管理職になると、今までの仕事内容とは異なってきます。また仕事での責任や権限もより重くなり不安を感じる方が多いかと思います。
仕事の内容のほかにも、手当てや労働時間、休日の扱いなども変わってきます。何も知らないと不安な気持ちになりますよね。
そこで今回は、管理職の仕事の内容、一般職員から変わることなどをまとめてお伝えしていきます。
この記事を読んでいただき、管理職になることへの不安をなくしましょう。
管理職の定義とは
管理職と一言で言っても、「管理監督者」であるかどうかで待遇が大きく変わってきます。
労働基準法41条2号の管理監督者の該当性について、行政解釈では、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断する」こととされている。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/churoi/assen/dl/jirei27.pdf)
管理監督者であるかどうかの判断基準は以下の4つにまとめることが出来ます。
- 部下の人事考課
- 部下の労働時間の管理などの労務管理
- 部下の採用や配置転換の権利
- アルバイトなどを雇っている場合の解雇
この4つに該当している方が管理監督者と呼ばれ、労働基準法で定められた管理職ということになります。詳しくはあなたの働いている会社の就業規則に記載されていますので、ご確認ください。
この記事では管理職は「管理監督者」と認められていることを前提に進めていきます。
管理職になる前に不安に思うこと①仕事内容
ここからは管理職に対しての不安について項目ごとに詳しく紹介していきます。1つ目は仕事内容です。
管理職になると、経営者と一体的な立場として仕事を行わなければなりません。具体的には以下のような仕事内容が挙げられます。
- 部下の人事考課
- 部下の労働時間の管理などの労務管理
- 部下の採用や配置転換の権利
- アルバイトなどを雇っている場合の解雇
職員の採用や、部下を評価したりなど部下の仕事を管理するような仕事がメインとなってきます。あなたに任せられたチーム全体があなたの評価対象となりますので、マネジメント能力が大事となります。
管理職になる前に不安に思いうこと②勤務時間について
2つ目は勤務時間についてです。管理職の勤務時間は一般職員とは異なります。一般職員は、労働基準法の中で労働時間が以下の通り定められています。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
(出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049#123)
ここに記載されている時間を越えた場合は、時間外手当を支給することになっています。しかし、管理職の方はこの労働基準法第三十二条の対象から除外となります。
そのため、会社で定められた時間に縛られることなく仕事が出来るということです。仮に10時に出勤することが求められていても、11時に出勤しても良いのです。
しかし、勤務時間に縛られていないので、一般職員が時間外に働いた場合、時間外手当てが支給されますが管理職の方は時間外手当が支給されません。
管理職になる前に不安に思うこと③休日について
3つ目は休日についてです。管理職の休日は一般職員と扱いが異なります。一般職員は労働基準法の中で休日について以下の通り定められています。
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
(出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049#167)
しかし管理職の方は、この労働基準法第三十五条の対象から除外となります。「管理職に休みは無いの?」と悲しくなったあなた、安心してください。管理職にも労働基準法で休みが定められています。
- 第四十一条の二第四項:1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日与える
- 第四十一条の二第五項:1年に1回以上の継続した2週間、休日を与える
ただこの条項は、必ず会社が守らないといけないというわけではありません。
会社によっては、管理職の休みについて言及されていない可能があります。この機会にあなたの会社の就業規則をご確認してみてください。
管理職になる前に不安に思うこと④手当てについて
4つ目は手当てについてです。管理職の手当ては一般職員の時に貰えてたものが無くなったりと大きな変化があります。管理職になると無くなる手当ては以下の2つです。
- 時間外手当て
- 休日出勤手当て
でも安心してください。この2つの手当てが無くなる代わりに、新たに手当てが加わります。
- 役職手当
管理職になると役職手当が新たに支給されます。その具体的な金額は以下の通りです。
- 課長職:100,656円
- 部長職:128,424円
上記の金額は、東京都産業労働局が平成30年に作成した『中小企業の賃金・退職金事情』の中にある金額です。
就業規則の中にも役職手当の金額が記載されていますので、あなたの会社の役職手当をこの機会に確認してみてください。
管理職になる前に不安に思うこと⑤給料事情について
5つ目は給料事情についてです。管理職の平均給料は一番気になるところですよね。管理職の人が多い40代から50代の平均年収をご紹介したいと思います。
男性 | 女性 | 全体 | |
40~44歳 | 581万円 | 319万円 | 478万円 |
45~49歳 | 635万円 | 313万円 | 502万円 |
男性 | 女性 | 全体 | |
50~54歳 | 682万円 | 322万円 | 529万円 |
55~59歳 | 686万円 | 298万円 | 520万円 |
以上が管理職に多い年代の平均年収でした。ちなみに全年齢の平均年収の金額は、以下の通りです。
性別 | 男性 | 女性 | 合計 |
平均給料金額 | 545万円 | 293万円 | 441万円 |
部長職の年齢になると、男性だと全年齢の平均年収よりも約100万円以上高い年収を手にすることができます。
管理職に求められることを押さえて不安を無くそう
管理職になると会社から求められることも変わってきます。しかし、どのようなことが求められるのか実際に管理職にならないと想像できないですよね。
そこで管理職に求められることの代表的なものをここでご紹介します。管理職に求められることを押さえて不安を無くしましょう。
- 部下の労働時間、仕事内容の管理、仕事内容の割り振り
- 会社内人間関係の管理、トラブルが起こった時の解決、部下のモチベーションを上げる
- 取引先との関係構築
- 部下の失敗に対して責任を持つ
自分のことよりも、部下を含めたチーム全体の調整などを行うことがメインの仕事となります。
また、管理職となると取引先へ大事な話の時に部下と同行したり等があります。自分の成功を喜ぶことよりも、チームとしての成功を喜ぶ方は管理職は向いてますね。
現役管理職の悩み【3選】
管理職になる前に、現役管理職が何に対して悩んでいるのか知っておくと、管理職になってから対処することが出来ます。少しでも管理職になってから不安に感じることがないよう準備しておきましょう。
- 特定の人に仕事が偏ってしまう
- チャレンジが出来ない
- 部下に仕事を任せられない
この3つが現役管理職が悩みを抱えている主要項目になります。仕事に対して責任が増すことで、失敗が許されず挑戦できなかったり、部下に任せるのが難しいと感じる人が多いです。
管理職になる前にあなたならどのように対処するのか事前に考えておくと、準備が出来ますよ。
現役管理職思う身に付けておきたいスキル【3選】
最後に現役管理職の方が身に付けたいと思うスキルについてご紹介します。管理職になる前にこのスキルを身に付けておけば、管理職への不安も軽減しますね。
- コミュニケーション能力
- 統率力
- コーチングスキル
部下を管理、育成することが管理職になると求められますので上記のようなスキルが必要と感じる管理職が多いです。
今の内から後輩と積極的にコミュニケーションを図っていき、管理職の練習を行っておきましょう。
まとめ
今回は管理職になって不安ならないために、管理職になると変わる仕事内容、待遇、管理職に求められることなどをご紹介しました。
管理職の待遇については、あなたの会社の就業規則にまとめられています。今まで就業規則を見たことがないという方はこの機会にぜひ一度ご覧になって、管理職の待遇をご確認ください。
管理職になると自分のことだけでなく、部下を含めたチームとして評価されることになります。そのためにはコミュニケーション能力などが求められるようになります。
今のうちに後輩と積極的にコミュニケーションを図って、管理職になる練習を積んでいけば不安もなくなりますよ。ぜひこれから取り組んでいきましょう。