最近は、大人の発達障害という話をよく聞くようになり「自分の部下がアスペルガー症候群かも?」と考える方も多いと思います。
そこでこの記事では『アスペルガー症候群を持つ部下の見分け方や特徴』などを詳しく掘り下げて説明しました。
この記事を読んでアスペルガー症候群の部下についての知識を深めることで、あなたのストレスや評価・人間関係までもがガラッと変わるかもしれません。ぜひ最後まで読んで、参考にしてくださいね。
(トップ画像出典:https://unsplash.com/photos/BuNWp1bL0nc)
アスペルガー症候群を持つ部下の見分け方
アスペルガー症候群のを持つ部下は、話すことや声の大きさを調節するのが苦手だったり、無表情で抑揚のない声で話したり、書き言葉や古風な言葉を使って話すことがあります。
また、分かりにくい表現やお世辞・皮肉などを理解することが難しく、相手の言葉を文字通り受け取ってしまう傾向がありますよ。 このため他人との意思疎通がうまくいかないことがあります。
あなたの部下にこんな傾向があるときは、アスペルガー症候群を疑ってみましょう。
部下がアスペルガー症候群だと感じたら
あなたの部下がアスペルガー症候群に見えたとしても、いきなり「アスペルガー症候群だと思うから病院に行ったほうがいいよ」とはなかなか言えませんよね。
そのような疑いがあると感じたら、まずは本人が困ってる事の原因に寄り添いながら、アスペルガー症候群かどうかをチェックしてみましょう。
以下では、病院に行かなくてもできる「アスペルガー症候群のチェックリスト」を紹介しますね。当てはまる個数が多いほどアスペルガー症候群の可能性が高くなります。
- 何かをするときは一人でやるほうがいい
- 同じやり方をくり返し使うことが好き
- 何かのイメージを簡単に思い浮かべられる
- 丁寧に話しても話し方が失礼だと言われる
- 何かに没頭してしまうことがよくある
- 他の人が気がつかない小さな物音に気がつく
- 車のナンバーなど特に意味のない情報に注目する
- 他の人がどのように感じるかを想像するのが苦手
- 他の人の考え(意図)を理解することも苦手
出典:https://bunshun.jp/articles/-/1959
このチェックリストに当てはまる個数が多いときには、その結果を本人に伝えたうえで心療内科への受診をオススメしてみましょう。
アスペルガー症候群を持つ部下の特徴
アスペルガー症候群を持つ部下の特徴で、もっとも大きな障害になってしまうのが『人間関係の構築が難しい』という特徴です。
その特徴が理由で、アスペルガー症候群の方は他人とうまく付き合えないという自覚があっても、具体的にどうしたらいいか判らない場合が多いのです。
以下では、アスペルガー症候群を持つ部下がどんな人間関係を取りやすいのかを紹介しますね。
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孤立タイプ(例:一人でいることを好む)
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受動タイプ(例:自分からは他人と関わろうとしない)
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積極・奇異タイプ(例:他人に積極的に近づくが、自分の関心ごとを一方通行で話す)
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形式ばった大仰なタイプ(例:過度に礼儀正しい)
あなたの部下がアスペルガー症候群の場合、あなたと良好な関係を築くことは難しいかもしれません。
しかし、あなたのことを嫌ってる訳ではないので、そこは理解してあげてくださいね。
アスペルガー症候群を持つ部下に向いている業務
アスペルガー症候群を持つ部下が得意なこととして、以下のことが挙げられます。
- 優れた記憶力と集中力
- 特定の事に強い興味を持てる
- 独特の想像力や感性
これらを活かした業務が向いてるので、各特性について詳しく説明しますね。
優れた記憶力と集中力
アスペルガー症候群を持つ部下は『記憶力が良い傾向』があります。
そして自分が興味を持つことに対して、優れた集中力で取り組む傾向もありますよ。他の人にはできない根気を要する作業でも、大きな結果を上げることがあります。
特定の事に強い興味を持つ
アスペルガー症候群の方は、特定のことに強い興味を持つ傾向があります。そのことへの好奇心や探究心はとても強く、とことん追求するため、深い知識を持っていることもありますよ。
独特の想像力や感性
アスペルガー症候群の特性のなかに『敏感すぎる・鈍感すぎる』があります。目や耳が敏感すぎるために日常で困難が生まれることもありますが、裏を返せば「独特の想像力や感性を持っている」ということですね。
アスペルガー症候群の方の中には、音楽や芸術、文学などのジャンルでその感性を発揮している人もいますよ。
これらをまとめると、アスペルガー症候群を持つ部下の方にはこれらの業務が向いてます。
- シンプルで反復する業務
- ほとんどの作業を1人でおこなう業務
- 論理的な分析・事実に関する記憶力を生かす業務
- 新製品の開発など、想像力と感性が必要な業務
アスペルガー症候群を持つ部下に向いてない業務
アスペルガー症候群を持つ部下は、以下のことが苦手なので、これらが必要な業務は指示しないほうが良いですね。
- 社会性
- 言語コミュニケーション
- マルチタスク
具体的に説明すると、こんな業務は担当させないほうがよいでしょう。
- 接客業、営業職、受付係、電話オペレーター
- レジ係
- 料理人、ウェイター・ウェイトレス
こんな業務を担当させてしまうと、とてもストレスが溜まってしまうので、あなたの部下が鬱で休職するかもしれません。
できるだけこれらの業務を振るのは避けて、長所を活かした仕事を任せるようにしましょう。
アスペルガー症候群を持つ部下の注意点
あなたの部下がアスペルガー症候群の場合、以下のようなミスやトラブルが発生しやすいです。そこで、ミスを減らすための対応についても紹介していきますね。
ミスをしても報告しない・謝らない
アスペルガー症候群の方はミスを起こしても、報告や謝ることが苦手なことがあります。これは「自分はルールを守って仕事した」と考え、予想外の結果が出たことに納得できないからですね。
対応として、このような傾向がある部下にはミスが起きた原因や状況、どうして謝らなければならないのかをあなたや他の上司と話し合って分かってもらう必要があります。
そうなったいきさつを紙に書いて分かってもらうことも1つの方法でしょう。まずは状況を整理して納得してもらうことが大切です。
それができれば業務の進めかたに迷ったときも、誰に・どのように相談すればいいか分かっているので、本人から相談をしてもらう可能性が高くなりますよ。
「社会性に乏しい」ように見える言動
遅刻や無断欠勤が多い・身だしなみや敬語に無関心なときには本人と話し合い、これらの「常識」は大切であることをしっかりと説明し、分かってもらう必要がありますよ。
アスペルガー症候群の人は常識に欠けるのではなく、現在まで他のやり方を知らずに過ごしてきただけなのです。
このため社会性を身につける必要性を分かってもらい、常識やルールを具体的に教えれば、アスペルガー症候群を持つ部下も対処することができますよ。
上司であるあなたが率先して、身だしなみや敬語のお手本を見せるとなお良いですね。
体調不良を訴える
アスペルガー症候群の特性のひとつに、目や耳などが敏感すぎることがあります。
多くの人にとっては気にならない職場の光や音・匂いなどをアスペルガー症候群を持つ部下は大きなストレスに感じ、体調不良になることもありますが、周りの人には「常に体調不良」と映るでしょう。
この場合はアスペルガー症候群の部下と話し合い、デスクの位置を変えるなど職場の環境をできる範囲で整えると良いですよ。
アスペルガー症候群になる原因
アスペルガー症候群の原因として考えられてるのが『遺伝・成長過程での環境』です。まだはっきりした原因は分かってませんが、この2つが有力視されてます。
つまり「頭が悪い」「根性が足りない」と言ったものではありません。さらに「叱れば治る」と言ったものでもないので、むやみやたらに叱るのはNGですよ。
アスペルガー症候群の方は、失敗や生きにくさを感じる経験を繰り返したり、理解のない環境下でストレスがたまっていくうちに、心身の症状が悪くなることがあります。
あなたが必要以上に叱ってしまうと、ストレスがたまり続けてうつ病や強迫性障害・統合失調症や摂食障害などの症状が出ることもあるので注意してくださいね。
アスペルガー症候群を持つ部下への叱り方
あなたが上司としてアスペルガー症候群を持つ部下に接するとき、もっとも気をつけるべきなのが『叱り方』です。
アスペルガー症候群の方は、会社だけでなくプライベートでも多くのストレスを抱えているのですが、そこに上司という立場の人から怒鳴られるとメンタルが持ちません。
なのでアスペルガー症候群を持つ部下への叱り方を紹介していきます。
- データなどの事実に基づいて指摘する
- 感情的にならない
- 怒鳴るのではなく『注意』する
シンプルに言うと「データを使って注意する」です。できるだけ怒鳴ったりキツイ言葉を言ったりするのは控えましょう。
データを使って、客観的な事実を元に叱ることで、部下も「なぜ今、自分が叱られているのか」が理解できます。そのため、しっかりと反省をして次に活かしてくれるようになりますよ。
具体的な叱り方として、筆者がオススメする1つの例を紹介しますね。コツとしては部下だけを叱るのではなく、部署のみんなで改善していこうという言い方が良いですよ。
「現在の作業をもっと速くできるように、みんなで一緒に改善点を探してみましょう。」
アスペルガー症候群を持つ部下への合理的配慮
アスペルガー症候群を持つ部下と接するときに役立つ考え方として『合理的配慮』があります。この考え方は、いわゆる普通の方に対しても役立つので、ぜひじっくり読んでくださいね。
合理的配慮とは
合理的配慮とは『障害のある人が何らかの配慮を必要としているとき「困っています」という意思表示をすることで、周囲の人が「負担が大きすぎない範囲」で対応すること』を言います。
シンプルにいうと『アスペルガー症候群の方に「困ったらすぐに言ってね」などの教育や環境を作って、周りの人が、できる範囲で助けに入る』ことですよ。
アスペルガー症候群の人への合理的配慮の具体例
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シンプルで具体的な表現を使って指示を出す
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業務の指示をひとつずつ出す
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作業手順について文字や図を使ったマニュアルを作成する
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特定の人を、指示を出す人「担当者」にする
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昼休みや仕事終わりに、ムリヤリ食事に誘わない
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予定が変割ったときは早い段階で説明して納得してもらう
ただし合理的配慮をするには、本人からの申し出が必要になります。アスペルガー症候群の部下が望む配慮について、あなたと部下と職場の人が話し合う機会を持つことができれば理想的ですね。
まとめ
アスペルガー症候群を持つ部下について解説しました。”アスペルガー症候群”という名前は一般的に浸透してますが、それについて詳しいことまで知ってる方はかなり少ないです。
アスペルガー症候群は『デメリット』だと考える方が多いですが、向いてる業務を見つけることでアスペルガー症候群を『メリット』として考えることもできますよ。
この記事を読んでくれたあなたが、アスペルガー症候群を持つ部下の考えや接し方をしっかりと理解し、その知識を今日から活かしてもらうことを願ってます。