あなたは、「部下にコーチングをしたいけど、具体的にどのようにやったらよいのだろう…?」と悩んではいませんか?
管理職にとって、部下の育成は大切な業務です。その方法の一つに、コーチングはよく利用されています。
コーチングをきちんと習得することで、部下の目標達成や離職率の低下、業務の効率化など、職場における生産性の向上に大いに役に立ちますよ。
今回の記事では、コーチングの3原則や管理職がコーチングする時の注意点を詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもコーチングとは?
広辞苑によるとコーチングとは、助言・指導するという意味です。もともとスポーツの世界で、コーチがアスリートに対して指導する際によく使われる言葉でしたが、さまざまな領域でよく聞く言葉となりました。
職場におけるコーチングは、管理職が部下との対話を通じて、部下が自分で問題解決できるように指導・助言するということになります。
ただ単に、仕事内容を教えるだけではなく、「どうしてこうなったのか」、「どうしたらよいのか」などを、部下が主体的に考えることができるように育成する方法とも言えるでしょう。
あなたは大丈夫?管理職がやりがちなコーチングについて
部下の育成にも利用されることが多いコーチングですが、管理職がコーチングを履き違えて指導していることもあります。例えば、以下のようなやり取りです。
- 上司:〇〇さん、どうしてこんなに業績が悪いのかい?
- 部下:クライアントからの連絡が遅くて、納品が遅れています。
- 上司:だから、早めに確認の電話をするように言ったじゃないか。
このように、管理職が部下の意見を待たずに、一方的に自分の考え方を伝えていてはコーチングになっていません。
一方的な指導では、部下が自分で問題解決する機会を奪ってしまっています。
ただし、職場における上司と部下の関係だと、どうしても上から目線で一方的な指導になってしまいがちです。
そのため、管理職が部下に対してコーチングをしようと考えるのであれば、意識的にコーチングを学ぶ必要があります。
コーチングの原則①管理職と部下の双方向のコミュニケーション
ここから、コーチングの3原則を紹介していきます。一つ目の原則は、管理職と部下との双方向のコミュニケーションを大切にすることです。
上司が話して、それを聞いた部下が言われたとおりに仕事をするような一方的なコミュニケーションでは、部下の問題解決能力は育ちません。
部下にも意見を出してもらう双方向のコミュニケーションによって、部下が主体的に問題と向き合うようになったり、臨機応変な対応ができるようになったりします。
コーチングの原則②管理職の継続的な関わり
コーチングの二つ目の原則は、管理職が部下と継続的な関わりをすることです。コーチングは一度だけではなく、何度も繰り返して行われます。
『コーチングの基本』という本の中では、コーチングでは以下のような手順で、部下の問題解決能力が向上できるようにサポートします。
- 信頼関係の構築
- 目標の明確化
- 現状の明確化
- ギャップの原因分析
- 行動計画の作成
- フォローアップ
コーチングでは、部下との信頼関係を構築してから、どのような行動をすれば問題が解決できるのか、その行動計画の作成まで行います。そして、6番目の「フォローアップ」で、1〜5の手順を繰り返し行います。
このように、コーチングは、部下の問題解決能力を高めるために、継続的な関わりが必要です。
コーチングの原則③部下一人ひとりへの対応
コーチングの三つ目の原則は、部下一人ひとりへの対応を行うことです。一律同じような教育の仕方では、部下一人ひとりの特性に応じた効果的なコーチングはできません。
部下それぞれの価値観や考え方、行動の特徴は当然異なります。「褒めて伸ばす」「叱って鼓舞する」など、型にはめるような対応ではなく、部下という一人の人間を見ることが必要です。
この部下には、どのタイミングでどのように褒めたら良いのか、どのように鼓舞したら良いのかを見極めることで、効果的なコーチングが可能になります。
管理職がコーチングをする時の注意点①操作・誘導しない
ここからは、管理職がコーチングをする時の注意点を3つ紹介します。一つ目の注意点は、コーチングの際に操作・誘導をしないことです。
部下に考えさせるような対話をするコーチングですが、上司が思わず意見や解決策を口走ってしまうことがあります。
確かに、経験のある管理職が解決策を伝えたほうが仕事は早く進むように感じますが、それでは部下は成長できません。
管理職といえども、自分の考えが絶対正しいとは限らないため、自分の思うような考え方に操作・誘導しないように、我慢することが大切です。
管理職がコーチングをする時の注意点②怒ったり追求したりしない
管理職がコーチングをする時の二つ目の注意点は、怒ったり追求したりしないことです。
管理職からすると、部下の浅い考え方や甘い見通しに対してイライラする事もあるでしょう。しかし、新人や異動したばかりの社員は、そもそも問題を解決するだけの知識や経験が少ない可能性もあります。
管理職が叱責して部下が萎縮してしまうと、それ以降、部下は自分の意見を自主的に発言することができなくなるかもしれません。
そのため、部下がどのような考え方を持っていたとしても、まずは傾聴し、部下の考えを引き出すための質問をするようにしましょう。
管理職がコーチングをする時の注意点③評価や判断はしない
管理職がコーチングをする時の三つ目の注意点は、評価や判断はしないことです。
部下の考え方が正しいか正しくないか、良いか悪いかという評価・判断はコーチングでは必要とされません。
部下の発言に対して、優劣をつけると、部下は「評価を下げないようにしないと…」と気を配り、表面上の浅いやり取りになってしまいかねません。
もちろん、評価や判断をして部下の成長を促すことが必要な場面もありますが、あくまで本人が自ら気づくことができるように、上司が質問していくことが大切です。
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まとめ:管理職ならコーチングのスキルは持つべし!
ここまで、コーチングの3原則や管理職がコーチングをする時の注意点を詳しく解説しました。
コーチングは一方的な指導ではなく、部下との双方向のコミュニケーションが大切です。
部下の考え方を引き出す質問を丁寧に行うことで、部下の問題解決能力の向上を図ることができます。
職場での上司と部下の関係では、意識しないとコーチングは難しいです。そのため、今回の記事で紹介した注意点も踏まえながら、職場でコーチングを実践してみてください。