表現する方法を知らないのです。上司であるあなたが問題で、部下がふてくされるのでははないと認識しましょう。次に解決策を提示します。
解決策1:注意するとふてくされる部下にはアクティブリスニング
現在ビジネスの現場で活用されている、カウンセリング手法にアクティブリスニングがあります。臨床心理学者のカール・ロジャースが提唱した傾聴姿勢のことで、日本語では、積極的傾聴と訳されます。
部下とのコミュニケーションにも使える、アクティブリスニングの話の聞き方を下のBoxに書きました。
- うなずく。
- 話し手の気持ちに寄り添う言葉を言う。
- 重要なポイントは確認する。
- 聞き手は上手に質問して話し手の気持ちを引き出す。
- 話手の言葉をより適切な表現に変え、話し手の感情を明確化する。
加えてアクティブリスニングでは、態度や、表情、視線など、非言語的なコミュニケーションも大事にします。
アクティブリスニングを活用することで、部下とコミュニケーションが可能となり、問題解決に向かいます。
解決策2:あなたの応援団を作って周囲と問題を共有する
アクティブリスニングで部下と対話をしても問題が解決しない場合は、アプローチを変えましょう。まず順番に3つのステップを踏んで、周囲と協力して部下をサポートします。
周囲の協力が必要な理由は2つです。1つは、ふてくされる部下の問題はあなただけの問題ではないこと。
もう一つは、周囲の理解と協力があるほうが、問題解決の達成率が上がるからです。
ここからは周りの人と協力体制を築いて、部下をサポートする3つのステップについて詳しく解説します。
ステップ1:問題を周囲と共有する
問題を理解し、問題解決のために協力してくれるあなたの応援団を作りましょう。
人間、一人では成功しないのです。『ふてくされる部下問題』を解決したいなら、問題を周囲と共有することが大事です。
ステップ2:協力者を募る
ユニクロ、キリンビール、三菱UFJ信託銀行、多数の企業研修に取り入れられた教育法に原田メソッドがあります。
原田メソッドでは、人間は成功するためには、必ず協力者が必要だという考えから、自分が何かを達成したい時は、誰に何をして欲しいかを明確にし、周囲に協力を求めることを、期日を決めて実行します。
- 会社の上司、同僚、家族、友人、カウンセラーだれでも、あなたの協力者になってくれる人を5名くらいリストアップします。かき出すのは、紙上でもパソコン上でも、どちらでもよいです。
- 協力者に協力してほしい内容を書き出します。(会社の○○上司に相談にのってもらう、妻に自分の状況を理解してもらうなど)
- 協力を依頼する日を決めます。(明日、来週の○○曜日など)
- アポがとれたら、実行します。(上司に相談にのってもらう、妻に話を聞いてもらうなど)
ステップ3:周囲の協力を得ながら部下をサポートする
周囲の協力を得ながらメンタル面と仕事のサポート面で部下をサポートします。くるむようにして部下を育てることが、問題の解決に繋がります。
解決策3:『うちの会社の常識』を共有する
あなたと部下では、会話が成立しづらくありませんか?その原因の一つが、お互いの常識の違いにあると筆者は考えます。
自分の考えや会社の考えを丁寧に部下に伝えて、お互いの常識を一致することができれば、部下も納得して仕事に取り掛かる可能性は高くなるでしょう。
部下はあなたの指示に納得がいっていないだけかもしれません。困った部下と決めつけずに、会社の常識やルールを伝えることで、ちゃんと仕事をする部下を育てることができます。
やる気がでない仕事は、やらなくていいと部下が思っている場合は、部下は上司の指示に従わなければいけないということを伝えましょう。
解決策4:注意するとふてくされる部下に目的を与える
プログラミング教室『TECH::EXPERT』の代表、まこなり社長こと、真子就有さんは、部下を育成するにはポイントがあるといいます。
YouTube動画【上司の9割は「育て方」を知らない】で、まこなり社長は次のように語っています。
- 適切な目標を部下に与えること
- 目標達成を支援すること
やりがいと目標を持ち、成功体験を重ねることで人は変わります。それは『注意するとふてくされる部下』も同じです。
成功体験は、人を良い方向に変化させます。部下の成功体験をサポートし、部下が成功を積み重ね、良い方向に変化していけば、『注意するとふてくされる部下問題』は解決します。
お勧め動画【「モンスター部下にどう向きあうか?」を徹底議論】
ここで、注意するとふてくされる部下にどう対応していけば良いのか、参考になる動画をご案内します。
- タイトル:「モンスター部下にどう向きあうか?」を徹底議論
- チャンネル:News Picks
動画概要
注意するとすぐにふてくされたり、キレたり、拗ねたり、攻撃してくる部下。この問題について、5人の論客がそれぞれの立場から語ります。
- 社会学者の河合薫
- 幸福学の研究をしている慶応大学教授の前野隆司
- ラッシュジャパンの人事部長の安田雅彦
- 産業医の大室正志
- 株式会社圓窓 代表取締役の澤円
- プロデューサーは、パイナップルペン芸人、ピコ太郎こと古坂大魔王
ポイント
組織の中でのパワーバランスの形が、昔と違ってきています。昔は上司から部下へのパワハラが問題だったけれど、今は部下から上司へのパワハラが増えてきています。
この問題は、古い価値観が崩壊し、新しい社会に移行している過渡期だから起きていることです。
そのことをネガティブにとらえるのではなく、新しい働き方の形、みんなが幸せに働ける形を試行錯誤することで、未来は開けてくるのではないか、というのがこの動画のポイントです。
筆者の感想
注意するとふてくされたり、変な行動をしたり、仕事をしない部下の具体的な事例と解決方法についても語られていています。
ふてくされる部下にもさまざまなタイプがある
注意すれば、すぐにふてくされる部下にもさまざまなタイプがあるので、一括りにせず、それぞれのタイプに合わせた異なった対応が必要だという意見は賛成です。
病的な部下には距離をおく
部下の態度があまりにもひどい場合は、上司はノイローゼになります。病気になるくらい人を追い込む部下は、ただのふてくされている人ではありません。
本人自身が生育歴などで問題を抱えている場合があります。部下が病的で、精神的に問題を抱えている人の場合は距離を置く事が大事、だという産業医の大室正志の意見に筆者も同意します。
今、部下にどう対応したら良いのか、悩んでいる人の参考になると思います。
『注意するとふてくされる部下』まとめ
世界的に世の中の枠組みが変わっていく現代、今までの常識「あたりまえのこと」が通用しなくなり、それがあなたを悩ませています。
『注意するとふてくされる部下』については、自分を責めないで、前向きに解決策を探してください、きっと見つかります。
皆が幸せそうにしている会社には、一つ特徴があるそうです。それは「無駄があること」。無駄話や、無駄な空間が人と人とをつなぐコニュニケーションを作り出すからです。
お互いのコミュニケーションを取ることが、難しくなってきている時代だからこそ、良ミュニケーションが取れる場を会社全体で作っていくことが大事ですね。