管理職の残業代の悩みを解決!就業規則から見る3つのポイント

「ああ、管理職になったら残業代分の手取りが減ったなあ。でも、就業規則をみてもわからないし。」と、悩んでいませんか?実は、そんなあなたは名ばかり管理職かもしれません。

もし、名ばかり管理職であったら、あなたは残業代をもらえる可能性があります。

管理職でも残業代がもらえる場合はどんな時か?もし、もらえるはずなのに貰えていないならどうしたらいいのか?その答えをあなたにお伝えいたします。ぜひ、最後までお読みください。

(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/images)

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就業規則での管理職と労働基準法上の管理監督者の違い

管理職と聞くと「部長」「課長」「店長」など、会社のなかで一定規模の管理を任されている人を想像する事が多いのではないでしょうか。

管理職については会社によって定義があいまいで、就業規則でも独自に決められていることが多くあります。

ところが労働基準法上には管理職という言葉は無く、「管理監督者」という言葉を使っています。管理監督者には、一般社員に義務付けられている下記の、労働時間、休憩、休日に対しての規定が一切適用されません。

  • 労働時間:1日8時間、1週40時間(休憩除く)*36協定を結んでいる場合は、定めた範囲内で残業する事が可能
  • 休憩時間:1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上。8時間を超えるときは60分以上休憩しなければならない
  • 休日:1週間に1日以上、もしくは4週間に4日以上。*36協定を結んでいる場合は、定めた範囲内で休日労働すること可能

つまり、管理監督者になった場合は残業代や、休日労働手当は支払われず、さらに休日や休憩がなくても、労働基準法違反で訴える事はできません。

管理監督者(残業代なしの管理職)の3要素

管理監督者はどれだけ働いても残業代はでません。自分が管理監督者であるかは、労働基準法で定めらる下記の3要素を満しているかを確認しなければなりません。

  1. 企業の重要部分に関わっている・・・採用、解雇、人事考課、労働時間管理について広範囲な決定権がある。会社の意思決定がトップダウンで、管理職がこれにただ従っている状態ではない。
  2. 自分で労働時間を決められる・・・勤務時間の制限がなく、遅刻早退で減給されることが無い。
  3. 管理監督者としてふさわしい給料である・・・ほか従業員と比べ十分な優遇がなされているかどうか、具体的には非管理職との間で賃金単価に逆転が生じていないかどうかが重要

役職名は課長や店長にもかかわらず、権限も労働時間も給料も、他の一般社員と大きく変わない待遇で、管理職扱いにされているのであれば、それは「名ばかり管理職」である可能性があります。

もし、名ばかり管理職であるのであれば、それは会社側が残業代コストを減らすために、都合よく役職名を与えているだけかもしれません。

では、あなたが名ばかり管理職であるかどうかを、次の3要素を満たしているかで考えてみましょう。

名ばかり管理職かを判断するポイント①

https://www.pakutaso.com/20180256039post-15136.html

まず1つ目は、「企業の重要部分にかかわっているかどうか」についてです。判断するには、以下の4項目の基準が当てはまるかを確認します。

  • 採用:会社、店舗に所属する社員、契約社員、パート等の採用(人選のみを行う場合も含む)に関して、実務があり責任と権限が実際にあるか。
  • 解雇:会社、店舗に所属する社員、契約社員、パート等の解雇に関する事項が、職務内容に含まれており、実務的に関与出来ているか。
  • 人事考課:昇給、昇格、採用等を決定するための労働者の業務遂行能力や業務成績を評価する事。その対象となっている部下の人事考課が職務内容に含まれており、実務的に関与できているか。
  • 労働時間の管理:会社、店舗における勤務表の作成または、所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実際にあるか。
    つまり、部下の人事や労働管理について、自分で判断し決定する事ができているかという事を考えてみましょう。もし、その権限も実務もないのであれば、名ばかり管理職である可能性があります。

名ばかり管理職かを判断するポイント②

名ばかり管理職かどうかを判断するための2つ目のポイントは、「自分で労働時間を決められるかどうか」についてです。

労働時間を決められているかどうかを判断する上で、注意すべき点があります。決して重役出勤的な出社、退社の自由があるという意味ではないという事です。

なぜなら、管理職は部下のマネジメントを職責としています。その為、正当な理由もなく自由気ままに出退勤している管理職は、部下を管理監督できているとは言えず、職責が果たされていないと判断されます。

あくまで職責を果たす上で、「出社退社等について厳格な制限を受けない」という理解です。この内容を踏まえた上で、下記2点が該当するかを確認します。

  • 管理職に対し、「営業中は、必ず1名以上の管理職が勤務していなければならない」など、管理職の出勤に対する制限を会社が規定していないか?
  • 早退、遅刻、欠勤などで減給されていないか?

つまり、管理職の早退、遅刻、欠勤等による減給が就業規則に記載されている。

または、管理職が不在では現場が回らない、仕事がまったく進まないというような環境である場合は、出勤制限があるため名ばかり管理職になっている可能性があります。

名ばかり管理職かを判断するポイント③

お金

名ばかり管理職かどうかを判断する最後のポイントは、「管理監督者としてふさわしい給料であるか」です。

ふさわしい給料の基準は会社や業種によって様々ですので、一概に「年収○○万以上」などで判断する事はできません。

管理監督者としてふさわしい給料かどうかを判断する上でわかりやすいのは、次の2点をチェックする事です。

  • 管理職になって年収が減っていないか?
  • 一般社員との年収差が逆転していないか?

管理監督者は一般社員と違い企業の核となる業務を任されています。よって、その重責にふさわしい待遇が用意される必要があります。

給料が一般社員以下(減った)というのは、管理監督者としてふさわしい給料をもらっているとは言えません。

つまり、「ああ、管理職になったら残業代分の手取りが減ったなあ。」となっている時点で、あなたは名ばかり管理職になっている可能性があります。

残業代についての就業規則を確認する必要がある理由

ルール

「そうは言っても、就業規則で決められてるから・・・」と諦めてはいけません。あくまで就業規則は会社が作ったものであり、必ずしも労働基準法を満たしているとは限りません。

例えば、労働基準法第41条の「監督若しくは管理の地位にある者は、○章で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」という内容がそのまま書いてある就業規則が多くあります。

しかし、これではどのような職位を管理監督者とみなすかが明確に定義されていないので意味がありません。この様に、就業規則が100%正しいとはかぎらないのです。

就業規則に役職手当について規定があると残業代はもらえない?①

https://www.pakutaso.com/20150552128post-5486.html

では、他にはどんな就業規則に注意すればよいでしょうか。最も多いのが役職手当に対する勘違いです。

「でも、役職手当を残業代の代わりにもらっているから・・・」と思っているあなた。それは違います。役職手当とは、「店長」「課長」など「長」が付く一定の役職者に対して役職の対価として払われるものです。

つまり、この報酬を含め「ふさわしい給料か?」は管理監督者の判断基準となります。その為、役職手当をもらっていても、給料が残業代をもらっている一般社員より低くければ管理監督者とはいえません。

何度も言いますが役職手当は、あくまでその役職に与えられている手当です。決して、残業代を相殺するものではありません。

就業規則に役職手当について規定があると残業代はもらえない?②

https://www.pakutaso.com/20190715204post-21794.html

つまり就業規則に「役職手当を時間外勤務手当相当分として支給する」等と書いあっても、これは間違いです。いくら就業規則に書いていようとも、役職手当を残業代の代わりに支払う事は認められません。

就業規則にこのように書かれることが多い理由は、就業規則に関する書籍の中で例文として多く使用されているからです。しかし、それが労働基準法に当てはまるかというと、決してそうではないのです。

役職手当をもらっているからといって、残業代をあきらめる事はありません。

就業規則を確認する前に見ておきたい過去の残業代未払い裁判

それでは、過去の判例をみて、どのような場合に名ばかり管理職と判断されるのかを知りましょう。最も有名なのが、日本マクドナルド事件です。

日本マクドナルド事件 (H20.01.28東京地判)

事案の概要】
(1) ハンバーガー販売会社であるY社は、就業規則において店長以上の職位の従業員を労基法41条2号の管理監督者として扱っているところ、直営店の店長であるXが、同条の管理監督者には該当しないとしてY社に対して過去2年分の割増賃金の支払等を求め、提訴したもの。
(2) 東京地裁は、管理監督者に当たるとは認められないと判示した。
【判示の骨子】
(1) 店長は、店舗の責任者として、アルバイト従業員の採用やその育成、従業員の勤務シフトの決定、販売促進活動の企画、実施等に関する権限を行使し、Y社の営業方針や営業戦略に即した店舗運営を遂行すべき立場にあるから、店舗運営において重要な職責を負っていることは明らかであるものの、店長の職務、権限は店舗内の事項に限られるのであって、企業経営上の必要から、経営者との一体的な立場において、労働基準法の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を付与されているとは認められない。
(2) 店長は、店舗の各営業時間帯には必ずシフトマネージャーを置かなければならないというY社の勤務態勢上の必要性から、自らシフトマネージャーとして勤務することなどにより、法定労働時間を超える長時間の時間外労働を余儀なくされるのであるから、かかる勤務実態からすると、労働時間に関する自由裁量性があったとは認められない。
(3) 店長の賃金は、労働基準法の労働時間等の適用を排除される管理監督者に対する待遇としては十分であるといい難い。
(4) 以上によれば、Y社における店長は、その職務の内容、権限及び責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない。したがって、Xに対しては、時間外労働や休日労働に対する割増賃金が支払われるべきである。

引用:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/shogu/kantoku.html

この判例はチェーン店のスタッフを管理職としている企業には大きな影響を与え、各企業は管理職に対しての待遇を見直し、是正をする事となりました。

残業代について確認する就業規則の3つのポイント

https://www.pakutaso.com/20170900262post-13281.html

では、自分が名ばかり管理職になっていないかを確認する為に、判例を参考に次の3つのポイントに注意して就業規則を確認してみましょう。

  1. 管理監督者となる役職が明記してあるか?
  2. 労働時間、休憩および休日について規定されないことが明記してあるか?
  3. 役職手当について「役職手当を時間外勤務手当相当分として支給する」などと明記されていないか?

以上の3点のうちにひとつでも該当しない場合は、管理職の規定があいまいで名ばかり管理職となっている可能性が高くなります。

名ばかり管理職であれば、本来は残業代がもらえます。では、今までの残業代の未払い分を請求するにはどうすればよいかを次に紹介します。

名ばかり管理職だった場合の残業代の請求手順

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もし、今までのポイントを確認して、自分が名ばかり管理職ではないか?と思ったら、残業代の請求ができる可能性があります。まずは、弁護士に相談する前に、自分ですべき行動を紹介します。

自分の残業代がどれくらいになるか把握する

役職手当が残業代として支払われている場合は、下記の計算式で支払われるべき残業代がわかります。

例)基本給20万円 役職手当3万円 法定月間労働時間170時間(変形労働時間制で30日の場合) 月平均残業時間40時間 *役職手当が残業代として支払われている場合(就業規則記載あり等)

*補足 月間労働時間については最大での概算として算出しています。変形労働時間制でない場合などは、この基準値が変わります。あくまで弁護士に相談する前の概算となります。

  • 【基礎時給を算出する】20万円(基本給1カ月) ÷ 170時間(基本1カ月労働時間) = 約1,176円
  • 【残業代を算出する】1,176円 × 割増率1.25 × 40時間 = 5万8,800円
  • 【1ヶ月あたり未払い残業代】5万8,800円 - 3万円(役職手当) = 2万8,800円
  • 【2年あたり未払い残業代】2万8,800円 × 24ヶ月 = 69万1,200円

未払いの残業代は2年間さかのぼってもらえる権利があるので、年間の合計では69万1,200円もの金額をもらえる可能性があります。

更には、役職手当は残業代として支払う事は違法と判断される場合もあるので、その場合は役職手当を含めた23万円を基本給として基本時給が算出されます。

  • 【基礎時給】23万円 ÷ 170 = 約1,353円
  • 【1ヶ月あたり残業代】1,353円 × 1.25 × 40時間 = 6万7,650円
  • 【2年あたり残業代】6万7,650円 × 24か月 = 162万3,600円

*先ほどの場合と異なり、役職手当は残業代ではないので、この額から役職手当分が引かれない。

何と、2年分で162万3,600円もの請求が出来る可能性があるんです!!

証拠を集めて弁護士に相談する

実際に残業代をもらうためには会社と交渉しなければなりません。そのためにやるべきことは、まずどれだけ残業をしているのか証拠を集めることです。残業代の証拠として有効なのは、以下のようなものです。

  1. タイムカード
  2. 会社への入退館記録
  3. パソコンのログイン、ログアウトの記録
  4. メールの送受信記録
  5. 業務日報、運転日報

以上のような証拠を集めたら、残業代をもらうために会社と交渉をする必要があります。しかし、会社側にも専門家がついているため、個人的に交渉しても丸め込まれてしまう可能性があります。

そのため、残業代請求に強い弁護士に頼むことをおすすめします。今では、相談料無料の弁護士事務所も多くあります。上記の準備をして、まずは弁護士事務所に相談してみましょう。

まとめ

管理職になったからといって、残業代をあきらめる必要はありません。

役職を与えられたにも関わらず、責任や作業量ばかりが増えて、手取りが増えていない。こんな状況にある場合は、あきらめずに就業規則や、自分の待遇を見直してみましょう。

名ばかり管理職の項目に当てはまるのであれば、弁護士に相談する事をおすすめします。

残業代を請求できるのは「2年間」と決められています。迷っているようであれば、まずプロに相談だけでもしてみましょう!

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マスター

今はサラリーマン。ライスワークの幅を広げ、ライフワークを実現したい。3児の父。ブログもやってます!