いつ何が起こるかわからない時代の中で、あなたがキャリアアップする手段の1つに、資格を取得するということが挙げられます。
終身雇用制度が崩壊し始めているということは、それだけキャリアも不安定な状態になるということです。そんな時こそあなたの資格が、自らのスキルの証明になり、あなたのキャリアを守ってくれるでしょう。
この記事では、そんなあなたの将来に役立つおすすめの資格を業種別にご紹介していきます。あなたの目的に合った資格がきっとあると思います。ぜひ最後まで読んでくださいね。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1153631?title=%E8%B3%87%E6%A0%BC%E3%81%AE%E5%8B%89%E5%BC%B7)
これさえあればキャリアアップ確実という資格は存在しない
まずあなたに知っておいてほしいことは、「この資格さえ取得すれば確実にキャリアアップできる、安泰であると言い切れる資格はもはや存在しないということ」です。
昔は独立や転職のために資格を取得する人がほとんどでしたが、今は自らのキャリアの強化や、自分の可能性を広げるために資格を取得する人が多いです。
ですから資格を取得するにしても、資格選びの段階からしっかり戦略を立てる必要があります。
自分がどんなキャリアを目指すのか、そのキャリアのためにはどんなスキルが必要なのか、そのスキルを得るためにどんな道筋があるのかを深く考える必要があるのです。
キャリアアップに役立つ資格【事務編】
事務系のお仕事とは、総務、人事、経理などの業務が挙げられます。パソコン操作に関わるものや実務知識に関わるものがあればきっと役に立つでしょう。
ここでは事務系で働く人向けのおすすめの資格を2つご紹介します。
日商簿記(2級以上)
日商簿記とは、日常的な経理処理や決算書作成などの実務的な知識を身につけていることを示す資格です。
特に財務担当者に役立つ知識ですが、お金の流れや財務の仕組みを理解するという意味では、これからの社会人に必要不可欠なビジネススキルともいえるでしょう。
今現在、多くの企業が社員に対して簿記検定の資格取得を奨励しているしている他、年間で約60万人が受験している社会的に高い信頼と評価を得ている資格です。
- 受験資格…誰でも受験可能
- 試験形式…筆記
- 試験区分…初級、3級、2級、1級
- 受験料…4,720円(2級の場合)
- 合格率…28.6%(2020年2月・2級)
社会保険労務士
社会保険労務士とは、労働法や社会保障の法令に基づく書類の作成をしたり、企業の労務管理や社会保険に関する相談業務を行ったりすることのできる資格です。
略して「社労士」や「労務士」と呼ばれることもあります。国家資格ということもあり難易度はかなり高めで、10人に1人しか受からないぐらいの難関です。
とはいえ人事や労務管理、年金に関する専門の知識が身に着くため、企業の人事・総務担当者にとっては業務の範囲が広がるので、とてもおすすめの資格ですよ。
- 受験資格…受験資格の条件はこちらから
- 試験形式…筆記
- 試験区分…なし
- 受験料…9,000円
- 合格率…6.6%(2019年8月)
キャリアアップに役立つ資格【金融・保険編】
金融機関や保険会社で働く人には、個人のお金の運用・相続に関する資格や、法人の経営に関わる資格が役に立つでしょう。ここでは金融・保険系におすすめの資格を2つご紹介します。
フィナンシャルプランナー(2級以上)
フィナンシャルプランナー(FP技能士)は、相談者の夢や目標の実現、人生設計を支援し、その課題の解決策を提供する「お金の専門家」です。ちなみに国家資格でもあります。
投資や税制、不動産、住宅ローン、保険、年金といったお金に関する幅広い知識が求められるフィナンシャルプランナー。
資格取得後、独立している方もいますし、金融機関で資産相談担当者として働いている方もいます。
金融機関や保険会社で働いている人にとっては、仕事をする上での強みになりますし、転職をするならば企業に向けてのアピールポイントにもなるでしょう。
- 受験資格…3級は現在FP業務に従事、またはこれから従事しようとしている者。2級と1級は3級または2級の合格実績や、実務経験年数、認定受講歴などが問われる。詳しくはこちらから。
- 試験形式…筆記(学科、実技)
- 試験区分…3級、2級、1級
- 受験料…3級は6,000円、2級は8,700円、1級は2万円
- 合格率…3級は同時受験の場合72.43%、2級は同時受験の場合43.41%、1級は学科が10.14%、実技が93.0%(全て2019年9月)
中小企業診断士
中小企業診断士とは、日本で唯一の経営コンサルタントに関する国家資格です。中小企業における経営を分析し、経営上の課題解決に向けた助言を行います。
また、企業が行政や金融機関とやりとりする時の橋渡し役としての役割も担います。
資格を取得するために、経済学や財務、企業経営理論など数多くのことを学ぶため、独立だけではなく、社内でのキャリアアップとしても有効です。
- 受験資格…なし
- 試験形式…1次は筆記、2次は筆記と口述
- 試験区分…なし
- 受験料…1次は13,000円、2次は17,200円
- 合格率…1次2次ともに合格は5.5%(2019年)
キャリアアップに役立つ資格【IT編】
今や仕事でもプライベートでもインターネットは必需品です。様々なサービスを円滑に動かすには、IT産業で働く人たちの技術は必要不可欠です。
ここでは私たちの暮らしを支えるIT業界でおすすめの資格を2つご紹介します。
基本情報技術者
基本情報技術者は、基礎的な情報処理に必要な資格で、プログラムの設計から開発、単体テストまでの過程を行う方向けの国家資格です。
幅広く基礎的な知識が必要なため、ITエンジニアの基礎資格と言われています。
少し取得が難しい資格ですが、現在あらゆる企業でITに精通している人材を欲しがってしるので、ITの分野でキャリアアップしたい方は取得しておくと何かと便利です。
- 受験資格…なし
- 試験形式…筆記
- 試験区分…なし
- 受験料…5,700円
- 合格率…28.5%(2019年)
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士とは、基本情報記述者と並ぶ経済産業省認定の国家資格です。IT関連の資格ではかなり難しい部類で、試験の対象者は以下のように定義されています。
「サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者」
(引用:IPA 情報処理推進機構の公式サイト)
近年のサイバーテロによる脅威により、セキュリティ対策の重要性が高まっている現在において、企業から非常に重宝される資格です。
資格を取得することで、「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができ、「セキュリティエンジニア」として働くこともできます。
- 受験資格…なし
- 試験形式…筆記
- 試験区分…なし
- 受験料…5,700円
- 合格率…18.5%(2018年)
キャリアアップに役立つ資格【不動産編】
不動産売買は常に大きなお金が動くため、信頼できる資格を持っているかどうかが、かなり重要になっていきます。ここでは不動産業界で働く人におすすめの資格を2つご紹介します。
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは不動産売買(土地や建物の売買など)や賃貸物件の斡旋などを行うための国家資格です。
不動産に関する重要事項の説明に必要な資格ですので、不動産会社でキャリアアップを目指す人には必須の資格となります。
さらに建設会社や金融機関などでも資格保持者が求められるケースが多いため、転職にも有利な資格といえるでしょう。
- 受験資格…なし
- 試験形式…筆記
- 試験区分…なし
- 受験料…7,000円
- 合格率…17%(2019年)
不動産鑑定士
不動産鑑定士とは、不動産の経済的な価値を評価する専門家で、国家資格です。不動産の売買や賃貸借の時に、不動産の価値を分析し、価格として提示する仕事です。
不動産の資格では最高峰で、取得も難しいですが、受験回数に制限がないので、不動産系の会社に勤めている方で、さらなるキャリアアップを目指したい、できる業務を増やしたい方に非常におすすめです。
- 受験資格…なし
- 試験形式…筆記(論文試験あり)
- 試験区分…なし
- 受験料…13,000円
- 合格率…32.4%(2019年)
キャリアアップに役立つ資格【企業からの需要が高い資格編】
自分のキャリアプランに沿って取得する資格を考えていくことは大事ですが、もし取得したい資格が複数ある場合は、なるべく企業からの需要が高いものを取得するといいでしょう。
ここでは企業から需要のあるおすすめの資格を2つご紹介します。
TOEIC L&R Test
TOEIC L&R Testは、企業側が応募者の英語力を判断する材料として、広く知られている資格・試験です。この試験は合格不合格という定義はなく、990点中何点とれるかをテストします。
上場企業の中には、新入社員の採用試験で英語テストを実施している程、英語力を重視している企業もあるので、これからもTOEIC L&R Testで高得点を取ることは、大きな武器となるでしょう。
履歴書に書くのであれば、新入社員で600点以上、中途採用で700点以上は欲しいですね。
- 受験資格…なし
- 試験形式…筆記(リスニング試験あり)
- 試験区分…なし
- 受験料…6,490円
知的財産管理技能士(1級)
知的財産管理技能士とは知的財産を管理する能力を認められる国家資格です。知的財産とは人間のアイデアやブランドなど、形はなくとも価値があるもののことを指します。
企業の中に知的財産のスペシャリストがいることで、自分の会社の知的財産を守ることができますし、何より自分たちが加害者になることを防ぐこともできます。
知的財産を扱うことは企業の信用問題にも関わってくるので、知的財産について知識を持つ人材はこれから多くの企業で求められるでしょう。
キャリアアップのために資格をとるなら、まずやるべきこと①
次は自分のキャリアのために資格を取得する人が、最初にやっておくべきことを3つご紹介していきます。まず1つめは「その資格がなぜ必要かを深堀りして考える」ことです。
なぜを突き詰めると、一見必要な資格に思えても不要な場合もあります。貴重なお金、時間、労力を費やすからには、自分で納得できる答えをしっかり考えましょう。
もし会社から資格取得を要求された場合は、なぜ組織がその資格を求めるのかについて考えてみてください。どんな業務で必要なのかイメージすることで、会社だけではなく、本当に自分に必要なのかがわかってきます。
自己啓発の一環として資格取得をするならば、自分のなりたい姿から必要な資格を考える方法がいいでしょう。
キャリアアップのために資格をとるなら、まずやるべきこと②
次に必要なことは、「資格を取得したら、どんな状態になるのか、何ができるようになるのか」をイメージすることです。
学生時代に勉強しなくてはいけないのはわかっているけど、なかなかモチベーションが上がらないという経験はありませんか?資格取得には勉強し続けるモチベーション管理が重要です。
そんな時こそ資格を取得した自分がどんな活躍をするのか想像することが、あなたのモチベーションの維持につながってきます。
もしイメージしてもワクワクしないようであれば、その資格は今のあなたには合っていないのかもしれません。
キャリアアップのために資格をとるなら、まずやるべきこと③
最後にやるべきことは、「その資格を取得するために必要なものをリストアップする」ことです。資格取得への道を具体的にすることで、行動へと移しやすくなります。
例えば資格取得の方法を考えたり、取得に必要な費用と時間を計算したりすることが挙げられます。
資格取得の方法であれば、独学で勉強するか、予備校に通うのかを考える必要がありますし、費用と時間に関しては資格や資格の取得方法によってそれぞれ異なりますので、しっかり確認しておきましょう。
資格を調べる時は、必ずその資格の公式サイトを利用してください。資格によっては公式の講座を受講しなければならないのにも関わらず、非公式の格安講座を誤って受講してしまうことを防ぐためです。
おわりに
今回はあなたのキャリアアップに役に立つ可能性がある資格を業種別にご紹介しました。
- 事務系…日商簿記(2級以上)、社会保険労務士
- 金融・保険系…フィナンシャルプランナー(FP技能士2級以上)、中小企業診断士
- IT系…基本情報技術者、情報処理安全確保支援士
- 不動産系…宅地建物取引士、不動産鑑定士
- 企業から需要のある資格…TOEIC L&R Test、知的財産管理技能士(1級)
さらに資格の勉強をする前にやるべきことも併せて解説しましたので、ぜひ勉強をする前の参考にしてください。
自分や会社に必要のない資格をやみくもに取得しても、お互いに何のメリットもありません。
そうならないように自身のキャリアプランをしっかり考え、それに合わせた形で資格取得の勉強をしていってくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。