部下を適切に動かすには、どのように目標設定をしたら良いかと悩んではいませんか?
部下を育てるために目標設定は不可欠です。しかし、目標の内容によっては、部下のモチベーションを下げてしまうことにもなるため、慎重に目標設定をする必要があります。
失敗を避けるには、目標設定の必要性を理解し、その上で、必要なポイントを考慮しながら目標を決めることが大切です。適切な目標を設定することで部下のモチベーションは高まり、成果をあげやすくなるでしょう。
ここでは、部下に目標設定をする必要性と、適切に設定するための5つのポイントについて解説します。ポイントを踏まえた具体例も紹介しますので、目標を設定する際の参考にしてください。
部下に対して目標設定が必要なのはなぜか
なぜ部下に目標設定が必要なのか。それは部下をゴールに向かって行動させるためです。ゴールを明確にすることで、部下は何をすべきかを理解し、ゴールに向かって行動するようになります。
たとえば、月の売り上げ目標を100万円と設定して仕事に取り組んだ場合と売り上げ目標を設定しなかった場合の部下の動きを見ていきます。
月の売上100万円を達成するために、部下は訪問件数を増やす、獲得単価を増やすために高単価商品を特に紹介するなどの行動を行います。
反対に、売り上げ目標がない部下は、何をしたらいいか分からなくなり、適当に仕事を行うでしょう。このように、目標設定がなければ、目指すべき最終地点が分からなくなり、部下は行動できなくなります。
適切に目標設定するための5つのポイント
この章では、適切に目標設定するためのポイントについて解説します。部下に行動してもらうための目標を設定する際、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 部下の能力よりも少し高い目標にする
- 実現可能な目標を設定する
- 職種に適したものを設定する
- 期限を必ず設定する
- 目標に対する行動を具体化する
どれも、するべきことを明確に表現し、部下の行動を促すのに必要な要素です。
たとえば、「これまでの行動を見直す」という指示は抽象的ですが、5つのポイントを考慮すると、「TODOリストを作成して、確認しながら仕事を進める」など、指示が実践的になるでしょう。
このように、ポイントを意識するだけでも、指示の内容に違いが出てきます。次の章から、各ポイントについて詳しく説明します。
部下の目標設定ポイント1:能力よりも少し上の目標を設定する
部下の目標設定ポイント1つ目は、部下の能力よりも少し上の目標を設定することです。部下の能力よりも少し上の目標を設定すると、部下は意欲的に仕事に取り組みます。
なぜなら、努力すれば到達できそうな仕事で成果を出すことで、部下は達成感を感じるからです。反対に目標が低すぎると、簡単すぎて、部下が達成感を感じないどころか、部下の成長は望めなくなります。
達成可能な目的は、部下が「これならできそうだ」と、やる気を引き出すものが理想です。
達成可能な目標を設定するには、日頃から部下の仕事ぶりや趣向についてよく観察し、部下の能力を把握するようにしましょう。
部下の目標設定ポイント2:実現可能な目標を設定する
部下の目標設定ポイント2つ目は、実現可能な目標を設定することです。具体的な目標に数字は効果的ですが、その数字が実現可能なものでないと、部下のやる気を削ぐことになります。
たとえば「前月の売上の2倍」と、自分の希望を目標に掲げても、具体性に欠けるため、部下は白けてしまいます。
反対に、過去のデータを分析し、売上2倍をクリアするために必要な期間を導き出した上で、「6ヶ月後に今の売上の2倍」という目標を設定すれば、部下も「それならできそうだ」と、納得するのではないでしょうか。
このように、明確な目標には根拠があり、部下を納得させる力があります。成し遂げる見込みがあれば部下はやる気を出し、目標に向かって仕事に取り組むようになるでしょう。
部下の目標設定ポイント3:職種に適したものにする
部下の目標設定ポイント3つ目は、職種に適したものにすることです。なぜなら、各職種によって生じる問題は異なり、課題の優先順位にも違いがあるからです。
たとえば営業職は利益をあげることが求められますので、売上げアップが優先すべき課題になります。
そして、必要に応じてプレゼンテーションのスキルアップなどの目標を設定することになるでしょう。
職種に適した目的は、達成した時に、部下のメリットだけでなく、所属している部門、さらに会社にとってもメリットになります。
部下の目標設定ポイント4:期限を必ず設定する
部下の目標設定ポイント4つ目は、期限を必ず設定することです。なぜなら、期限を設定することで、部下は気持ちを引き締め、その日までに仕事を終わらせようと動くようになるからです。
たとえば、「手の空いた時でいい」と指示してしまうと、部下は仕事を後回しにし、そのまま忘れてしまう可能性が出てきます。
反対に、「今週の水曜日までに」と明確に提出日を設定すると、その日までに仕事を終わらせようと、作業に集中するようになるでしょう。
期限を明確に指示する・しないは、部下の行動に大きく影響を与えます。部下のモチベーションを高めて行動を促すには、具体的な提出日を設定するようにしましょう。
部下の目標設定ポイント5:目標に対する行動を具体化する
部下の目標設定ポイント5つ目は、目標に対する行動を具体化することです。目標を設定したら終わりではなく、目標を達成するための行動を具体的に決めていかなければなりません。
なぜなら、部下に行動設定を任せていては、目標に届かない可能性もあるからです。行動を具体的に指示することで、どのように行動すれば目標を達成できるのか、部下に正しく伝えられます。
例えば、部下が「1日2件の営業先訪問で目標を達成できるだろう」と予測したとします。上司のあなたが部下の行動設定を確認した時に、部下の目標達成が可能かどうか、わかるはずです。
目標に対する行動設定を的確に行うための手順について、紹介します。
- 部下に目標を達成するための行動設定行わせる
- 上司と部下で部下が設定した行動設定によって目標が達成可能か確認する
まずは、部下に行動設定を行わせましょう。次に、部下が考えた行動設定を上司が確認していきましょう。
確認の後、行動設定の修正が必要であれば、部下に修正を行わせ、目標を達成できる行動設定ができるまで繰り返します。
行動設定は、あくまでも部下に行わせることが大切です。部下自身で、行動目標を立てることで、行動に対して責任を持って行動するようになりますよ。
5つのポイントを使った目標設定の具体例
この章では、5つのポイントを踏まえた目標の設定方法について、営業目標の設定を例に挙げて説明します。営業部では、「売上目標月300万円が達成できていない状況を変える」ことが優先課題です。
過去のデータから、売上目標は、部下が努力することで達成できる数字であることがわかりました。そこで、「顧客の新規開拓を広げて月300万円売り上げる」を、達成可能な目標として設定します。
「新規訪問者数」は、部下の能力にあわせて決めます。部下にとって根拠のある目標にするためです。
新規訪問数を設定したら、「移動時間を減らす」「訪問する優先順位を決める」など、日々の行動を具体化していきます。「1日2件新規訪問し、1ヶ月間続ける」と、期限を設定することも忘れないようにしましょう。
目標設定後は部下の感情面をサポートすることを忘れずに
目標設定後は、部下の感情面をサポートすることに徹します。予想通りに仕事が進まないことで、部下のモチベーションが下がってしまうのを防ぐためです。
モチベーションの低下を防ぐには、部下と情報を共有し、コミュニケーションを取ることがポイントです。
具体的には、日報を使ってその日の作業や行動を振り返り、コメントやアドバイスを書き込むなどして、部下とマメにやり取りをします。
「仕事を成し遂げられない」と部下が感じると、部下は途端にやる気を失ってしまいます。それを防ぐためにも、目標は設定して終わりにせず、部下が適切に行動しているかどうか、確認しましょう。
まとめ
部下に適切に動いてもらうための目標設定方法について紹介しました。目標は、仕事のゴールになりますので、部下が迷わず行動できるように設定することが大切です。
適切な目標を設定する方法として、以下の5つのポイントについて解説しました。
- 部下の能力よりも少し高い目標にする
- 実現可能な目標を設定する
- 職種に適したものを設定する
- 期限を必ず設定する
- 目標に対する行動を具体化する
部下が動きやすい目標を設定し、部下の育成を成功させましょう。