「私の職場に、ADHDと思われる部下がいる。どうやって付き合えばいいものか…。」と、悩んでいる上司もいるのではないでしょうか。
ADHDは、脳の機能異常が原因として起こる、発達障害の一種です。
ADHDの特性や対処法を知らないと、部下を傷つけてしまうことになりかねません。あなたは上司として、部下を傷つけることはしたくないはずです。
そこでこの記事では、ADHDと思われる部下と上手く付き合う方法紹介していきます。この記事では、以下の順番で内容を解説していきます。
- ADHDの病気に関する知識や症状について
- ADHDの部下によく見られるケース
- ADHDの部下と上手く付き合う具体的な方法について
この記事を読んで、ADHDと思われる部下と仕事をする時の参考として役立ててください。
アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E7%B4%99-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9-3213924/
ADHDとは、発達障害の一種である病気
ADHDとは、注意欠如・多動性障害とも呼ばれる、発達障害の一種の病気として知られています。
具体的には、年齢における脳の発達不相応に不注意であったり、落ち着きがなかったり、自分では抑えられない衝動性に駆られたりします。
ADHDになってしまう原因は定かではありませんが、一説には、脳の機能異常にあることが主な原因とされているのです。
脳の機能異常とは、大脳にある前頭前野の機能に偏りがあったり、脳内の神経伝達物質が不足していることが挙げられます。(出典:たわらクリニック-症状解説より)
ADHDの病気に関する情報を知ったところで、次からは、ADHDの症状を持つ人の具体的な症状を解説します。具体的な症状を知ることで、より相手への理解が深まるので必ず読みましょう。
ADHDを持つ人の症状はどのようなものか
ADHDを持つ人は、具体的には「不注意」、「多動性」、「衝動性」という3つの症状が現れます。ぞれぞれの症状を詳細に説明すると次の通りです。
- 【不注意】期限を守れない、順序よく計画を立てられない、忘れ物が多い
- 【多動性】そわそわと体を動かす、じっと座っていられず集中できない
- 【衝動性】思ったことをすぐに口に出す、衝動買いをよくする
3つの症状に共通することは、集中力や記憶力、自分をコントロールする力が低いということです。ADHDを持つ人は、子供の頃から実生活において、前述した3つの症状に苦しんでいるのです。
次の項目からは、症状の特徴である「不注意」、「多動性」、「衝動性」の3つの視点から、ADHDを持つ部下にありがちなケースを3つ紹介していきます。紹介するケースは、以下の3つです。
- 不注意なところが見られる
- じっとしていられない
- じっくり考えられない
おそらく、「こういうことが部下にはよくあるな…。」と思わず、うなずいてしまうことでしょう。
ADHDの部下に見られるケース①不注意なところがある
ADHDの症状を持つ部下は、不注意なところがあります。具体的には、仕事において複数の業務を順序よく立てることが苦手なため、仕事に手を付けられないといったことがあります。
また、デスクが散らかっていて整理整頓ができていないため、重要な書類を失くしてしまうこともありがちです。
そのため、本人は一生懸命やっているつもりでも、社内の人間からは「あいつは、育ちが悪いから仕事ができないやつだ…。」という、心ないレッテルを貼られてしまうのです。
ADHDの部下に見られるケース②じっとしていられない
ADHDの症状を持つ部下には、デスクにじっと座っていられないという特徴が見られます。じっとしていることができないので、集中力がありません。そのため、長時間のデスクワークを苦手とします。
長時間集中できないため、業務に支障をきたしてしまうことが多く見られるのです。そのため、仕事のペースが遅く、期限までに仕事を終わらせることができません。
期限までに仕事を仕上げることができないため、ADHDの症状を持つ部下は、上司や取引先との信頼関係に傷をつけてしまいがちです。
ADHDの部下に見られるケース③じっくり考えられない
ADHDの症状を持つ部下には、物事に対してじっくり考えられないという特徴が見られます。いつも頭の中でいろんな考えが浮かんでは消えるので、思考がまとまらないのです。
例を挙げると、Aのことを考えていたらBのことを、Bのことを考えていたらCのことをすぐに考え始めてしまうのです。
そのため頭の中がまとまらず、自分が何について考えればいいのか分からなくなります。そうして、結論を出せなくなってしまうのです。
ADHDの部下に見られるケースを紹介した後は、ADHDの部下と上手く付き合う方法を3つ紹介します。3つの方法とは、以下の通りです。
- 日頃から部下との会話を心がける
- 部下の仕事量を明確にする
- 部下にメモを取ってもらう
ADHDの症状がある部下との付き合い方に悩む人は、ぜひ参考にしてください。
ADHDの部下との付き合い方①日頃からの会話を心がける
最初に上司がやることは、ADHDの症状が見られる部下と日頃からの会話を心がけることです。天気のこと、趣味のことなど、簡単なことから始めてかまいません。
ただし、部下にADHDに関する話題を持ちかけるのはやめましょう。
もしかしたら本人も、「自分はADHDなんだろうか…。」と、悩んでいるかもしれないからです。上司が部下に直接、ADHDであることを決めつける言い方をすると、部下を傷つける可能性があります。
そのため、まずは部下との会話を心がけましょう。日頃からの会話を重ねることで、部下が仕事の悩みを話してくれるかもしれません。
ADHDの部下との付き合い方②仕事量の明確化
次に紹介する方法は、ADHDの症状が見られる部下の仕事量を明確にすることです。ADHDの症状が見られる部下は、複数の業務をこなすことを苦手とします。
そのため、上司は部下の1日にこなす仕事量を明確にする必要があるのです。具体的には、業務の順位付けをしたり、手順のチェックリスト化をしたりします。
上司が部下の仕事量を明確にしたうえで、今して欲しいことを部下に指示しましょう。そうすれば、部下もやるべきことが分かって業務に取り掛かりやすくなります。
部下がデスクの整理を苦手とするなら、始業時間の10分間だけ書類を5枚だけファイルに入れる、というように指示しましょう。
ADHDの部下との付き合い方③メモを取ってもらう
最後に紹介する方法は、ADHDの症状が見られる部下にメモを取ってもらうことです。部下が、話を聞けない、集中できない、複数のことを記憶できないなら部下にメモを取ってもらう方法が有効です。
部下がメモを取ることを通じて、話を集中して聞く姿勢ができます。メモを取るポイントは、日付や期限、要点、キーワードを押さえることです。
さらに、自分の気持ちや意見に関してその都度メモすれば、自分が相手に伝えたい要点を見直せます。具体例を見たら分かりやすいので、例を挙げて説明すると以下の通りです。
- 【用件】1週間後が期限になっている書類Aを、人事部に出しに行く
- 【メモの例】6月23日まで・提出・書類A・人事部のBさんでいいのか?
期限ややること、書類の種類、自分の気持を明確にメモを取ることで、自分や上司が見ても分かりやすいメモになっています。
ADHDの症状が見られる部下にメモを取ってもらうことで、部下はミスなくスムーズに仕事をこなすことができます。
ここまで、ADHDの部下と上手くやる方法を3つ紹介しました。ここまでの3つの方法を実践したうえで、部下が仕事を上手くやれないなら、次のステップを考える必要があります。
ADHDの部下とどうしても上手く行かないなら、配置転換を検討
最終手段として、上司はADHDの症状が見られる部下に対して、配置転換を検討する必要もあるでしょう。
まず、上司は部下の行動に対して日頃どのような業務を行っているのかを記録します。
そして、上司は会社の上層部に対して、ADHDに関する知識と、部下の仕事に関する状況を説明します。そうすることで、部下に相応しい配置場所を検討してもらうのです。
残念ながら、上司がADHDの症状が見られる部下に対してやれることをやったとしても、必ず部下の状況を変えられるわけではありません。上司がやれることをやったら、後は本人次第なのです。
まとめ
ここまで、ADHDの症状が見られる部下によくありがちなことや、対策方法に関して紹介していきました。3つのよくありがちなケースと、3つの対策方法をそれぞれまとめると以下の通りです。
- 不注意なところがあり複数の業務をこなすことが苦手
- じっと座っていることが苦手で集中力がない
- 物事に対してじっくり考えることが苦手
- まずは本人と相談してみる
- 部下が1日にこなす仕事量を明確にする
- 部下にメモを取ってもらう
ADHDは、脳の機能異常が原因とされている病気です。たとえ、部下が上手く仕事をやれなくても本人が甘えているわけではないのです。部下は部下なりに、一生懸命仕事に取り組んでいます。
この記事で紹介した対策方法や他の方法を部下が実践したとしても、必ずしも上手くいくわけではありません。そんな時には、配置転換も方法の1つであることを覚えておきましょう。
上司であるあなたは、ADHDと思われる部下を単なる能力不足と決めつけずに、言葉を調べて知識を身に着けようとしています。そのため、部下のことを理解しようとしているあなたは立派です。
ぜひ、この記事を参考にして、ADHDの部下と上手く付き合えるようにしてください。