「部下との面談、マンネリ化してきているな」なんて悩んではいないでしょうか。
このままの面談で良くないとなんとなく思っていても、どうすれば良いのかわからない人も多いと思います。
ここでは部下を成長させるために効果的な「1on1面談」を紹介していきます。面談の方法や質問内容を説明していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
部下と行う1on1面談とは
1on1面談とは、上司と部下が1対1で行う個人面談のことです。これは、従来の人事考課面談のような上司による部下の“業務の管理”や“目標の共有”、“業務の評価”だけが目的ではありません。
1on1面談は週に一回~といった定期的な頻度で行われ、部下の抱えている悩みや仕事を通じて得た課題をざっくばらんに話し合います。そして、部下にフィードバックをすることで、部下を成長させることが目的です。
自発的に行動し仕事の成果を上げられる部下を育成することが目標ですが、1on1面談は仕事の話のみをする堅苦しい面談ではありません。
1on1面談を通じて、部下が部下自身の能力に気付いたり、部下自身で問題を解決できるようになるために、部下がメインで話す面談にしましょう。
1on1面談と人事考課面談の違い
人事考課面談は、上司が部下の働きぶりや能力を評価し、社員の給与や賞与、昇給に反映させるための評価面談です。
社員からの今期の目標を聞くと同時に、昨年度の評価を伝えます。そのため、面談では主に“業務の成果”について話し合います。
それに対し、1on1面談は、部下を主体とした自由型面談です。話さなければいけないテーマは決まっておらず、部下が話し合う内容を決めます。この点が、人事考課面談と大きく違うところです。
1on1面談を通してすべき3つのサポート
部下と行う1on1面談は部下の成長を促すことが目的ですが、そのためには上司が部下を3つの点からサポートしなければいけません。
ここでは、上司がサポートすべき3つの点について説明していきますので、面談の際はこれから説明する3点を踏まえて、質問をしたり、話を展開したりしてみてください。
- 業務のサポート
- 精神面のサポート
- 内省のサポート
業務のサポート
まず1つ目は、業務のサポートです。これは、部下が業務で困っていることや課題に関して、助言をしたり指摘したりすることで、業務の問題の解決に向けてサポートすることを意味します。
また、会社としての目標と部下の目標にズレがあった際、部下の話も聞いた上で軌道修正をしなければいけません。
このように部下の話を聞く機会を設けることで、部下と一緒に業務の改善や組織課題の改善に取り組むことができ、ひいては部下の仕事の成果につながります。
精神面のサポート
次に2つ目は精神面のサポートです。部下が職場環境や職場の人間関係で不安に感じていることや、職場だけでなくプライベートでも気にかかっていることについて話を聞きます。
そして、悩みが解決できるようなアクションプランを話し合うことで、部下のストレスを軽減させることが狙いです。
また、様々な話を聞くことで、部下がどのようなことを負担と感じるのかを把握することができます。そのため、部下が抱えている仕事が適切なものか見直す機会にもなります。
日頃から部下の悩みを聞く機会を設けることで、ストレスによる部下の異変に気付けるようになる上、適切な仕事の割り当ても可能になるのです。
内省のサポート
次に3つ目は内省のサポートです。部下の業務の振り返りを通じて、今後続けること・やめること・チャレンジすることについて話し合います。
それにより、部下自身が業務に対する理解を深めたり、新たな気づきを得られたりします。
また、内省することで、同じ過ちを防ぐことができますし、過去の経験からインプットしたものをこれからの仕事でアウトプットすることもできます。
自分の誤った行動を反省することはよくあることですが、良かった経験を振り返り、今後の業務に活かすことも会社でより活躍できるように成長するためには、必要不可欠なことです。
1on1面談が部下に与える効果
1on1面談を通じて部下をサポートすることで、会社で活躍できる部下を育成できます。ここでは、1on1面談が部下に与える影響3つを説明していきます。
部下の自己肯定感を高められる
自分に自信がない自己肯定感が低い人は、大したことないようなことを悲観的に考える「自動思考の罠」に陥ってしまいます。
自動思考の罠に陥ってしまうと、積極的に新しいことにチャレンジする姿勢がとれなくなります。
また、新しいことにチャレンジできないだけでなく、過度なストレスにより体調を崩してしまうこともあります。
それを防ぐために、定期的に部下と話し合い、部下の存在意義を認めることで、自己肯定感を高めることができます。
短いスパンでフィードバックを受けられる
定期的にフィードバックを受けられるため、目標達成に向けた部下のアクションが誤っていた場合、すぐに修正することが可能です。
部下自身では気が付けない上司ならではの視点もあるため、部下にとって自分の業務を様々な着眼点や幅広い視野で考え直す良い機会となります。
上司に相談がしやすい環境ができる
上司と部下という立場の違う関係であれば、部下にとって上司に色々と相談することは難しいと感じる人もいるでしょう。
しかし、1on1面談であれば、堅苦しい面談ではない上、定期的に行われる面談であるため、回数を重ねるうちに両者にとって良いコミュニケーションの機会になっていきます。
また、上司に相談しやすい環境は、部下の離職率の低減にもつながったりもします。
部下と1on1面談で話し合うこと
ここでは1on1面談で、部下と話し合うテーマについて紹介していきます。
- 業務や組織の課題
- 能力の開発
- キャリア形成について
- 目標の設定・共有
- プライベートの悩み
- 人間関係の悩み
- 上司にサポートしてほしいこと
上記でいくつか例を紹介しましたが、面談で話す話題に決まりはありません。プライベートの話から仕事の話まで、部下が話したいと思っていることを話題にしてください。
もし、部下が話題を切り出すことに困っている場合は、上記であげたテーマに関する質問をして、部下が話しやすいように誘導してください。
部下と1on1面談を行う前に準備しておくこと
1on1面談をより良いものにするために、面談の前に1つ準備をしておく必要があります。面談の前にあらかじめ部下が何について話したいのか簡易的なチェックシートに記入してもらいましょう。
これにより、面談が始まってから、部下の「特に話し合うことはありません。」という発言で面談が始まらないことを防ぐことができます。
また、面談の時間をフルに話し合いに使えるだけでなく、部下が充分に議題について考える時間をとることができます。
そのため、箇条書きでも良いので部下に話したいことを記入してもらい、面談前にテーマだけでも把握するようにしておきましょう。
部下と1on1面談中にすべきこと
1on1面談中は、どのように話し合いがなされたか簡単にメモするようにしましょう。
部下の質問に対して行ったフィードバックや部下の今後のアクションプランをメモに取り、次の面談の際正しく実行されているか確認材料として使用することができます。
また、そのメモをもとに中長期的な部下の成長を実感することができます。
面談の回数が増えるにつれ、部下の論理的思考力や問題解決スキルが高まっていることがわかると思います。
1on1面談で必要な上司の能力
ここでは1on1面談を成功させるために必要な上司の能力3つについて説明していきます。
傾聴力
1on1面談に必要な上司の能力1つ目は傾聴力です。ここでいう傾聴力とは、部下の話に耳を傾け、部下の本音を引き出して理解する力を指します。
たとえば、部下との話し合いで沈黙になった場合には、話を引き出すために1人で話し続けたりすることは避けましょう。
部下のために助け舟を出してリードしているつもりが、部下が考えを整理する時間を無くしてしまっているかもしれません。
そのため、沈黙になった際は、部下が考えをまとめているのか、それとも上司としての意見を待っているのか見極めるように意識しましょう。
質問力
1on1面談に必要な上司の能力2つ目は質問力です。上司が部下にいきなり「話してください。」と言ったところで、部下はなかなか話しづらいものです。そのため、部下が話しやすいように質問をする必要があります。
たとえば、話し合いの初めのうちは、「はい」や「いいえ」で答えるような質問で相手が話しやすい流れをつくりましょう。
その後、話が展開すれば。「どうして?」「どうだった?」など自由かつ具体的に部下が話せるような質問をして、スムーズに話し合いが展開するように導きましょう。
フィードバックする力
1on1面談に必要な上司の能力3つ目はフィードバック力です。部下の質問や部下との話し合いに対して、上司の立場から意見を伝えなければなりません。
フィードバックが具体的で良いフィードバックであれば、部下の仕事に対するモチベーションを向上させられたり、部下のこれからすべきアクションが明確になったりします。
そのためには、フィードバックをする際、具体的で正確なものであるか、実現可能なものであるか意識して行うようにしてください。
部下と行う1on1面談の注意点
ここでは1on1面談を行う際に注意しなければいけないポイントについて説明していきます。
部下が主体となる話し合いにする
部下の質問に対し、上司として意見を述べたいことは多く出てくるとおもいます。しかし、上司ばかり話してしまうと、そこで話し合いは終わってしまいます。
そのため、適度に上司としての意見は伝えながら、部下が自分で考え、メインで話せるように話を展開していきましょう。
面談を実施することを目的としない
1on1面談は定期的に行うものであるため、はじめのうちは1回1回目的を意識しながら大切にしていたとしても、回数を重ねるうちに面談をすることが目的となってしまう恐れがあります。
そのため、上司と部下両者とも面談の本来の目的を意識しながら、上司は適切なフィードバックをして価値ある面談にしていきましょう。
部下との1on1面談を良いものにしよう【まとめ】
この記事では、部下の成長にとても効果のある1on1面談について説明しました。せっかく面談の時間を作るのであれば、事務的なものよりも意味のある話し合いの時間にしたいですよね。
1on1面談を適切に行うことで部下が活躍できる社員として成長するだけではなく、上司も部下を深く理解することができます。
1on1面談は継続することで効果が出てくるものであるため、定期的に行いながら質の高い話し合いにしてくださいね。