管理職のテーマの1つと言えるのが「責任の取り方」。実際に部下がミスをしたとき、運営状況が悪化したとき、あなたはどのように責任を取りますか?
多くの方は「責任を取る=辞める」というイメージがあるかと思います。確かに1つの責任の取り方ではありますが、果たして適切な方法と言えるのでしょうか。
そこで今回は、管理職の責任の取り方について詳しく解説していきます。この記事を読めば取るべき行動が分かるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4616544?title=考えるビジネスマン)
ビジネスにおける「責任の取り方」とは?
そもそも「責任を取る」という言葉は、具体的に何を指しているのでしょうか。
一般的にビジネスにおける「責任の取り方」は、大きく3つに分けられます。
- 「遂行責任」を果たす
- 「説明責任」を果たす
- 「賠償責任」を果たす
「責任を取る」というのは、具体的に「遂行責任」「説明責任」「賠償責任」を果たすこと指しています。
別の言い方をすれば、正しく責任を取るためには、3つの責任について理解しておくことが重要です。
次の章からは、それぞれの責任について詳しく解説していきます。
責任の取り方①「遂行責任」を果たす
遂行責任とは、一言で言うと「最後までやり遂げる」という責任です。
例えば、「A案が駄目ならB案を出し、それでもダメならC案…」というように、あらゆる手段を講じて目的達成のために尽力することを「遂行責任」と言います。
どのような仕事でも業務を遂行する中で様々な障壁が立ちはだかります。そのときに「業務に支障が出たから成果が出なかった」と言ってしまうと「言い訳」に聞こえてしまうことも多いです。
特に管理職は、業務を遂行する義務があり、不確定な状況への対応が求められます。こうしたプレッシャーに耐え、責務を全うすることが遂行責任を果たすと言えるでしょう。
責任の取り方②「説明責任」を果たす
業務を遂行する過程の中で、求められる結果の通りにならないことや、別の手段を講じる必要が出てくることもあります。
そのときに「何故そのような結果になったのか経緯や原因を説明する」ことを「説明責任」と言います。
説明責任で重要なのは、説明された相手が納得できるかどうかです。相手に納得してもらうためには、経緯や原因に加えて具体的な対応策(再発防止策など)も提示する必要があります。
管理職の場合、組織を運営する立場にあるので、招いた結果によっては説明責任を果たす必要があると言えます。
責任の取り方③「賠償責任」を果たす
賠償責任とは、招いた事態に対して「何らかの処遇を受ける」という責任です。具体的には、管理職を含む従業員なら減給や降格、役員などの経営者なら法的責任を果たすことを指します。
一般的に「罰を受ける=責任を取る」と思われがちですが、ビジネスで最も重要なのは「業務を完遂して結果を出す」ことです。
罰を受けても目標が達成される訳ではないので、「責任を取る」という点ではあまり適切な方法とは言えないでしょう。
ですので、賠償責任はあくまでも遂行責任や説明責任を果たした上で、それでも不足と判断される場合に果たすべき責任と言えます。
管理職として正しい責任の取り方
管理職として責任を取る場合、最も重要なのが「遂行責任を果たす」ことです。
管理職は「組織の運営」や「プロジェクトの遂行」を担う立場にあるので、責務を全うするよう努めるのが「正しい責任の取り方」と言えるでしょう。
また、遂行責任を果たそうと尽力した結果、不足があると判断された場合は「説明責任」を果たす必要があります。
場合によっては、結果に対して非難を受けたり、何らかの処分が下されたりするかもしれません。それでも責任転嫁をせずに、現状に至った原因と今後の対応を伝えることが大切です。
管理職は“責任を果たす”という意識が重要
本来、責任は「取る」ものではなく「果たす」ものです。わずかな違いではありますが、意識の持ち方によって思考や行動は大きく変わります。
例えば、「責任を取る」という意識では、失敗に対してどのような処遇を受けるべきかと考えやすくなります。これは「自分のことしか考えていない」ので、責任と向き合っているとは言い難いです。
一方「責任を果たす」という意識があれば、状況を改善することに目を向けやすくなります。これは「遂行責任を果たそうとしている」ので、責任と向き合っていると言えるでしょう。
もし管理職として責任を取るべき状況になったときは、「どのように責任を取れば良いのか」ではなく「どうしたら責任を果たせるか」を考えましょう。
管理職として適切ではない責任の取り方
管理職として結果を残せなかったとき、「責任を取って辞めた方が良い気がする」と考える方も多いでしょう。
確かに1つの責任の取り方ではありますが、安易に職を辞するのは適切な方法とは言えません。その理由として以下の2つ点が挙げられます。
- チームの成長が鈍化する
- 周りから信頼を失う
安易に管理職を辞めてしまうと、責任を取るどころかチームに悪影響を与えてしまう可能性があります。
もし辞めるにしても周りのことを考えていない場合は、管理職として「無責任」な行動と言えるでしょう。
次の章からは、上記の2つの理由について詳しく解説していきます。
安易に管理職を辞めるべきでない理由①成長が鈍化する
管理職は「部下の育成」や「組織の運営」を担当する、言わば“チームのリーダー”です。
リーダーの責任の取り方が「辞めること」になっていると、部下たちは「失敗したらまずい…」と考えてしまい、挑戦する気持ちが薄れてしまいます。
挑戦するカルチャーがない環境は、部下の成長を鈍化させ、チームの成長も停滞させます。
安易な判断で成長の芽を摘んでしまうのは、管理職として本末転倒と言えるでしょう。
安易に管理職を辞めるべきでない理由②信頼を失う
一見「辞める」という判断は「責任を取っている」ようにも思えますが、見方を変えれば「責任を回避している」とも捉えられます。
特に管理職は「チームの業務を遂行していく」のが責務なので、途中で辞めてしまうのは「責任逃れ」をしているように映りやすいです。
「責任を持てない人」と判断されると、周りから信頼されなくなり、今後のチームビルディングにも悪影響を与えてしまいます。
辞めて責任を取ることが悪い訳ではないですが、やるべきこと(遂行責任や説明責任)を果たしてから辞めるべきと言えるでしょう。
管理職の責任の取り方まとめ
今回は、管理職の責任の取り方について紹介しました。改めて記事の内容を簡単にまとめてみます。
- 管理職として責任を取る場合、「遂行責任」を果たすことが重要
- 責任は「取る」のではなく「果たす」という意識が大切
- 安易に管理職を辞めるとチームに悪影響を与える可能性がある
管理職は、部下の育成や組織を運営していく義務があり、常に責任が伴う立場にあります。
この記事を読んだあなたなら、もし何らかの責任を問われたとしても正しく対応できるでしょう。
大きなプレッシャーはかかりますが、管理職として「責任を果たす」ように努めてみてください。