ヘッドハンティングをされると、今よりも良い待遇が提示されてすぐにでも契約書にサインしたくなりますよね。でもそれでは危険です。
ヘッドハンティング詐欺というものもありますし、条件をしっかり見てみたら実際は今の待遇のほうが良かったなどということもあります。
この記事ではヘッドハンティングで損をしないために、契約書にサインする前に確認するべきこと5つについて紹介していくので、参考にしてくださいね。
ヘッドハンティングを受けたら契約書の内容を確認しよう
ヘッドハンティングをされると自分が評価されていると実感できるので、いい気分になり、きちんと判断せずにヘッドハンティングを受けてしまう人がいます。
結果的に「思っていたのと違う」環境で、ヘッドハンティングを受けないほうが良かったと後悔することも。後悔しないためにも、ヘッドハンティングを受けたら条件をしっかりと確認しましょう。
この章では確認すべきこと5つを一覧にまとめておきます。ざっと「こんなものがあるんだな」くらいに思ってもらえれば大丈夫です。
次章以降でひとつひとつ、どのような視点で確認していけばよいのか詳しく解説していきます。
- 雇用形態
- 役職
- 報酬
- 業者
- 相手企業・経緯
ヘッドハンティング後に契約書で確認すること①雇用形態
ヘッドハンティングされたらまず、雇用形態を確認しましょう。見るべきポイントは、「正規従業員」としての雇用なのか、それとも「役員」としての雇用なのかです。
なぜかというと、このふたつでは契約期間に違いがあるからです。正規従業員としての雇用であれば終身雇用が適用されるので、基本的に無期契約になります。
しかし、役員として雇用された場合は「任期」が設定されているので、仕事で一定の評価を得られなかった場合に解雇される可能性があります。任期は2年ほどである場合が多いです。
「やりがいを持ってやれる仕事だから任期が限られていてもいい」のであれば問題ありませんが、転職先で長く働きたいと思っている場合は注意しましょう。
ヘッドハンティング後に契約書で確認すること②役職
ヘッドハンティング後、どんな役職で働くことになるのかも確認しましょう。ヘッドハンティングでは多くの場合、高い役職で迎えられることが多いです。
その役職を担っていく上で「達成責任」が取り決められているケースもあるので、自分に務まるのかよく考えて決めましょう。その中で部下がどのくらいいるのか、自分の裁量はどこまであるのか確認すると良いです。
また、転職後の待遇に関しては転職先の担当者に書面で確認するようにしてください。ヘッドハンティングしてくる人は、転職先となる企業に依頼されている業者ですので、直接転職先に確認を取ることが大事です。
ヘッドハンティング後に契約書で確認すること③報酬
ヘッドハンティングともなると普通の転職と違って、報酬が高く設定されているケースが多いです。しかし、しっかりと確認しないと実際は「ヘッドハンティングしないほうが報酬が高かった」なんてこともあります。
表面上の額だけで満足せず、しっかりと確認するようにしましょう。報酬に関して確認することは、以下の3つです。
- 報酬の内訳
- 賞与の内容
- 昇給条件
まず初めに報酬の内訳を確認します。基本給が低く、手当の割合が高い場合、成績が悪かったり役職を解任されると報酬がすごく低くなってしまう可能性があるので注意しましょう
また、賞与は何か月分なのか、時期はいつ頃なのかなどの確認もしておきましょう。賞与をストックオプションで支給する会社もあるので、注意が必要です。
ストックオプションとは、新株予約権のことで、会社の株を決められた額で買うことができる権利です。会社の株価が上がったときに売却することで差額分が報酬になる仕組みです。
その他にも昇給するには何が必要なのか、評価基準についても知っておくと、長く働く場合でも「こんなはずじゃなかった」と後悔せずに済みます。
ヘッドハンティング後に契約書で確認すること④業者
先ほども書いたように、ヘッドハンティングをしてくる人は転職先となる会社から依頼されている業者です。この業者が信頼に値する業者なのかどうかをしっかりと見極める必要があります。
どんな業者なのかによって転職先での待遇面が変わってくるからです。業者について確認することは以下の2つです。
- 信頼に値する業者なのかどうか
- 転職先からどう依頼されたのか
ヘッドハンティングをしている業者はたくさんあり、残念ながら、中には信頼できない悪徳な業者もいます。ヘッドハンティングされたら業者のウェブサイトを訪問し、どんな業者なのかを調べましょう。
また、業者が転職先からどのように依頼を受けているのかも大事な要素です。依頼のされ方は、転職先からあなたを個人指名して依頼されている場合とそうでない場合があります。
個人指名されている場合は、報酬などの待遇面がよい場合が多く、実際に転職する際の選考ではあなたを評価するというよりは説得する感じになります。ヘッドハンティングの理想的な形です。
逆に個人指名されていない場合は、条件があまり良くないケースが多いので、注意しましょう。
ヘッドハンティング後に契約書で確認すること⑤企業
転職先となる企業についても確認しておきましょう。親会社、子会社であったり、持ち株会社であったりするケースもあります。それぞれ注意することがるので順にみていきます。
親会社である場合
親会社である場合は、国籍を確認します。外国籍であると急に日本法人に対する風当たりが悪くなる場合があるからです。
入社後もそういった可能性がありますから、十分に考えたうえで決定するようにしてください。
親会社で日本国籍・持ち株会社である場合
親会社で日本国籍である場合や、持ち株会社の場合は特定の株主などに大きな影響を受けているかどうかを確認します。
影響を受けすぎる場合は、急に役職を解任されてしまうこともあるので注意が必要です。
子会社である場合
子会社である場合は、親会社が干渉することによって、あなたの転職に影響が出ることがあります。具体的には転職の内定が決まっていたのに、親会社の裁量で取り消しになってしまうなどです。
転職先の会社と親会社との関係性についても調べておくと良いでしょう。
ヘッドハンティング詐欺に騙されるな!
ここまでヘッドハンティングをされたら、契約書にサインする前に確認すべきことについて解説してきました。より良い環境で仕事するためには様々なことに注意しなければいけません。
転職先の企業やヘッドハンティング業者の信頼性についても触れてきましたが、実際、ヘッドハンティングを装ってお金をだまし取る「ヘッドハンティング詐欺」があります。
ここでは詐欺に合わないようにするために、確認すべきことについて解説していきます。詐欺から身を守るために確認すべきことは、「経緯」「保証金やセミナー」「企業と業者の信頼性」の3つです。
経緯
ヘッドハンティングされた経緯について、ヘッドハンティングしてきた人に確認しましょう。具体的に誰が依頼してきたのかは教えてもらえなくとも、自分がどのような評価を得ているのかぐらいは聞き出せます。
たとえば、「業界内では○○という業績を出したとして有名だから」「△△会社の人があなたを高く評価しているから」などです。
逆にこのような具体的な話が出てこない、あなたの経歴書や履歴書でも分かるような情報しか出てこないのであれば、詐欺の可能性もあります。
詐欺ではなくとも良い案件であるとは言えないので避けたほうが賢明でしょう。
保証金やセミナー
ヘッドハンティングをされた後、保証金という名目や早く会社に慣れてもらうためのセミナーに費用が掛かるなどと言ってお金を搾取される詐欺があります。
ヘッドハンティングされた時に「保証金」「セミナー費用」などという話が出てきたら、詐欺である可能性が高いです。だますために好待遇の案件を持ちかけてきますが、甘い誘惑に負けずしっかりと断りましょう。
企業や業者の信頼性
記事の前半でも述べていますが、転職先の企業やヘッドハンティング業者の信頼性をきちんと確かめましょう。
具体的な方法としては、ウェブサイトで関連会社を調べたり、会社四季報で確認したり、職場見学を申し込んだりすることが挙げられます。
ヘッドハンティングはその性質上、「勤めている企業や転職先にはこの情報を言わないでくれ」という文句が違和感なく通ります。秘密保持の観点から本当に必要なことですが、詐欺師はそれを利用しているのです。
情報を言うことはできずとも、先に挙げた方法を使えば自分で会社の信頼性を確かめることができます。ヘッドハンティング詐欺に合わないよう、自分の身は自分で守りましょう。
現在勤めている会社に退職表明をするタイミング
ヘッドハンティングされたからと言って、すぐに退職表明をする必要はありません。早くに退職表明をしてしまうことであなたに不利益が生じるので、ヘッドハンティングが成立してから退職表明しましょう。
退職表明をすると取り消しが難しいですし、ポストを降格させられる場合もあるからです。また、すでに述べたように転職先の会社が親会社の干渉を受けてあなたの内定を取り消す場合もあります。
そのため、ヘッドハンティングが決定して、契約書にサインし、契約書が受理されてから退職表明をするといいでしょう。
ヘッドハンティングが不要だと判断したら断ろう
ヘッドハンティングが自分にとって不要だと感じたら、しっかりと断りましょう。せっかく自分を評価してくれた会社ですから、誠意をもって丁寧に断ります。
断る際は直接会うのではなく、電話やメールを使って断るようにします。ヘッドハンティングを行う人は営業のプロですので、実際に会って話をすると断るどころか説得される形で話が進む可能性があるからです。
直接会うとなると予定を組みますので、相手に営業トークを考える猶予ができてしまいます。電話やメールを使ってスッパリと断ってしまいましょう。
まとめ
ヘッドハンティングは急にされるものなので驚いてしまったり、自分が高く評価されたことに舞い上がってしまったりして適切に対応できなくなりやすいです。
しかし、条件をしっかりと確認しておかないと、詐欺に合ったり、転職しないほうが良かったと後悔したりする羽目になります。
契約書にサインしてしまうとヘッドハンティングを受理したことになるので、この記事の内容を参考にして、契約書にサインする前にきちんと確認するようにしてくださいね。