「ASDの部下と働くことになったけど、自分が何をすべきかわからない。」「部下が少し個性的なんだけど、もしかしてASDかな?とお悩みの方に向けて記事を書きました。
ASDの人は、その個性的な特徴により「少し変わった人」と認識されることが多いですが、強みが発揮されれば、大きな戦力として期待できます。
本記事では、そんなASDの部下を持った方に、ASDの特徴や症状を紹介した上で、あなたがASDの部下にできる5つのことを解説していきます。ぜひ最後まで読んでくださいね。
ASD(自閉症スペクトラム)とは
この章では、まずASD(Autism Spectrum Disorder)について知らない人のために、ASDについて詳しく解説していきたいと思います。
ASDの大きな特徴
「自閉スペクトラム症(ASD)」は、コミュニケーション・対人関係の困難とともに、強いこだわり・限られた興味を持つという特徴がある発達障害です。
(引用:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1071.html)
「ASD(自閉スペクトラム)」は、自閉症やアスペルガー症候群等が統合してできた診断名で、コミュニケーションが苦手で、強いこだわりがあるという大きな特徴があります。
原因は不明ですが、幼少期の教育、親のしつけ、愛情不足等が原因ではなく、生まれつきの脳機能障害であると考えられています。
ASDの二次的な症状
- 引きこもり
- うつ病
- パニック障害
- 対人恐怖症
ASDは、コミュニケーションが苦手という特徴から、人間関係で孤立してしまうこともあり、その結果として「引きこもり」「うつ病」を抱えていることがあります。
またASDの人は、不安やストレス対して敏感な人が多いため、「パニック障害」「対人恐怖症」などで、苦しんでいることもあります。
部下がもしかするとASD?
ASDといっても、それぞれ特徴や程度の差があります。そのため、成人する前に自分がASDと理解している人もいれば、大人になってからASDだと診断されるケースもあります。
幼少期からASDの特徴があっても、知的能力が平均以上の場合は「自分は少し人と違う」という認識くらいで、自分がASDだと把握していない人も沢山います。
そもそも「ASDである人」と「ASDでない人」の境界線が明確ではありません。グレーゾーンも幅広いため、あなたが部下に対して「ASDかも」と感じても、本人が把握していない可能性もあります。
部下を理解するためASDの症状を理解する!
ではASDの部下は、仕事を進めていく上でどのような症状がみられるでしょう。この章では、3つの症状を解説していきます。
- チームプレイが苦手
- イメージやゴールが共有しにくい
- 自己流にこだわる傾向がある
チームプレイが苦手
ASDの部下は、コミュニケーションが苦手なため、1人で黙々と作業をすることが得意な人が多いです。しかし連携をとりながら行うチームプレイが苦手な人が多い傾向にあります。
イメージや仕事のゴールを共有しにくい
ASDの部下は、あなたの指示や助言を独自に解釈してしまったり、自分のイメージや考えを伝えたりすることが苦手です。
そのため、あなたが部下との会話の中で、イメージや仕事のゴールを共有することが難しいと感じる可能性があります。
自己流にこだわる傾向がある
ASDの部下は、仕事の進め方や手順に強いこだわりを持ち、仮に効率の良いやり方を助言したとしても、自己流でやろうとする傾向があります。
自分の納得した進め方や手順でないと、強い不安を感じてしまうからです。また一度何かが気になると、気になること優先して進めてしまい、指示された仕事から離れてしまうこともあります。
ASDの部下に向いている仕事内容は?
ではASDの部下が向いている仕事内容はどんなものがあるでしょうか。この章では、具体的に仕事内容を紹介していきます。
- プログラミングなど集中力が必要なIT関連業務
- 工場での検品やライン作業
- 文章の校閲校正作業
- 規則的な点検作業や清掃作業
紹介した内容は、沢山ある仕事の中の一例に過ぎません。ASDの人は、集中力があります。仕事に集中できる環境下で、一定の規則やルールに沿って行う仕事が良いでしょう。
上記のような仕事を与えることで、ASDの人が持っている長所をうまく活かすことができますよ。
ASDの部下を知って理解しようとする姿勢が大切
ASDの人は、「変わった人」と認識されやすく、過去の人間関係においても孤立してきた可能性が高いです。
一言でASDといっても、コミュニケーション能力の程度も、こだわりの強度もそれぞれです。あなたが部下を理解し、できることを1つ1つやっていくことが大切です。
では具体的に何ができるのしょうか。ASDの部下を持ったあなたができる5つのことを紹介しますね。
- 強みを理解する
- 指示はできるだけ具体的に
- 1つの業務に専念させる
- 仕事の進捗を確認する
- 仕事の「見える化」
次の章からは、ASDの部下を持ったあなたができる5つのことを1つ1つ詳しく解説していきますね。
あなたが部下にできること①強みを理解する
ASDの部下を持ったときに、まずあなたがやるべきことは、部下の強みを理解することです。まずあなたが部下にとっての理解者になりましょう。
- 関心のある分野に集中力があり、それを持続できる
- 特定分野の記憶力がある
- 几帳面で、仕事を正確に行うことができる
- 規則に従順で、ルールやマニュアルに忠実
ASDの人は、興味や関心のある分野に対して、人並み外れた集中力と記憶力を発揮します。リーダーであるあなたが、その分野を理解していると、頼りになる戦力になる可能性があります。
規則、ルール、マニュアルといった決まり事が一度定着すれば、そこから外れることを嫌うため、とても誠実で真面目な部下になります。良い方向に導いてあげたいですね。
あなたが部下にできること②指示はできるだけ具体的に
ASDの部下に対しては、できるだけ詳しく具体的に指示や助言を行うようにしましょう。「空気」や「雰囲気」を読むといったことが苦手なため、指示の省略や、簡潔すぎる説明は避けた方が良いです。
例えば「あと少しで出発する。」や「適当な数をコピーしておいて。」という指示を「あと10分で出発する。」や「30部コピーしておいて。」というように具体的な数字等を使って指示しましょう。
「普通ならこうするだろう」「暗黙の了解でわかるだろう」といったことが、うまく共有されていない可能性がありますので注意が必要です。
もしあなたがチーム内のリーダー的立場にあるなら、同僚や部下にも理解してもらうようにしたいですね。
あなたが部下にできること③1つの業務に専念させる
ASDの人の強みとして、集中力があることは上述の通りです。その反面、並行して仕事を進めなければならないマルチタスクや急な業務の追加には弱いという性質があります。
そのため、あなたがチームのリーダーや上司であった場合は、1つの業務に集中できるように配慮してあげましょう。
またASDの人は、音や光に敏感な傾向にありますので、できるだけ静かな労働環境を作るようにすれば、部下の力も発揮されますよ。
あなたが部下にできること④仕事の進捗を確認する
ASDの人は、「報告・連絡・相談」いわゆる「ほうれんそう」が苦手な人が多いです。これは、どのような仕事にも関わることなので、大きな弱みですね。
これは「コミュニケーションが苦手」というところに起因します。なので、仕事の方向性が間違っていないか、順調に進んでいるのかをあなたが丁寧に確認するようにしましょう。
またASDの人は、自分の体調を把握しづらいという特徴があります。順調に仕事に進んでいるときや疲れているように見えたときは、休憩するように言ってあげましょう。
あなたが部下にできること⑤仕事の「見える化」
ASDの人は、仕事の見通しが立たないとストレスを感じる傾向にあります。そのため、「いつまでに」「どこで」「何を」「どのように」仕事を行うのか等「見える化」することがオススメです。
言葉でのコミュニケーションが苦手なため、メモやプリントにしていつでも確認できるようにすれば、部下の安心感は高まります。
ASDの部下は、本人があなたの説明に納得し、活動のパターン化に成功すれば、持ち前の集中力で凄い戦力になってくれるでしょう。
【まとめ】ASDの部下を持ったあなたができる5つのこと
以上、「ASD(自閉症スペクトラム)の部下を持ったあなたができる5つのこと」でした。仕事上でみられるASDの症状は3つありました。
- チームプレイが苦手
- イメージやゴールが共有しにくい
- 自己流にこだわる傾向がある
ASDの部下の弱みを理解した上で、部下の強みが発揮できるように上司としてできることをしてあげたいですね。
- 強みを理解する
- 指示はできるだけ具体的に
- 1つの業務に集中してもらう
- 仕事の進捗を確認する
- 仕事の「見える化」
あなたがASDの部下の強みを引き出すことができれば、きっと凄い戦力になってくれると思いますよ。この記事が参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。