「ヘッドハンティングされた時に口約束をしてしまったら、どんなリスクがあるのかを把握したい。あわせてトラブルを避ける方法も知りたい。」
もし、あなたがヘッドハンターから優秀な人材と認められ、魅力的な提案を提示されると、勢いに任せて口約束してしまうこともあるでしょう。
ですが、ヘッドハンティングを口約束で受けてしまうと、待遇面の悪化や仲介手数料を騙し取られてしまう可能性もあるのです。
この記事では、ヘッドハンティングを口約束で受けた場合の3つの注意点と、5つのトラブル回避策を紹介していきます。
この記事を読んで、ヘッドハンティングを口約束で受ける時に注意点とトラブル回避策を知って、キャリアプランに悪影響を与えないようにしていきましょう。
ヘッドハンティングを口約束で受けてしまったら
ある日、ヘッドハンターと名乗る人物から話があり、「企業があなたの職務能力を見込んで、ぜひウチに来て欲しいと言っています。」と、あなたに話を持ちかける場合があります。
この時に、自分の能力が認められたと舞い上がって、ヘッドハンターからの提案を「ぜひ、よろしくお願いします。」と、口約束で受けたとしましょう。
その後、ヘッドハンティングを受けた企業に転職するために、勤め先の退職手続きをしている時になって突然、「先日の件は、なかったことにして欲しい。」と約束を反故にされてしまうケースがあるのです。
このように、ヘッドハンティングを口約束で受けることによって、トラブルに繋がる事例が後を絶ちません。
ヘッドハンティングを口約束で受けた時に法的な問題はないのか
自分はヘッドハンティングを受けた時に、はっきりと同意した。相手は約束を反故にしたから、責任を負うべきだ。
自分の口ではっきりとヘッドハンティングに同意したものの、相手が一方的に約束を破ったことから、相手に対して保証や賠償を請求したいと考える人もいるでしょう。
確かに、口約束でも「諾成(だくせい)契約」と呼ばれる、当事者間の合意のみで成立する契約が発生します。
しかし実際は、契約書などの書面に残した取引をしていないため、相手に保証や賠償を求めることができないのです。契約書に書面したという証拠がない限りは、相手の責任を明確にできません。
ヘッドハンティングを口約束で受けると、待遇が悪化することも
ヘッドハンティングを受けた時、ヘッドハンターからの提案を口約束で受けて転職した場合、待遇が悪化する可能性もあります。
ヘッドハンターからの話では、給料が務め先よりもアップし、福利厚生も良くなる話だったのに、実際に転職したら給料を減らされてしまったなんていう話もあります。
なぜこのような問題が起こるのかというと、口約束は契約書とは違い、ヘッドハンティングの内容が書面に残らないからです。
ヘッドハンティングに関する内容を書面に残しているなら、給料や福利厚生といった内容も細かく記載されているため、実際に転職したら給料額が違うということは起こりにくいです。
悪質な業者からのヘッドハンティングを口約束で受ける危険性
喜んでヘッドハンティングを口約束で受けたものの、実はあなたを騙すために接触した、悪質な業者だったなんてこともあります。
悪質なヘッドハンティング会社は、突然あなたに電話やメールで連絡をして、好待遇や好条件をちらつかせながら、あなたに提案を飲ませようとします。
そうしてあなたに提案を承諾させたら、ヘッドハンティングを提案したとして仲介手数料を騙し取ったり、個人情報を流出させたりする手口を取るのです。
次の項目から、ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいことを、5つ紹介していきます。
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいこと①
ヘッドハンティングを口約束で受ける前には、必ず最初に契約書があるかを確認しましょう。
一般的に、雇用に関する事項は契約書によって労働契約を結びます。たとえ、ヘッドハンターがあなたを直接スカウトする、ヘッドハンティングという形式を取ったとしてもです。
契約書に基づいてヘッドハンティングを受けたなら、相手と自分で言った言わないというトラブルを避けることができます。
そこで、ヘッドハンターからヘッドハンティングを受けた時に、「契約書はありますか。」と聞いてみましょう。それで相手が渋る態度を見せたら、提案を断った方がいいです。
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいこと②
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に、前述した契約書の有無に加えて、ヘッドハンティング会社の名前や連絡先などの情報も確認しましょう。
ヘッドハンターがあなたにヘッドハンティングの提案をしてきた時、所属している会社の名前や連絡先などを相手に直接聞いてみましょう。
ヘッドハンティング会社が詐欺を目的としている場合、その会社に関する情報が何もなかったということもあります。
もし、相手に直接連絡先などを聞いた時に回答をはぐらかされたなら、架空のヘッドハンティング会社である可能性が高いです。
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいこと③
次に、ヘッドハンティングを口約束で受ける前に、あなたがヘッドハンティングされた経緯や理由を聞いてみましょう。
ヘッドハンティングは、他社から優秀な人材を引き抜く採用方法です。優秀な人材を他社から引き抜ぬいて企業に入社させることから、ヘッドハンターは入念なリサーチを基にあなたに接触を図ります。
もし、あなたがヘッドハンターに、「私に声をかけた経緯は何でしょうか。」と質問して、相手が具体的に答えられない場合、怪しいヘッドハンターだと疑ったほうがいいでしょう。
ただし、単なるヘッドハンターの力量不足によることもあるので、具体的に説明できないからといって相手が怪しいとは、一概に言い切れない場合もあります。
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいこと④
次に、ヘッドハンティングを口約束で受ける前には、待遇面もしっかり確認しておきましょう。
ヘッドハンターは、好条件や好待遇の求人を提示して、あなたを依頼先の企業に引き抜こうとします。
目先の数字に囚われて口約束して転職したら、給料や福利厚生、雇用形態が違っていたなんてことは、よくあることです。相手に待遇面のことを確認したいなら、以下の点に注目してみてください。
- 雇用形態が、2年任期の役員契約などの有期契約になっていないか
- 基本給が少なく、残業代や賞与込みの金額で提示されていないか
- 昇給・減給の基準が明確になっているか
- 会社が設けている休暇や手当などの制度がある場合、どのぐらいの頻度で利用されているのか
これら4つを確認して、納得のいく回答が得られなかった場合、ただ単に好条件や好待遇を提示している可能性が高いと考えたほうがいいでしょう。
ヘッドハンティングを口約束で受ける前に確認しておきたいこと⑤
最後に、ヘッドハンティングを口約束で受ける前には、ヘッドハンティングを依頼した企業の情報を確認しましょう。
ヘッドハンティングで口約束で受けて転職したら、その後すぐに、転職した会社が潰れてしまったなんてこともありえます。
そんなトラブルを避けるため、ヘッドハンターにヘッドハンティングを依頼した企業の情報を、直接聞いてみた方がいいです。
ただし大抵の場合、ヘッドハンティングは秘密裏に行われるため、あなたに会社名を教えてくれません。その代わり、企業のおおよその規模や事業内容は教えてくれるので、そこから判断してみましょう。
まとめ
ここまで、ヘッドハンティングを口約束で受ける時の注意点と、トラブル回避策について紹介していきました。内容をまとめると、以下の通りです。
- 口約束をしたら話がなかったことになる可能性がある
- ヘッドハンティングを口約束で受けると相手の責任を問えない
- 口約束は書面に残らないため実際に転職したら給料が違うこともある
- 契約書があるかどうか
- ヘッドハンティング会社の名前や連絡先を確認
- ヘッドハンティングされた経緯や理由は何か
- 給料や福利厚生といった待遇面はどうなっているか
- ヘッドハンティングを依頼した企業の情報を確認
ヘッドハンティングをされると、つい気持ちが舞い上がってしまいますよね。軽い気持ちでヘッドハンティングを口約束しても、相手に責任を問えないため、後でトラブルにつながりかねません。
ヘッドハンティングは通常の転職と同様、今後のキャリアプランに大きく影響を与えます。軽い口約束で提案を受けるのではなく、慎重に検討したうえで行動していきましょう。