「ITパスポートって有名な資格だけど、持っていたら転職に有利なのかな?」と気になっていませんか?
特にIT系の未経験者にとって、IT資格の市場価値は分かりづらいですよね。
そこでこの記事では、ITパスポートの転職活動での価値や、資格を活かせる転職先、試験に受かるための勉強方法について解説していきます。
ITパスポートは年々受験者数が増加傾向にある、人気の資格です。ITニーズが急速に進む現代社会で転職活動を成功させるためにも、ぜひ最後まで読んでください。
出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/23116370?title=IT%E3%83%91%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88&searchId=410229178
ITパスポートとは?
ITパスポートとは、社会人としてのITに関する基礎的な知識を証明するための『国家試験』です。
IPA(情報処理推進機構)が、業種や職種を問わず全ての社会人を対象に、ITの正しい理解と、効率的な活用をしてもらうことを目指して、2009年に設立されました。
IPA(情報処理推進機構)は、日本のIT国家戦略を技術面・人材面から支えるために設立された独立行政法人。所管官庁は経済産業省。
2020年度で受験者は累計120万人を超え、50万人以上の合格者がいます。
IPA(情報処理推進機構)の試験ではレベル1~4まである中のレベル1の試験に該当し、情報処理試験の中でエントリーレベルの最も基礎的な試験内容です。
レベル1 | ITパスポート |
レベル2 | 基本情報技術者、セキュリティ |
レベル3 | 応用情報技術者 |
レベル4 | プロジェクトマネージャー等の各種エキスパート試験 |
ITパスポートは転職では役に立たないって本当?
ITパスポートは取得しても転職には役に立たないという話は聞いたことはないでしょうか?
そのように言われる理由としては、ITパスポートを取得していると、進学や就職に有利になるとして、学生にとても人気の資格であることが挙げられます。
そのため、学生向けの資格としてのイメージが強く、社会人になってからはあまり評価されないと思われているのでしょう。
では、実際にはどうなのでしょうか?下の表はITパスポートの公式HPの応募者データを参照した数字です。
ITパスポート 応募者データ | |
社会人/学生の割合(令和2年度) | 社会人:66%、学生:34% |
年代別割合 | 10代:16%、20代:52%、30代:16%、40代:16% |
学生向けの資格のイメージがありますが、社会人になってからの取得の割合が66%と、十分に就職後も活用でき、評価される資格であることが伺えます。
また、応募者の年代としても、30代と40代がともに16%と高いことからも、若い世代だけでなく、幅広い年代の社会人に評価されています。
次章では、ITパスポートを取得することで得られる、転職活動においてのメリットについて確認していきましょう。
転職でどう評価される?ITパスポート取得のメリット
ITパスポートを取得することで、転職活動においてどのようなメリットがあるのでしょうか?
この章では、ITパスポート取得で得られるメリットを3つ紹介していきます。
- IT分野の知識の客観的な証明になる
- IT業界への転職の本気度をアピールできる
- より上位の資格取得を目指せる
IT分野の知識の客観的な証明になる
転職活動の面接で「私はIT分野の知識があります!」と自己アピールするだけより、正当な評価を得られます。
昨今では、『ITアレルギー』と言う言葉もあるように、IT分野に対して苦手意識を持っている社会人も少なくありません。
そこで、ITパスポートを持っていることでITに対して苦手意識が無いということを証明できるため、パソコンを使ったデスクワークの多い会社にとっては強いアピールポイントになります。
IT業界への転職の本気度をアピールできる
転職を希望する業界がIT業界であれば、転職に向けて具体的に行動した実績になるので、IT業界への転職の本気度をアピールできます。
より上位の資格取得を目指せる
ITエンジニアへの転職を希望する場合は、ITパスポートの資格を取得している程度では、ほとんどアピールになりません。
システムエンジニアやプログラマーなどのITエンジニアへの転職希望の場合は、基本情報技術者や、応用情報技術者の資格を保有していることが望ましいです。
しかし、未経験からいきなりそれらの上位資格を取得することは難しいため、まずはITパスポートを取得することで、上位資格取得のための基礎固めが出来ます。
よって、未経験からITエンジニアへの転職を希望している場合でも、ITパスポートの取得は大きなメリットと言えます。
ITパスポートが活かせる転職先3選
この章では、ITパスポート試験で得た知識が仕事で活かせて、転職活動の面接でもアピールできる職種について紹介していきます。
ITパスポートが活かせる転職先として、主に以下の3つが挙げられます。
- IT企業の営業職
- 一般事務職
- ITサポート事務職
IT企業の営業職
IT企業の営業職も、ITパスポート試験で学んだ知識を活かせる職種です。
もちろん、転職後にも必要なITに関する知識を学ぶでしょうが、その背景となる知識を網羅的に知っていると、営業の現場で他の営業と大きく差をつけることが出来ます。
また、IT系の会社では、営業職に対してもIT系の資格取得を推奨している場合も多く、ITパスポートを含むIPA関連の資格取得者に対して、資格手当や一時金を出している場合もあります。
このことからも、ITパスポートを取得していれば、転職後に役に立つだけでなく、転職活動時にも大きなアピールになるでしょう。
一般事務職
パソコンを使った書類の作成などの作業が多い一般事務職も、ITパスポートを活かすことが出来る転職先です。データベースやネットワークに関する知識を持っていれば、活かせる場面も多いでしょう。
また、事務職は少ない求人に多くの方が応募している職種です。他の転職希望者と差別化を図る為にも、ITパスポートは大いに役立ちます。
特に総務部などの管理部門の部署の事務への転職を考えている場合は、ITパスポートを取得していることで、経営に関する基礎知識を持っていることを証明できるので、有利になるでしょう。
ITサポート事務職
ITエンジニアやプロジェクトマネージャーをサポートするITサポート事務職も、ITパスポートを活かすことが出来る転職先です。
一般事務職と違い、顧客とのやり取りや、ソフトウェアのテスト等もサポートする場合が多く、身に付けたITに関する知識を大いに役立てることが出来ます。
ITエンジニアほど高度なスキルを求められるわけではないので、転職活動において、ITパスポートを取得していれば十分にアピールになるでしょう。
ITパスポートの試験概要
前章までは、ITパスポートの市場価値や資格取得のメリット、資格を活かせる転職先について、紹介してきました。
この章以降では、ITパスポートの『試験概要』や『試験を通して得られるスキル』、『合格のための勉強方法』などを順番に紹介していきます。
ではさっそく、この章でITパスポート試験の概要について、確認していきましょう。
- 受験資格
- 受験料
- 試験の開催日時
受験資格
ITパスポート試験には、年齢制限や実務経験などの受験資格はありません。
最年少では『8歳の小学生3年生』、最年長では『83歳』の方が、ITパスポート試験に合格しています。
受験料
ITパスポートの受験料は現在税込み5,700円ですが、2022年4月からは税込み7,500円に改定されます。
新型コロナウイルス感染対策や試験のコンピュータ化などによって費用が増えたことが、値上げの原因とされています。
現行5,700円 → 改定後7,500円(2022年4月以降)
試験の開催日時
ITパスポート試験は全国で実施されていて、各会場で毎月数回、主に土日に試験が行われています。
試験の実施時間は、受験する都道府県や会場によっても異なりますが、通常は『午前』、『午後』、『夕方』の3回実施されています。
試験の開催日や日時は、受験する会場によって大きく異なるので、下記リンクより、近くの試験会場を検索してみましょう。
転職活動でアピールできる『ITパスポート試験』で得られる知識
この章では、ITパスポート試験の出題内容について解説していきます。
ITパスポート試験を通して、具体的にどういった知識が得られるのか、実際に試験で出題された過去問も見ながら確認しておきましょう。試験内容は大きく分けて下記の3つに分かれます。
- ストラテジ系
- マネジメント系
- テクノロジ系
ITパスポート試験は、120分の試験で、4択の問題が100問出題されます。また、試験方法は筆記試験ではなく『CBT方式』です。それでは一つずつ解説していきます。
CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピュータを利用して実施する試験方式のことです。
受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。
ストラテジ系
ストラテジ系は、財務や法務、経営戦略など、経営全般に関する知識を問う問題です。『約35問』出題されます。下記がストラテジ系の過去問の一例です。
問題
ABC分析の事例として、適切なものはどれか。
- 顧客の消費行動を、時代、年齢、世代の三つの観点から分析する。
- 自社の商品を、売上高の高い順に三つのグループに分類して分析する。
- マーケティング環境を、顧客、競合、自社の三つの観点から分析する。
- リピート顧客を、最新購買日、購買頻度、購買金額の三つの観点から分析する。
( 引用:令和3年度 ITパスポート試験 ストラテジ系 問21)
正解 ②
ABC分析(パレート分析)とは、売り上げ、販売個数、在庫などの指標から優先順位を決め、A、B、Cの3つのグループに分けて管理する方法のことをいいます。
マネジメント系
マネジメント系は、システム開発やプロジェクトマネジメントなどのIT管理に関する知識を問う問題です。『約20問』出題されます。下記がマネジメント系の過去問の一例です。
問題
プロジェクトマネジメントのプロセスには、プロジェクトコストマネジメント、プロジェクトコミュニケーションマネジメント、プロジェクト資源マネジメント、プロジェクトスケジュールマネジメントなどがある。システム開発プロジェクトにおいて、テストを実施するメンバを追加するときのプロジェクトコストマネジメントの活動として、最も適切なものはどれか。
- 新規に参加するメンバに対して情報が効率的に伝達されるように、メーリングリストなどを更新する。
- 新規に参加するメンバに対する、テストツールのトレーニングをベンダに依頼する。
- 新規に参加するメンバに担当させる作業を追加して、スケジュールを変更する。
- 新規に参加するメンバの人件費を見積もり、その計画を変更する。
(引用: 令和3年度 ITパスポート試験 マネジメント系 問39 )
正解 ④
プロジェクトコストマネジメントとは、「プロジェクトを承認済みの予算内で完了するためのコストの計画、見積もり、予算化、資金調達、財源確保、マネジメント、およびコントロールを行うためのプロセスからなる」と位置付けられています。
テクノロジ系
テクノロジ系は、ネットワークやセキュリティ、データベースなど、IT技術に関する問題です。『約45問』出題されます。下記がテクノロジ系の過去問の一例です。
問題
情報システムにおける二段階認証の例として、適切なものはどれか。
- 画面に表示されたゆがんだ文字列の画像を読み取って入力した後、利用者IDとパスワードを入力することによって認証を行える。
- サーバ室への入室時と退室時に生体認証を行い、認証によって入室した者だけが退室の認証を行える。
- 利用者IDとパスワードを入力して認証を行った後、秘密の質問への答えを入力することによってログインできる。
- 利用者IDの入力画面へ利用者IDを入力するとパスワードの入力画面に切り替わり、パスワードを入力することによってログインできる。
( 引用:令和3年度 ITパスポート試験 テクノロジ系 問60 )
正解 ③
二段階認証とは、IDとパスワードでの認証後に、別の方法で追加認証をする仕組みです。2回目の認証として、ワンタイムパスワードや生体認証、秘密の質問への回答などがあります。
独学でも合格できる?ITパスポートの難易度は?
ITパスポート試験はIT分野の未経験者も多く受験する試験です。
そこでこの章では、ITパスポートの難易度、未経験者が合格するために必要な勉強時間について解説していきます。下記の3つの項目にそって順番に確認していきましょう。
- 合格基準
- 合格率
- 試験合格のための勉強時間
合格基準
総合評価点1000点満点中600点以上かつ、前章の出題内容で紹介した3つの分野である『ストラテジ系』『マネジメント系』『テクノロジ系』で各1000点満点中300点以上で合格です。
- 総合評価点…6割以上
- 分野別評価点…各分野で3割以上
問題数の多さや出題範囲の広さから、難しい試験だと感じるかもしれませんが、全体で6割以上正解すれば良いので、しっかり勉強すれば合格することはそこまで難しくありません。
また、各分野とも基本的な知識を問う問題しか出ない為、未経験者が独学で合格することも十分に可能です。
合格率
ITパスポート試験の合格率は、平均して50%前後なので、受験者の2人に1人が合格している計算になり、国家資格の中では、かなり合格率が高い試験です。
試験合格のための勉強時間
試験合格のために必要な平均的な勉強時間は、IT関連の仕事をしている社会人や、情報系の学生で100時間程度とされています。
しかし、IT系の分野が未経験の人は、180時間ほど必要です。つまり、1日2時間の学習時間で3か月ほどかかります。
試験の申し込みの際は、自分がどれだけ試験勉強の時間を確保できるかを考え、受験する日程を決めましょう。
ITパスポートのおススメの勉強法3選
この章では、ITパスポート試験に合格するためのおススメの勉強法を3つ紹介していきます。
筆者である私が基本情報技術者試験に合格した際にも、実際に行っていた勉強法です。ITパスポート試験にも十分通用する内容なので、ぜひ参考にしてください。
- まずは参考書を購入しよう!
- 過去問道場をブックマークしよう!
- 実際の過去問を試験と同じように解こう!
参考書を購入しよう!
まずは、参考書を最低一冊は購入しましょう。特に、IT系未経験の方には必須です。参考書を選ぶ際は、下記の2点に注意して選びましょう。
- イラストが多くわかりやすい
- 出来るだけ最新のもの
ITパスポートの勉強を始めると、特に初学者の方にとっては聞いたこともないIT用語や、イメージしずらいIT技術が多く出てきます。そんな時イラストの多い参考書だと、早く正確に理解することが出来ます。
また、IT技術は日々進化しているため、ITパスポート試験にも、最新のIT技術についての問題の出題が多いです。なので、参考書は出来るだけ最新のものを購入しましょう。
下記の参考書はイラストも多くてわかりやすく、毎年最新のものが出るので、おススメです。
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過去問道場をブックマークしよう!
IPA関連の試験対策の有名なwebサイトとして『過去問道場』があります。もちろんITパスポート試験にも対応しています。しかも無料なので、絶対に利用しましょう。
この過去問道場では、選択した問題分野や試験年度から、ランダムに1問ずつ問題が出題され、回答を選択すれば、すぐに回答と解説が表示されます。
なので、通勤時間や休憩中など、少しの隙間時間を利用して試験勉強が可能です。さっそく下記リンクよりサイトへ移動し、ブックマークだけ済ましておきましょう。
実際の過去問を試験と同じように解こう!
試験日が近づいてきたら、過去問の問題集を用意し、本番と同じ試験時間で解いてみましょう。
直前すぎると、苦手分野がわかったところで対策する時間が取れないので、試験の1か月~2週間ほど前に実施するのがおススメです。
ITパスポートのホームページにも過去問と回答が掲載されていますが、解説は載っていないので、必ず問題集を用意しておきましょう。
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ITエンジニアへの転職希望なら、基本情報技術者を目指そう!
ITパスポート取得のメリットの章でも説明した通り、ITエンジニアへの転職を希望するなら、ITパスポートを取得していたとしても、ほとんどアピールにはなりません。
IT業界の現場では、最低でもITパスポートの上位資格である『基本情報技術者』を取得している、または同程度のスキルや実績があることが求められます。
レベル1 | ITパスポート |
レベル2 | 基本情報技術者、セキュリティ |
レベル3 | 応用情報技術者 |
レベル4 | プロジェクトマネージャー等各種エキスパート試験 |
基本情報技術者は、ITエンジニアの登竜門と呼ばれていて、20代で取得しているとIT業界では高い評価が得られます。また、30代でも最低限の技能を有している証明になるので、人気の資格です。
しかし、基本情報技術者を取得するためには、プログラミングや情報数学など、より深いITの知識が求められます。なので、未経験の方がいきなり取得するのは難しいです。
そこでおススメなのが、基本情報技術者を受験する前に、まずはITパスポートを取得して、基礎知識をしっかりと身に付けることです。
ITエンジニアへの転職を希望するなら、第一歩として、まずは焦らずにITパスポート試験を受験しましょう。
【まとめ】ITパスポートを取得して転職を成功させよう!
今回は、ITパスポート試験の説明と、取得するための勉強方法、資格を活かせる転職先について、解説しました。
ITパスポートは『IT化された社会で働くすべての社会人の皆様に』をコンセプトに作られた国家資格です。
IT業界への転職を希望している方はもちろん、それ以外の業界でも仕事に生かすことができる資格ですので、取得していて必ず損はありません。
転職活動も資格の勉強も、モチベーションと行動力が大事です。転職活動を成功させるためにも、さっそく参考書を購入し、下記リンクより試験に申し込みましょう。
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