生産性の向上や労働力の確保などを期待できるリモートワーク。メリットが多い一方で、「コミュニケーション不足」が問題視されていることをご存知でしょうか?
「業務以外の話がない」「孤独感を感じる」など、コミュニケーション不足によりストレスを抱える社員も多いです。
この記事では、リモートワークの導入によるコミュニケーション不足の原因や起こりうる問題について解説します。具体的な4つの対策も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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リモートワークでコミュニケーション不足になる原因
初めに、リモートワークの導入で何故コミュニケーション不足に陥るのか、主な原因を2つ解説します。
業務に関する内容しか話さないため
リモートワークの導入にあたり、多くの企業がICTツール(チャットツールやWEB会議ツールなど)を活用しています。
しかし、会話の内容が業務に関するものに偏ってしまい、ただの情報交換で終わってしまうケースが多いです。
また、文章でのやり取りは必要な情報のみを記載するため、口頭よりもコミュニケーション不足に陥りやすい傾向があります。
ツールを上手く使いこなせていない
会話でコミュニケーションをとってきたシニア層やミドル層には、ICTツールの利用に不安を感じる方が多いです。
いくら便利な機能を取り入れても、「使い方がよく分からない」「オンラインでのコミュニケーションのとり方が分からない」と積極的に利用できない方もいます。
また、スマートフォンやSNSを使いこなしている若年層も、ビジネスシーンになった途端につまずくことも多々あります。(挨拶文の書き方や目上の方への接し方など)
リモートワークのコミュニケーション不足で起こりうる問題
原因を解説したところで、コミュニケーション不足で起こりうる2つの問題について解説します。
より有効的にリモートワークを活用するには、問題についても把握しておくことが大切です。
メンタルケアが難しくなる
リモートワークのコミュニケーション不足は、1人作業による孤独感・外出できない閉塞感・仕事に対する不安感などを生み出すことがあります。
遠隔でのやり取りとなるため、社員の状態を把握しにくく、メンタルケアをするのも容易ではありません。
人事評価が難しくなる
リモートワークは、オフィス勤務に比べると円滑なコミュニケーションがとれないため、人事評価が難しくなるのも問題として挙げられます。
成果に繋がるプロセスや勤務態度を把握しづらくなるので、どうしても評価基準が成果重視となってしまいます。
また、評価される側の社員も、成果のみで判断されることに不安を感じる方も多いです。
リモートワークはコミュニケーションミスが起きる場合もある
リモートワークのコミュニケーションは、不足だけではなく“ミス”を引き起こす場合もあります。
これからリモートワークを導入するなら、以下のミスが起きないように注意しておきましょう。
情報の認識の違い
リモートワークのコミュニケーションは、メールやチャットでのやり取りが多くなります。
文章でのやり取りは、口頭と比べて情報がまとめられているので、言い回しによっては誤解を招く場合もあります。
コミュニケーションのタイムラグ
コミュニケーションには、相手の反応をすぐに得られる「同期型」(電話や会議など)、相手の反応をすぐに求めない「非同期型」(メールやチャット)があります。
「非同期型」のコミュニケーションは、好きなときに連絡ができる反面、返答がもらいにくいというデメリットがあります。
企業が行うリモートワークのコミュニケーション不足への対策
ここまで原因や問題について解説しましたが、中には「企業はコミュニケーション不足に対してどのように対応しているのか」と気になった方もいるでしょう。
総務省の「平成30年 情報通信白書」によると、コミュニケーション不足の問題を解決するために、7割以上の企業がICTツールを導入しているようです。(参照:平成30年 情報通信白書)
- ビジネスチャットツール
- WEB/ビデオ会議ツール
- 勤怠管理ツール
- タスク管理ツール
しかし、7割以上が導入しているにも関わらず、未だにコミュニケーション不足が問題視されています。
ただツールを導入するだけでは根本的な解決策とならないので、次の章からは具体的な対策について解説していきます。
リモートワークのコミュニケーション不足やミスを防ぐ方法
コミュニケーション不足やミスを防止するには、ツールの特性を理解して使い分けることが大切です。
しかし、先程も紹介したように、ツールを導入するだけではコミュニケーション不足やミスを防ぐことができません。
根本的に問題を解決するためには、以下の4つのポイントも意識しておくと良いでしょう。
- 業務以外のコミュニケーションの時間を作る
- ツールを段階的に導入していく
- 時間を決めてコミュニケーションをとる
- 対面でコミュニケーションをとる機会を設ける
積極的にコミュニケーションの場を設けることで、メンタルケアや伝達ミスの防止にも繋がります。
また、徐々にツールを浸透させれば、就労状況を把握できて評価もしやすくなるでしょう。
次の章からは、上記の4つの対策について詳しく解説していきます。
①業務以外でコミュニケーションをとる機会を設ける
コミュニーケーション不足を防ぐためには、業務以外で交流する機会を作ることが大切です。
具体的な方法としては、WEB会議ツールの解放やグループチャットでのやり取りなどが挙げられます。
交流する機会を設けることで、ブレイクタイムを挟めたり、孤独感や閉塞感を忘れたりもできるでしょう。
なお、リモートワークは1人で作業を行うため、仕事に没頭してしまう方も少なくありません。オン・オフを切り替えることもリモートワークでは大切です。
②ツールを段階的に導入していく
リモートワークでツールを活用する場合、段階的に導入していくのがおすすめです。
1度にいろんなツールを導入すると、意図が伝わらなかったり、使い方を理解できなかったりする場合があります。
いくら便利なツールであっても、機能が発揮されなければコミュニケーション不足は解消できません。
まずはリモートワーク導入後に課題を抽出して、課題に見合ったツールを段階的に導入していくと良いでしょう。
③時間を決めて定期的にコミュニケーションをとる
コミュニケーション不足を解消するには、時間を決めて定期的に交流するようにしましょう。
定期的にコミュニケーションをとることで、社員のメンタルケアに繋がったり、大切な情報を共有したりもできます。
例えば、昼の時間や業務終了後にWEB会議ツールを解放するのも良いでしょう。
テキストチャットは1対1のやり取りになったり、情報が上手く伝わらなかったりもするので、できればビデオチャットを利用するのがおすすめです。
④対面でコミュニケーションをとる機会を設ける
ツールでもコミュニケーションをとることができますが、社員同士が対面できる機会も設けると良いでしょう。
対面のコミュニケーションは、相手の状態や考えを判断しやすいだけではなく、情報を早く的確に伝えることもできます。
リモートワークは孤独感を感じたり、レスポンスの遅さにストレスを感じたりもするので、対面によるコミュニケーションは充足感をもたらしてくれるでしょう。
なお、コロナ渦のうちは大人数で集まることはできませんが、シフト勤務と合わせることでコミュニケーション不足の解消にも繋がるでしょう。
まとめ:リモートワークは交流の場を設ける工夫が必要
今回は、リモートワークで問題視されるコミュニケーション不足について解説しました。改めて対策に関するポイントを簡単にまとめてみます。
- ツールの特性を理解して課題に合ったものを導入する
- 業務以外で雑談できる機会を設ける
- 段階的にツールを導入して浸透させていく
- 定期的にコミュニケーションをとる機会を設ける
- 対面のコミュニケーションも併せて活用する
コミュニケーション不足の対策として、ICTツールを導入している企業が多いですが、ただ導入しているだけでは解決に繋がりません。
問題を解決するためには、ツールの特性を理解して導入すること、積極的に交流の場を設けることが大切です。
上記のポイントを意識すれば、コミュニケーション不足に陥ることなく、リモートワークを効果的に活用できるでしょう。