「なんでこんなに仕事ができないんだ!」とイライラしてしまう部下、あなたの職場にもいるのではないでしょうか?
仕事ができない部下に対しては怒鳴りたくもなってしまいますが、それでは自分も相手も疲弊するだけです。
どうしたら仕事ができない部下へのストレスを減らし、イライラをなくすことができるのでしょう?
この記事では「できない部下」へのアプローチ方法をまとめましたので、ご自身の状況と置き換えながら読み進めてみてください。
イライラする部下には【働きアリの法則】を元に向き合う
使えない部下を持つと「なんであいつはこんなに仕事ができないんだ…」と頭を抱えてしまいますよね。そうしたとき、対処法のヒントになるのが「働きアリの法則」です。
働きアリのうち、真面目に働いているのは8割で、残りの2割は仕事をしていない。
「2割の働かないアリを取り除いてしまえばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、働かないアリを取り除くと、残りの8割の中で、今まで働いていたアリの2割が働かなくなってしまうのです。
この法則は非効率的にも感じられますが、各々のコロニーを効率よく運営するために自然界で採用されています。
すべてのアリが一度に全力で仕事をしてしまうと、全員が同じタイミングで息切れを起こしてしまいますよね。それを防ぐため、常に2割は体力を温存しているのです。
イライラする部下を【仕方がない】と受け入れる
それでは、この「働きアリの法則」を会社に当てはめてみるとどうなるでしょうか。
社員のうち、真面目に働いているのは8割で、残りの2割は仕事をしていない。
人間も自然界の一部です。そのため「働きアリの法則」が遺伝子に刷り込まれているのだと考えてみてください。
働きアリの法則を知ると、「仕事のできない部下が2割いるのは仕方ないな」と思えてきませんか?
この「仕方がない」という認識が、できない部下と向き合う第一歩です。この認識を元に、様々な対応策を講じていきましょう。
仕事ができない部下には【できる仕事】をしてもらう
「部下の2割は仕事ができない」ことは仕方がないとはいえ、上司として部下に何も仕事をさせないわけにはいきません。
仕事のできない部下には、彼らにもできる仕事をしてもらいましょう。
- 納期がなく、進捗が遅くても問題のない仕事
- ミスが発生しても、他の業務への影響が少ない仕事
- 初歩的で簡単、他の部下たちがフォローできる仕事
部下が働かなくてイライラしてしまうときは、こうした仕事を任せてみてください。
部下の「わかりません」にイライラしたら【頼み方】を変える
あなたは上司として、できない部下のために彼らにもできる仕事を一生懸命探し、彼らの成長を願って仕事を頼みました。
ところが、この場面で部下が「できません」「わかりません」と答えたら、イライラが爆発してしまいますよね。
働かない部下は仕事の仕方がわからないようです。面倒ですが、働かない部下には懇切丁寧に仕事の仕方を教えてあげるしかありません。
- どこまでやれば完了となるのかを伝える
- どのような手順で進めるのかを説明する
- 注意してほしい箇所について伝える
- わからないことがないか確認する
他の部下なら「よろしくね」で済むことが「なぜこの部下はここまで言わないとわからないんだ」とまたしてもイライラが募ってしまいそうですね。
そうしたときは「働きアリの法則」を思い出してください。この部下が働かないのは自然界の法則であり、仕方のないことです。働かない部下専用の仕事の頼み方マニュアルと捉えてみてください。
報連相のない部下にイライラしたら【話しやすさ】を意識する
イライラを抑えながら仕事の仕方を丁寧に教えてあげたあなた。「手順もわかりやすく説明したことだし、第一段階が終わったら報告に来るだろう」と待っているのに、いつまで経っても報告に来ない部下。
心配になって見に行くと、全然進んでいない!理由を尋ねると、途中の進め方についてずっと悩んでいたという部下。どうしてすぐ相談しに来ないんだ!
報連相の常識がない部下を“待っている”と、こうしてあなたのイライラが募ってしまいます。相手から来てくれたらいいのですが、期待するだけ無駄なので、自分から聞きに行ってしまいましょう。
このとき、責める言い方をすると部下は委縮してますます報連相しにくくなります。話しやすい雰囲気で接し、段々と相手から報連相しに来るような関係になるよう意識してみてください。
- 自分から笑顔で声をかけるようにする
- 朝や退勤時など、折を見て進捗具合や不明点がないか聞いてみる
- いきなり反論や注意をせず、「~なんだね」と相槌を打つ
ただでさえイライラさせられる部下にここまで優しくするのはなかなか難しいですよね。まずはイライラが相手に伝わらないようにするところから始めてみてはいかがでしょうか。
部下の不出来具合にイライラしたら【判断基準】を低くする
部下のために簡単な仕事を見つけ、懇切丁寧に説明し、いよいよ部下が「できました」と仕事を提出してきました。
しかし、部下に任せた仕事の結果を見て「こんなに簡単な仕事なのに、どうして完成度がここまでひどいんだ!」とさらにイライラしてしまった、ということはありませんか?
そうしたときは深呼吸をして、「この部下は仕事ができない2割だから仕方ない」と自分に言い聞かせ、「仕事ができない部下のための基準」で考えてみてください。
- 自分なら100%できる仕事の場合、30%で合格とする
- 他の部下たちの平均点の50%で合格とする
- 10のタスクのうち5つ完了していれば合格とする
自分や他の部下と同じ評価基準を働かない部下にも当てはめてしまうと、働かない部下は必ず不合格となり、「なんでこうなんだ!」とイライラの原因になってしまいます。
働かない部下に対しては低い評価基準を持ち、初めから期待値を下げておくとイライラも軽減できます。
仕事ができない部下には【叱り方】を変えてみる
いくら評価基準や期待値を下げてみても、「これは口頭で注意しないといけないな」という場合もありますよね。
そうしたとき、普段からイライラする部下が相手だと冷静さを失ってしまいがちですが、あなたが感情任せに注意してしまうと、部下の中にはあなたへの反発だけが残ります。
部下は成長せず、またミスをし、あなたはまた同じ注意をしなければならず、イライラが無限に循環します。その悪循環を断ち切るためにも、冷静に、的確に、わかりやすく注意してあげてください。
- 問題点を紙に書きだしておく
- 注意するときは問題点以外口にしない
- 部下が反論や言い訳をするときは「君ではなく、~が原因なんだね?」と反復する
怒鳴ってしまいそうな気持ちはとてもよくわかります。「この部下が使えないのは仕方ないんだ」とあなた自身に言い聞かせながら叱ってあげてください。
受け身の部下にイライラしたら【ルール】を決める
簡単な仕事を任せ、なんとかその仕事を完了させたものの、その後まったく次の仕事にとりかかろうとしない部下、あなたの周りにもいるのではないでしょうか。
このような部下の受け身な姿勢には本当にイライラさせられますよね。そうしたイライラを少しでも軽減するために、あらかじめルールを決めておくことをおすすめします。
- 1つの仕事が完了したら、次の仕事を探す
- 次の仕事が見つからないときは、上司や同僚に仕事がないか聞く
- 次の仕事が複数あるときは、優先順位を確認する
ホワイトボードや付箋を利用し、完了したものにはチェックを入れるなどして、部署のみんなで共有しましょう。
他の同僚たちが“ルールを当たり前にこなしている”ことを見せることで、できない部下が「ルールを守らなければ」と感じる環境を作れます。
できない部下はルールが身に付くまで長い時間が必要です。毎回あなたが注意してストレスを溜めては元も子もありません。部下同士で週替わりのグループをつくり、お互いにチェックする仕組みにしても良いですね。
上記の方法を使っても、イライラが収まらないときは
様々な対応策を講じても改善がみられないときには、上司や会社に相談しましょう。
相談する際には、以下の点をまとめて簡潔に伝えてください。上司や会社が、できない部下をどう対処するのが適切かを判断する材料となります。
- もともとの部下の問題点=どのようなミスをしてきたのか。その結果、部署やプロジェクトにどのような影響があったのかなど。
- 自分がどう考え、どのような対応を行い、部下はどう変化したか(またはしなかったか)
- 部下の特徴=一人で黙々と仕事をするタイプか、人と話しながら進めるタイプか。量と質、どちらを重視しているのかなど。
- 上記部下の特徴を踏まえ、自分が考える部下に向いている仕事や部署
これらを伝えることで、「できる限りの対応をしたが改善が見られなかった」というアピールになり、あなたの管理力不足が原因ではない説明にもなります。
部下に改善がみられるかどうか観察する意味でも、普段から記録をつけておくと良いですね。
イライラする部下へのアプローチまとめ
ここまで、仕事ができない部下に対する様々なアプローチ方法をお伝えしました。
- 「自然界の法則として2割は働かないようにできている」と認識する
- 「仕事ができない(働かない)部下がいるのは仕方がない」と受け入れる
上記2点を意識することで、できない部下に対してイライラすることが減り、対応策を講じることで「できない部下も活用できる新しい職場」を作ることができるように思えませんか?
イライラを蓄積させて最終的には怒鳴ってしまい、お互いに疲弊するよりも、新しい仕組みを作っていくほうが建設的ですよね。
できない部下へのアプローチを通して新しい職場を作り、イライラから解放されましょう!