あなたは、「ライフキャリア」という言葉をご存知でしょうか。現代人の寿命が100年あるとされる今の世の中でライフキャリアという言葉は、非常に重要視されています。
ではなぜライフキャリアが重要視されているのでしょうか。それは「人生100年時代」という新しい時代が深く関わっています。
本記事では、人生100年時代についての解説を交えながら、ライフキャリアとはどういった考え方なのか、そしてライフキャリアを充実させるための社会の取り組みについて紹介していきます。
本記事を読めば、きっとあなたもライフキャリアを充実させたくなるはずです。ぜひ最後まで本記事を読んでみてください。
人生100年時代とは?
人生100年時代は、世界的ベストセラーなった著書『LIFE SHIFT』で提唱された言葉です。
著者であるリング・グラットン氏は、この本の中で「100年間生きることを前提とした従来と異なるライフプランを立てる必要がある」と述べています。ではなぜこのようなことを提唱しているのでしょうか。
それは長寿化の流れが深く関わっています。日本では長寿化の流れが年々強まっており、今では「日本の2007年生まれの子供の半数が107歳まで生きうる」と言われています。
人生100年時代は、人々の生き方のあらゆる側面に影響を及ぼす可能性があります。政府はもちろん教育や労働、子育て、介護など様々な社会制度について検討し直すことになります。
人生100年時代では、人生がマルチステージ化する
100年時代では、従来と異なる人生設計が求められます。今までは、「教育→仕事→引退」という3つのステージから人生設計を建てることができました。
しかし100歳という平均寿命も持つ現代人には、この3ステージの移行は現実的ではありません。20代から働き、60代で定年、その後から引退生活を送るサイクルでは、100歳という寿命を全うできないのです。
なので人生観をより長寿時代に合わせる必要があります。著書『LIFE SHIFT』では、人生のステージを組み替えながら、柔軟に自分らしい生き方を見つけていくマルチステージの生き方を提案しています。
例で挙げると、同時期に複数の仕事に携わる、社会人からもう一度大学で学ぶなど、人生において何度もステージの移行と変化を経験する生き方です。今後はよりこのような生き方が一般的になってくると予想されます。
人生100年時代では働き方も変化する!?
これまでの時代では、年功序列の終身雇用で定年まで働いて、定年後は年金生活を送るという考え方が一般的でした。しかし今の日本の財政では、全国民の老後生活を支えることは現実的ではありません。
また定年は引き上げられて、70代後半から80歳になるとされています。もしこれが実現されれば、今までの前提から働き続ける期間が、20年も延びることになります。
国の支えは当てにせず、個人の力で生き抜くことが必要とされる人生100年時代では、人生において複数回フィールドを変えながら働くことが当たり前になるでしょう。
また会社の寿命の短命化が進むので、定年まで1つの会社で勤め上げることが難しくなります。これからの時代はキャリアを、組織ではなく、個人の力で築いていく意識を持つべきなのです。
人生100年時代では、社会人の学び直しが重要視される
従来の日本では、高等教育を終えた後に就職し、だんだんと教育の場から離れていくケースがほとんどでした。
一方、人生100年時代では社会人が新たな知識やスキルを身につけるため、大学・大学院などで学び直すケースが増えてくると考えられます。
なぜなら、これからの時代では多様な知識やスキルを持った人材が求められるからです。時代が目まぐるしく変化していく中で、求められるスキルや知識はどんどんと変わっていきます。
今一度、各個人は自身の市場価値を見つめ直しましょう。市場価値があると思っていても、数年後にはAIによって職を奪われているかもしれません。市場価値を維持・高めるためには、社会人の学び直しが必須です。
人生100年時代を生き抜くにはライフキャリアを充実させよう
これまでより一層、自分らしい生き方が求められる人生100年時代では、「ライフキャリア」という言葉が重要視されます。
ライフキャリアとは、仕事だけでなく、家庭や趣味などの日常生活や、地域との関わり、ボランティアなど、生涯にわたる役割や経験の積み重ねを意味しています。
従来はどのような会社に就職し、どの部署・役職に就いたかといった職務経歴でキャリアを捉えがちでした。
しかしこれからの人生100年時代では、各個人がどのように学び成長し、社会にどう貢献するのかということがキャリア形成だと捉えられるでしょう。
「キャリア」と「ライフキャリア」の違い
厚生労働省の定義によれば「キャリア」とは、長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖のことだとされています。つまり、ビジネス上の積み重ねということです。
一方「ライフキャリア」とは、ビジネス上のキャリアだけでなく、日常生活や地域活動、自己啓発や趣味などの幅広い関わりから得られる、あらゆる経験の積み重ねを意味しています。
人生100年時代をより自分らしく豊かな人生として設計するためには、自分に合った形態で80歳になっても現役で働きながら、「ライフキャリア」を充実させるという考え方を持つべきなのです。
人生100年時代を想定した企業によるライフキャリア支援の動き
近年では、従業員のキャリア形成支援だけでなく、従業員の生涯にわたる「ライフキャリアデザイン」を積極的に支援する企業が現れてきました。
代表例としてリカレント教育のバックアップや、資格取得の際にかかる受験料または新しい知識やスキルを取得するための受講料の一部負担、副業の容認、ボランティア休暇の整備などが挙げられます。
リカレント教育とは、義務教育期間や大学で学び終えた社会人が学ぶことをやめず、仕事と交互に教育を受けていく制度のことです。
このように今の社会では、ライフキャリアを充実させるための動きが企業側から取り組まれています。
人生100年時代を想定し、従業員の一人一人の市場価値を上げるため、様々な選択肢を提供してあげることは、企業側にとってニューノーマルになりつつあるのです。
ライフキャリア支援で、得られる効果とは
仕事に対するモチベーションを維持し続けることは、簡単なことではありませんよね。特に40代~50代になってくると、社内での昇進機会の減少、業務のルーチン化などで、益々やる気の維持が難しくなっていきます。
このような仕事へのやる気の低下に対して、ライフキャリア支援は効果を発揮します。従業員のキャリアアップに向けた学び直しや、資格取得などの支援は、従業員のモチベーションを向上させます。
またライフキャリア支援は、従業員に対して生涯現役だということを強く感じさせたり、従業員の学習意欲を向上させたりします。
ライフキャリア支援は、従業員のモチベーションアップにも期待できるだけでなく、こうした働きかけによって間接的に企業の生産性向上にもつながります。
まずは自分からライフキャリアを充実させるという意識を持とう
100年という長い人生をより豊かに過ごすためには、常に自分は現役であるという意識を持ちながら働き、家族や地域の人々、仕事仲間との繋がりを大切にした生活を積み上げていくことが求められます。
このような生活を実現するために企業側からも取り組みを行われていますが、まずは自分自身で「ライフキャリア」を充実させるという意識を持つ必要があります。
ただ受け身でいるだけでは、自分で自身の人生はデザインできないのです。自分がどうありたいのか考え、積極的に自分のキャリアをデザインすることで、価値ある自分の生き方を見つけることができます。
これからの時代で幸せを掴み取るために、まず自分から自己投資して、人生の可能性を広げて、周りの家族や友人たちと一緒に成長していくという意識を持ちましょう。
人生100年時代に求められるライフキャリアについてまとめ
今回は、人生100年時代において大切な「ライフキャリア」について解説しました。
これまでの時代では、「教育→仕事→引退」の流れに沿って安定した人生を送ることができました。しかし人生100年時代と言われる今の時代では、それが不可能となっています。
安定しながら、体も心も豊かな人生を送るためには、ライフキャリアを充実させるという意識を持たなければなりません。
自己投資し、周りの人々と成長していくことがライフキャリアを充実させる第一歩となります。本記事をきっかけに多くの方が、ライフキャリアについて考えるようになれば幸いです。