あなたのその行為、もしかしたらハラスメントに定義されるかもしれませんよ。近年、ハラスメントについてよく報道されています。
そして厄介なことにハラスメントの種類がとても多く、あなたがハラスメントではないと思っていても、相手からしたらハラスメントだと感じることもあります。
そこでこの記事では、具体的にどのような行為がハラスメントと定義されるのかをご紹介します。知っておくことで自らを守る対策にもなりますし、部下との関係も円滑になりますよ。
職場で見られるハラスメントの種類
〇〇ハラと、あらゆるものにハラスメントとつく言葉が近年増えました。その数は少なくとも20以上あります。有名なものでは以下の5つのハラスメントがあります。
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- モラルハラスメント
- ジェンダーハラスメント
- アルコールハラスメント
この5つは有名ですので、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか。しかしその他にも細かいハラスメントがたくさんあります。
例えば、カラオケで無理やり歌うことを強要される「カラオケハラスメント」、エアコンの温度をかなり下げる「エアーハラスメント」、SNSの投稿を上司にチェックされる「ソーシャルハラスメント」などがあります。
そして特に気を付けていただきたいのが、パワーハラスメント(パワハラ)です。
なぜパワーハラスメントを気を付けるのか
2020年6月よりパワーハラスメントの防止措置が事業主の義務化となったのです。社会全体でパワハラをなくそうという、動きとなっていますので、何がパワハラに該当するのか知っておく必要があります。
次から、パワハラとなる基準・行為をご紹介していきますので、あなたも自分の行為が該当しないかチェックしてみてください。
パワーハラスメントの定義
パワーハラスメントと認められる定義は、厚生労働省により以下の3つであると発表されています。
- 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的・精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
これら3つの要素をすべて満たした場合が、パワーハラスメントに該当すると判断されます。
ではこの3つのパワーハラスメントの定義について、より詳しく説明していきます。
優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
厚生労働省によると以下の3点が具体例であると紹介されています。あなたにも当てはまる項目があるかもしれません。
○ 職務上の地位が上位の者による行為
○ 同僚又は部下による行為で、当該行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
○ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf)
ここでの優位性とは、業務上での経験も含まれています。役職に関わらず、上記のような行為はパワーハラスメントとなりますので、若手の方も気を付けなければいけません。
業務の適正な範囲を超えて行われること
厚生労働省によると以下の4点が具体例であると紹介しています。それでは見ていきましょう。
○ 業務上明らかに必要性のない行為
○ 業務の目的を大きく逸脱した行為
○ 業務を遂行するための手段として不適当な行為
○ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える行為
(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf)
こちらは判断が難しいかもしれませんが、明らかに業務量と人の配置が合っていない場合や、業務に全く必要のないことを強要することが、あてはまります。
身体的・精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
こちらの項目は以下の4つが厚生労働省により具体例として挙げられています。
○ 暴力により傷害を負わせる行為
○ 著しい暴言を吐く等により、人格を否定する行為
○ 何度も大声で怒鳴る、厳しい叱責を執拗に繰り返す等により、恐怖を感じさせる行為
○ 長期にわたる無視や能力に見合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為
(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf)
こちらは直接的な、攻撃が主な例示として挙げられていますが、4つ目の就業意欲を低下させる行為もあてはまります。
パワーハラスメントと定義される6つの行為
ではパワーハラスメントと定義される具体的な行為は、どのようなものがあるのか、その行為についてご紹介します。
厚生労働省は以下の6つの行為が、パワーハラスメントと定義される可能性があると述べています。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
しかしこの6つの行為があったからと言って、すぐにパワーハラスメントとなるわけではありません。
その点も踏まえて、この6つの行為についてより具体的な例示を、ご紹介していきます。
あくまでここでご紹介するものは一例です。その他にも該当するケースはありますので、ご注意ください。
パワーハラスメントと定義される行為①身体的な攻撃
上司が部下に対して、暴力をふるう行為が該当します。しかし、ただ単に会社内で起こる暴力行為が、パワーハラスメントに該当するのかいというと、そうではありません。
業務上関係のない同僚同士の喧嘩であれば、暴力行為があったとしても、パワーハラスメントとはならない可能性が高いです。
- 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
先ほどご紹介したパワーハラスメントの定義の2・3に該当しないため、パワーハラスメントとは認定されない可能性があります。この点は気を付けておきましょう。
パワーハラスメントと定義される行為②精神的な攻撃
こちらの行為も想像がしやすい攻撃です。人格を否定するような言葉を発したり、長時間の間、叱責を繰り返したり、大声を出して威圧的な態度をとることが、該当します。
しかし、以下のような事柄に関しては、パワーハラスメントに該当しない可能性が高いです。
- 社会的ルールが欠けていることに対して再三指摘をし、改善しないため、強く注意をする、
- 問題行動を行った者へ強く注意する
業務に関する注意を行う際は、度が過ぎないように意識しましょう。
パワーハラスメントと定義される行為③人間関係からの切り離し
こちらの行為は、わかりやすく言えば、「仲間外し」・「無視」などのことを指します。具体的には、意に沿わない部下をに対して、仕事を与えず、長期間隔離するなどがあてはまります。
また、ひとりの職員に対して、同僚などが集団で無視を行うなどもこの行為に該当します。部下と上司の関係以外でもパワーハラスメントと認められます。
しかし、以下のような事柄に関しては、パワーハラスメントに該当しない可能性が高いです。
パワーハラスメントと定義される行為④過大な要求
業務上で必要のないこと、絶対にできない仕事を強制するなどの行為が該当します。具体的には、新人職員に対して明らかに達成できないであろうレベルの仕事を与え、達成できない時に厳しく注意する。
また、業務とは関係のない、上司の私的な雑用を強制的に行わせるなども、パワーハラスメントと認められます。
しかし、以下のような事柄に関しては、パワーハラスメントに該当しない可能性が高いです。
- 少しレベルの高いの業務を任せる
- 繁忙期に通常以上の業務を任せる
特に1.少しレベルの高い業務を任せるは、非常に判断が難しいです。日頃から、部下がどのような人間なのか知ることが必要となります。
パワーハラスメントと定義される行為⑤過小な要求
能力や経験とは、かけ離れた低いレベルの仕事を与えることが該当します。具体的には、管理職に対して誰でも出来る仕事しか与えない、嫌いな部下に対して、仕事を与えないなどがパワーハラスメントと認められます。
しかし、以下のような事柄に関しては、パワーハラスメントに該当しない可能性が高いです。
個人の好き嫌いという感情を入れることなく、適正に判断し、対応することが大事となります。
パワーハラスメントと定義される行為⑥個の侵害
プライベートのことに対して、過度に立ち入る行為が該当します。具体的には、職場以外でも継続的に監視をしたり、病歴などの知られたくない個人情報を暴露するなどがパワーハラスメントと認められます。
しかし、以下のような事柄に関しては、パワーハラスメントに該当しない可能性が高いです。
- 配慮を目的として、家族の状況などを聞き取りを行う
- 了承を得て、病歴などの個人情報を担当者に伝え配慮を促す行為
個人に対して、配慮があるということが大事になってきます。その点に注意しましょう。
まとめ
ハラスメントの定義についてご紹介しました。特に近年注目を集めている「パワーハラスメント」についてどのような行為が、該当するのか詳しく見てきました。ここでもう一度おさらいをします。
- 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
ご自身でも振り返っていただき、該当することはなかったか考えてみてください。そうすることで、事前に防ぐことにもつながりますよ。