「人事評価の書き方で悩んでいる…。部下のモチベーションを下げない方法を教えてほしい。」
会社内で部下を持つ立場になると、人事評価の書き方で多くの上司が悩みを抱えるようになります。
そこで今回は、国内の企業で導入されている人事評価について解説しながら、部下を評価する際のポイントをお伝えします。
この記事を読むことで、部下のモチベーションを下げることなく業務がスムーズに進みますので、ぜひ最後までご覧ください。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC-%E6%84%8F%E8%A6%8B-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF-5207277/)
人事評価の目的とは?
部下のやる気を上げるためには、まず人事評価がなぜ導入されているのか、目的を明確化する必要があります。
人事評価の主な目的として、社員の処遇を決めるために評価基準を設けている、という点が挙げられます。
業務の中でどのような働きをすれば給与が上がるのか、といった基準が会社内で曖昧だと、従業員の不満が溜まりモチベーションが下がりかねません。
人事評価制度を整備することで、処遇の良い従業員と悪い従業員の評価基準を明らかにし、仕事に対する意欲が下がるのを防いでいるのです。
また人事評価には、3つの代表的な評価項目が存在します。次の項目で解説しますね。
人事評価の3つの項目とは?
部下の給与や賞与、昇進などに反映される重要な人事評価には、主に下記の3つの評価項目があります。
- 成果評価
- 能力評価
- 情意評価
成果評価は、業務に対して社員がどれだけの実績を残せたのかを評価する項目で、事前に設定された数値目標が判断基準です。
また能力評価では、社員の実力が業務内でどの程度発揮されたのかが評価され、会社内でのパフォーマンスや個々のスキルをもとに判断されます。
さらに情意評価は、仕事に対する責任感などが見られる項目で、課題解決のために積極的に取り組んだのか、といった姿勢が評価されます。
次の項目からは、人事評価を書く上でのポイントを項目ごとで解説していきますね。
部下の成果評価の書き方「数値を交える」
まず、部下の成果評価を書く際のポイントとして「数値を交えて書くこと」が挙げられます。
成果評価では、具体的な数値を明記することで文章に説得力が増し、部下に評価内容が伝わりやすくなります。
例えば「売上が前年比110%を達成した」「先月より新規顧客を10件獲得した」といった形で明記すると、部下のモチベーション向上に有効です。
また「新規顧客を獲得するために100件のアポを取った」など、結果に至るまでのプロセスも明記すると、部下からの信頼が増しモチベーションが引き出せます。
部下の能力評価の書き方「客観的な目線で評価する」
つづいて、部下の能力評価を書く際のポイントは「客観的な目線で評価すること」です。
個人的な感情が入りやすい能力評価では、特定の社員に高い評価が偏らないよう、上司は客観的な目線で公平に評価しなければなりません。
部下の能力が会社の売上にどのように貢献したのか、具体的な事例を明示し、周りの社員が納得できる評価を下すことで、チーム全体のモチベーションを下げずに業務が進められます。
部下の情意評価の書き方「根拠の明示」
さらに、部下の情意評価を書く際のポイントとして「根拠を明示すること」が挙げられます。
情意評価では仕事に対する熱意が評価対象となりますが、部下のモチベーションは数値化が難しく、普段の業務態度から判断せざるを得ません。
また情意評価で主観を交えて判断してしまうと、部下の納得を得ることが難しくなるので、しっかりと根拠を明示して評価を下す必要があります。
ちなみに、部下のモチベーションを下げない人事評価の書き方には、職種別でも意識すべきポイントがあります。
部下の人事評価の書き方【職種別】
ここからは、主な職種である「営業職」「事務職」「技術職」の人事評価について、意識すべきポイントを紹介しますね。
営業職
営業職の人事評価では、部下の評価基準として「数値」を用いることが重要です。
仕事の成果を具体的な数値で評価しやすい営業職の場合、成約件数や売上といった結果として出た数字を人事評価に盛り込むと、部下のモチベーションが上がります。
また数値だけでなく、結果に至るまでの本人の取り組みも評価することで、より効果的に人事評価が行なえます。
事務職
事務職の人事評価では、部下の評価基準として「積極性」を意識しましょう。
同じ作業の繰り返しが比較的多い事務職は、具体的な成果が見えにくく数値で評価しづらい職種です。
そのため人事評価の際は、部下が自主的に業務に取り組んだのか、仕事に対する積極性を盛り込むことでモチベーションを下げない評価が下せます。
技術職
エンジニアなどの技術職では、部下の「コミュニケーション力」に対する評価が重要です。
開発に関するスキルを重視しがちな技術職は、プロジェクトリーダーなどの上位階級になるほど、他部署との協力体制が求められます。
人事評価では技術力だけでなく、コミュニケーション力や外部との交渉力も考慮することで、効果的な評価が下せるでしょう。
次の項目からは、成果評価・能力評価・情意評価を書く際の例文を紹介していきますね。
部下の評価を書く際の例文【成果評価の書き方】
はじめに、人事評価で部下の成果評価を書く際の例文を紹介します。
今年度の売り上げは120万円だった。目標である100万円に対し達成率は120%のためA評価とする。ただし、新規顧客の獲得は目標である10件に対し7件と達成することができなかった。
既存顧客の対応に追われ、新規顧客獲得に向けた活動に時間を割くことができなかったためと考える。次年度は新たな顧客への営業活動を積極的に行う。
上記の例文では、達成した成果がしっかりと数値で明記されており、評価の理由が伝わる書き方です。
また未達成だった目標について原因の分析を行い、今後の対策も明示しているので、部下のモチベーションを下げない良い例文に仕上がっています。
結果が良かったときは今後どうなってほしいのか、逆に悪かったときはフォローを入れて、部下がさらに成長できるよう記述すると良いですね。
部下の評価を書く際の例文【能力評価の書き方】
つぎに、人事評価で部下の能力評価を書く際の例文を紹介します。
仕事に能力を生かしたとは言い難い。企画の立案をしたが、アイデアの数が少なく実現できたものはない。今後は、具体的な数字を用いて聞いている側を説得させるのが課題だ。行動面も消極的で受け身になっていることが多いので、アイデアが思い浮かべば積極的に発言するべきだろう。ただ、何度も実践すればコツをつかめるはずなので、困ったことがあれば気軽に相談してほしい。
上記の例文は、業務の中で達成した成果がない場合の書き方です。
能力を発揮できなかった理由が明示され、指摘だけでなく解決するための対策も書かれているため、上記のような評価をもらった部下は、モチベーションを下げずに業務に取り組めるでしょう。
目覚ましい活躍が認められなかった場合でも、最後に必ずフォローを入れ、部下のやる気を削がないことが重要です。
部下の評価を書く際の例文【情意評価の書き方】
さいごに、人事評価で部下の情意評価を書く際の例文を紹介します。
難易度が高い仕事に対しても、決して弱音を吐かず最後までやり遂げていた。仕事で分からない部分があっても、一人で抱え込むことなかった点も評価できる。また、仕事を効率的に行うためのマニュアル作成も行っていて好感が持てた。ほかの従業員のお手本として、今後も意欲的に仕事をし続けてほしい。
上記の例文では評価の根拠を明示しており、部下からの信頼を得られる書き方となっています。
情意評価は数値化が難しい項目なので、日頃から部下の行動に関心を持ち、評価に活かせるよう心がけましょう。
また根拠のない不適切な表現を用いると、部下からの信頼を失いかねません。
特に人事評価を下す際は、良い例文だけでなく悪い例文も把握し、部下のモチベーションを下げないよう注意する必要があります。
次の項目では、部下の評価を書く際におすすめしない悪い例文を紹介しますね。
部下の評価を書く際の例文【悪い書き方】
部下の評価を書く際の悪い例として、下記の例文が挙げられます。
営業成績が前年度比110%ものすばらしい結果を出せたのは、ひとえにあなたのおかげである。
入社してまだ数年目にもかかわらず、他の先輩よりも目を見張るほどの成果を上げているので、今後もこの調子でがんばってもらいたい。ただ、クレームも増えているということなので、これはチームで協力して解決してもらいたい。
上記の例文では、数値で成果を明示しているものの、目標を達成するまでの途中経過が記述されていません。
また指摘内容の根拠が提示されておらず、改善策も具体性に乏しいため、部下からの信頼が得られにくい内容です。
部下が実際に成し遂げたことに加え、達成するための目に見えにくい努力も評価しないと、部下のモチベーションを上げるのは難しいでしょう。
部下のやる気を引き出す人事評価の書き方【まとめ】
今回は、人事評価の書き方について例文を交えながら解説しました。要約すると下記の通りです。
- 成果評価
- 能力評価
- 情意評価
- 数値を交える
- 客観的な目線で評価する
- 根拠を明示する
人事評価の場面では、曖昧な判断で評価を下してしまうと部下からの信頼をなくし、仕事に対するモチベーションを下げてしまいます。
またチームの士気を下げないよう、誰もが納得できる内容を記述することも大切です。
この記事で紹介しましたポイントをおさえ、公平性を意識し、部下のモチベーションが上げられると幸いです。