モラルハラスメントとはなにか、知っていますか?この記事では、モラルハラスメントの意味、知らぬ間に被害者や加害者になってしまったときの対処法、モラハラに関する法律を紹介していきます。
モラルハラスメントの被害者になることはもちろん、加害者になることもキャリアアップが難しくなるなどの不利益が生じるものです。
モラルハラスメントは自覚なしに加害者になっているケースや、被害者なのに気づいていないケースも多いです。この記事を通して、自分は大丈夫かどうか確認してみてくださいね。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2091581?title=%E6%8C%87%E3%82%92%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%A6%E8%A9%B0%E3%82%81%E5%AF%84%E3%82%8B%E4%B8%8A%E5%8F%B8)
- モラルハラスメントとは?精神的にダメージを与えるもの!
- モラルハラスメントに当たる具体的な行動
- モラルハラスメントとパワーハラスメントの違いは?
- あなたもモラルハラスメントの加害者になっているかも!?
- モラルハラスメントは相手の自己肯定感を奪って支配してしまう
- モラルハラスメントの被害者になってしまったら
- モラルハラスメントを受けたら①証拠を集める
- モラルハラスメントを受けたら②第3者に相談する
- モラルハラスメントを受けたら③病院へ行く
- 知って安心!モラルハラスメントに関する法律
- モラルハラスメントを止められないのはストレス過多が原因かも
- モラルハラスメントを止めるために!ストレスと上手く付き合おう
- モラルハラスメントの加害者や被害者にならないために まとめ
モラルハラスメントとは?精神的にダメージを与えるもの!
モラルハラスメントとは、一言でいってしまえば「大人のいじめ」です。いじめは自殺を誘発する危険のある行為なので、絶対にしてはいけませんし、被害を告発して広げないことが重要です。
モラルハラスメントは、「モラル」という言葉と「ハラスメント」という言葉が合わさってできています。モラルは「道徳」、ハラスメントは「嫌がらせ行為」という意味です。
やってはいけないことは分かっても、抽象的な言葉なので、いまいちピンとこないかもしれませんね。
次章では、モラルハラスメントに該当する具体的な行動例を紹介します。ご自身がやっていないか、他の人から受けていないか確認してみましょう。
モラルハラスメントに当たる具体的な行動
モラルハラスメントに当たる具体的な行動は以下のようなものです。
- (職場で)プライベートへの過度な介入をする
- (職場で)仕事の情報を与えない
- 些細なことで相手を咎める
- 相手を無視する、仲間はずれにする
- (家庭で)子どもに悪口を吹き込み相手を孤立させる など
読んでいただければ分かるように、モラルハラスメントは職場でも家庭内でも起こるものです。相手に精神的なダメージを与えるような行動や言動はモラルハラスメントになります。
職場である程度の立場にいる人や夫がモラルハラスメントをするケースが多いです。(もちろん立場が低い人や妻がする場合もあります。)
また、自分がしているという自覚がなくても、相手が精神的な苦痛を感じている場合はモラルハラスメントと判断されてしまうこともあるので、注意が必要です。
次章では、モラルハラスメントとパワーハラスメントの違いについて解説していきます。
モラルハラスメントとパワーハラスメントの違いは?
モラルハラスメントと似た言葉にパワーハラスメントがあります。モラルハラスメントとパワーハラスメントの違いは、職場の立場を利用しているかどうかです。
パワーハラスメントは、職場の立場を利用するものをいいますが、モラルハラスメントはそうでないものも含みます。そのため、モラルハラスメントは職場だけでなく夫婦間、恋人同士でも起こるものです。
また、モラルハラスメントは精神的に追い込むことなので、陰でバレないように行われることも多く、問題が大きくなってから発見されることが多いのも特徴です。
あなたもモラルハラスメントの加害者になっているかも!?
モラルハラスメントは加害者になっているにもかかわらず、自覚がないケースが多いのが特徴です。自覚がなくても、相手が不快に思えばハラスメントになってしまいますので、注意が必要です。
モラルハラスメントの具体的な行動についてはすでに紹介したので、ここでは、モラルハラスメントの加害者になりやすい人の特徴を紹介します。
- 根に持つタイプで過去の出来事について何度も愚痴を言う
- 自分の意見が通らないとすぐにイライラしてしまう
- 上下関係では多少の理不尽は当然だと思っている
- 人よりも優位な立場にいないと気が済まない
- 完璧主義で他人のミスが許せない など
自覚がないケースで多いのが、上下関係は当然だと思っている場合です。価値観が変わってきているので、上下関係があっても対等に話し合いをするのが当たり前になりつつあります。
価値観の入れ替えができていないと、あなたは上司として当然の振る舞いだと思っていても、部下はモラルハラスメントだと感じるかもしれません。
自分の価値観は時代の流れに沿ったものであるか、今一度、見直してみるといいでしょう。
モラルハラスメントは相手の自己肯定感を奪って支配してしまう
モラルハラスメントは日常のささいな振舞いなので、「大したことじゃない」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際はそうではありません。
ひとつひとつの振る舞いは小さくても、日常的にその振舞いを受け続けるのはかなり苦痛が伴います。また、モラルハラスメントは相手を否定し続けるので、相手は自己肯定感を失っていきます。
「嫌ならそう言えば良い」と考えるかもしれませんが、それさえもできなくなっていくのです。自己肯定感を失い、「自分が言っても無駄」だと感じるからです。
職場でモラルハラスメントをしてしまっては、キャリアアップの障害になるでしょうし、法的措置を取られる可能性もあり、加害者側にとってもメリットは一切ありません。
次章では、モラルハラスメントの被害者になってしまった場合の対処法を紹介していきます。
モラルハラスメントの被害者になってしまったら
モラルハラスメントの被害者になってしまうこともあるでしょう。被害者になってしまった場合は、以下の3つ手順を試してみてください。
- 証拠を集める
- 第3者に相談する
- 病院へ行く
3の「病院へ行く」は必要な場合だけで構いません。また、必要であれば証拠を集める前に病院へ行っても良いですし、相談する段階で行っても大丈夫です。
ただ、相談する前には必ずモラルハラスメントを受けている証拠を集めるようにしてください。次章以降で詳しく見ていきましょう。
モラルハラスメントを受けたら①証拠を集める
まずは、モラルハラスメントを受けている証拠を集める必要があります。モラルハラスメントを受けている証拠は、以下の3つの方法で集めます。
①録音をする
日常的に受けているモラハラに当たる言動を録音します。スマートフォンのアプリでも録音することができますし、小型の録音機材を使っても構いません。
「プライバシーだから…」などと心配する必要はありません。あなたの尊厳や健康が害されているのですから、あなたの身を守るのが優先です。
②スクリーンショットをする
SNSやメールを通じてモラルハラスメントを受けている場合は、その文面をスクリーンショットしておきましょう。スクリーンショットとは、スマートフォンまたはパソコンの画面を撮影するものです。
③日記をつける
日記を毎日書き、受けているモラルハラスメントの内容をなるべく詳細に書いてください。
トラブルのある期間だけ書くよりも、日常的に書いているほうが証拠として強いですが、ないよりは良いので書いておきましょう。
モラルハラスメントを受けたら②第3者に相談する
モラルハラスメントを受けている証拠が集まったら、第3者に相談します。職場か夫婦間かによって、相談先が違うので注意してくださいね。
職場の場合
職場でモラルハラスメントを受けている場合は、社内のハラスメント相談窓口に相談します。
社内に窓口がない場合や、相談しても取り合ってくれない場合は、労働局に相談しましょう。もし、それでも解決しない場合は、弁護士に相談することも検討してみてください。
夫婦間の場合
夫婦間で受けている場合は、法テラスや弁護士に相談してみましょう。モラルハラスメントを理由に離婚を請求したり、慰謝料を請求することができます。
弁護士については、当メディアの運営者が運営している「DEBIT INSIDER」というメディアで扱っています。無料相談できる弁護士事務所もありますので、参考にしてみてください。
モラルハラスメントを受けたら③病院へ行く
証拠を集め、相談する過程で必要であれば病院に行って、メンタルケアをしてもらいましょう。
精神的に追い込まれたことで身体にも影響が出ている場合は「心療内科」、身体には影響が出ていない場合は「精神科」や「メンタルクリニック」などを受診してください。
じっくり話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になり、モラルハラスメントによって低下していた自己肯定感も少しずつ戻ってくるでしょう。治療は焦ると逆効果になりますので、焦らないでくださいね。
次章では、モラルハラスメントに関する法律を紹介していきます。法律を知ることで自分の身を守れることが実感できますし、加害者側の場合はリスクを知ることでモラハラを止めるきっかけになるでしょう。
知って安心!モラルハラスメントに関する法律
ここでは、モラルハラスメントに関する法律を紹介していきます。モラルハラスメントは法律で直接的に規定されているわけではありませんが、状況によっては法的措置が可能です。
モラルハラスメントに関する法律は大きく分けると、モラハラをした人の責任を問う法律と、モラハラを容認してしまった会社の責任を問う法律の2種類があります。
モラハラした人の責任を問う法律
モラルハラスメントをした人(加害者)の責任は、刑法の名誉毀損罪や侮辱罪、民法によって問われます。誹謗中傷が酷い場合は、これらの法律によって罰せられます。与えられる罰は以下の通りです。
- 名誉棄損罪…3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金
- 侮辱罪…拘留または科料
- 民法…被害者の治療費や慰謝料
モラハラを容認してしまった会社の責任を問う法律
あまりイメージがないかもしれませんが、モラルハラスメントを容認してしまった会社の責任を問う法律もあります。
- 労働契約法
- 男女雇用機会均等法
これらの法律では、会社は労働者が安心して働ける環境を作る義務があるとされています。モラルハラスメントを容認することは、この義務を怠ったことになるのです。
被害者側が上記の法律を根拠として訴訟を提起した場合、損害賠償の支払いが命じられる可能性があります。
モラルハラスメントを止められないのはストレス過多が原因かも
モラルハラスメントを無自覚で行っていた場合、止めようと思っても止められなくなっている人もいるでしょう。こういった人は、過剰なストレスを抱えている可能性があります。
特に部長などの中間管理職と呼ばれる立場にいる人は、上司と部下に板挟みにされるため、仕事でストレスをためやすい環境にいるケースが多いです。
こういった視点で考えると、モラルハラスメントの加害者も被害者なのです。
決してモラハラを容認するわけではありませんが、まずは自分を大事にし、ストレスから抜け出すことを考えてみましょう。
モラルハラスメントを止めるために!ストレスと上手く付き合おう
モラルハラスメントをしてしまう人もある意味では被害者です。しかし、モラルハラスメントをしてしまっている以上、いくら被害者の側面を持っていても責任を問われます。
モラルハラスメントでは、相手を馬鹿にしたり嫌がらせをしたりするため、優越感が得られます。この優越感に浸っている間は、ストレスから逃げられるという訳です。
優越感は「他人と自分を比べる心理」から生まれます。他人と自分を比べたときに自分が劣っていると思えば劣等感に苛まれるのです。
劣等感はモラハラの被害者が常に感じている感情でもあります。そして、被害者を見ていると無意識のうちに「自分もこうなるのかもしれない」と恐怖を感じます。
この劣等感と恐怖が大きなストレスとなり、ストレスから逃れるためにモラハラに走ってしまうのです。この悪循環の中では、あなたも被害者もどんどん辛くなっていきます。
自分が得をした気分になるもの、快楽を感じるものは、ストレス発散したような気分になりますが、実際はそうではありません。たとえば、以下のようなものです。
- 飲酒
- 過食
- ギャンブル
- モラハラなど他人を傷つける行為
上記の行動は一時的に気を紛らわせるだけで問題の解決に繋がらないため、ストレスがたまり続けるのです。
まずは、これらの行動ではなくて気分が穏やかになる行動をとるようにしてみてください。たとえば、以下のような行動です。
- 好きな音楽を聴く
- 好きな人と過ごす
- 自然の中で過ごす
- 趣味に没頭する
- 運動する
上記の行動を取って落ち着きを取り戻しつつ、あなたのストレスになっている状況の解決に取り組んでみてください。
モラルハラスメントの加害者や被害者にならないために まとめ
モラルハラスメントについて紹介してきました。加害者になってしまった場合と被害者になってしまった場合の両方について触れましたので、それぞれ内容をまとめておきますね。
- 証拠を集めて第3者に相談する
- 必要であれば病院などでメンタルケアを受ける
モラハラの証拠は、加害者の言動を録音したり、日記を書いたりすることで集めます。相談する際は、社内のハラスメント相談窓口や労働局、弁護士に相談してください。
- モラハラを自覚し、止めるように心がける
- 止められない場合はストレス過多かも
- モラハラではストレス発散できない
- ストレスの原因を解決する
モラハラは自覚していないうちにやってしまっている場合も多いです。記事では、モラハラに当たる行動やモラハラ加害者になりやすい人の特徴を挙げたので、参考にしてください。
もし、自分が加害者になってしまった場合は、自分を過剰に責めず、自分を労わりましょう。多くの場合、ストレスが原因であるからです。
モラハラをしていてもストレスは増えるばかりです。好きな人と過ごしたり、趣味に没頭したりなど自分が穏やかにいられる過ごし方をしつつ、ストレスの原因と向き合ってみてください。