日本では2020年の「緊急事態宣言」の発令後、リモートワーク化に取り組んできましたが世界ではリモートワークに廃止の動きが見られるのをあなたは知っていますか?
日本では、リモートワークはあまり進んでいないのが現状ですが世界では廃止した企業も出てきています。リモートワークが進むと私たちの働き方はどんな変化をもたらすのでしょうか。
本記事では、リモートワークを続けてきた企業が廃止するに至った理由と、リモートワーク廃止後のメリット・デメリットを解説していきます。
また、今後の働き方の新しい考え方も紹介します。本記事を読めば、これから先の働き方をどう考えるべきかヒントが見えてくるでしょう。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/search?q=%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF&qt=&qid=&creator=&ngcreator=&nq=&srt=dlrank&orientation=all&sizesec=all&color=all&model_count=-1&age=all&mdlrlrsec=all&prprlrsec=all&sl=ja&pp=70&pt=B&p=1)
日本のリモートワークの導入率は?
総務省の「情報通信白書」によると、企業のリモートワーク導入率は、2012年から2017年の間10%前後と横ばいでした。
しかし、2018年に入り19.1%まで普及してきました。導入は、大企業を中心に進みつつあるようですが実際は20%に満たない状況でした。
しかし、2020年3月から新型コロナウイルス感染症が日本でも流行り始めてから急速にリモートワークの実地率が上がりました。
全国では、50.9%ま実施率が上がり東京都においては59.6%もの数字を出しています。このまま、リモートワークが普及していくのでしょうか。
リモートワークが進まず廃止の流れがある
2020年4月から5月にかけて初めて「緊急事態宣言」が発令されてから新型コロナウイルス感染症対策として、企業にはリモートワークの徹底を求められ、出勤者を7割削減を目指すよう政府から要請がきました。
しかし、実際に提示された7割削減を達成できた企業はわずか30%と言われています。当時は、現在よりもリモートワーク化がまだ進んでいない現状だったからでしょう。
リモートワークを進めるに企業は、様々な準備をしなくてはいけません。リモートワークに必要なツールを揃えたり、ビジネスチャットの設定をするなど簡単にはリモートワークを導入することはできません。
リモートワークを進めようとしている日本とは逆に、海外ではリモートワークの廃止を決めた企業も出てきています。なぜ、廃止を決めたのでしょうか。次からその理由を見ていきます。
世界でリモートワークの廃止が進んでいる現状
世界では、リモートワークでの働き方が進行してきています。しかし、リモートワークのメリットを理解しつつも社内カルチャーや企業の現状況を理由にリモートワークの廃止や奨励しない企業が出てきているのです。
この章では、海外でリモートワークを推進しない企業2つとその理由について紹介していきます。
IBM(アメリカ)の場合
リモートワークを十数年にわたって推進してきたIBMが、一転して米国にいる在宅勤務のリモートワーク従業員をオフィス勤務に戻す方針を打ち出しました。
リモートワークを推進してきた企業がなぜ今になって逆方向へ戻ったのか。それは、コストのほか、従業員の管理の難しさなどがあったと思われます。
管理の難しさは、コミュニケーション不足からの信頼関係が築きにくい点が大きかったようです。とは言え、現実はオフィスに席を設け自宅でも、オフィスでも仕事ができるようにしただけとも言われています。
オフィスを用意するには建物を維持する経費もがかかってきます。それでも、コミュニケーション不足で失われた信頼関係の回復には廃止の道が最善という結果になったようです。
Yahoo!(アメリカ)の場合
インターネット検索大手の米Yahoo!では、すでに在宅勤務をメインとしたリモートワークを廃止しています。その理由は、チームでのやり取りが少なくなることで作業効率が低下するからだとしています。
米Yahoo!のCEO(最高形成責任者)であるマリッサ・メイヤー氏は、「リモートワーク従業員を許可するYahoo!の方針を終わらせるする」という内容のメールを従業員たちに送ったとされています。
リモートワーク廃止の理由は、物理的に一緒の場にいることで生まれる偶発的な「コミュニケーション」や「コラボレーション」が重要であるからだとしています。
また、社員が勤務時間中に副業をしたり会社を立ち上げてしまったりと、管理体制が確立していなかったため社員たちの管理ができずリモートワークを廃止せざるを得なかったと言います。
日本でも広がりをみせるリモートワークを廃止している企業
実は、日本でもリモートワークの廃止を実践している企業が出てきいます。理由は、海外でリモートワーク廃止の流れになった理由と類似しているようです。
この章では、日本で、リモートワーク廃止に踏み切った企業3つを理由も踏まえて紹介していきます。
メルカリの場合
日本でも知名度が高い、フリマアプリの大手メルカリでは3つのバリュー(価値観)を挙げています。
- 「Go Bold – 大胆にやろう」
- 「All for One – 全ては成功のために」
- 「Be Professional – プロフェッショナルであれ」
3つのバリューの一つである「All for One – 全ては成功のために」には、メンバーの力を結集してチームで最高のプロダクトを創るという想いが込めらています。
それは、会社という場所にメンバーが集まり一体感を持って仕事を進めるスタイルを重視しているからです。そのため、リモートワークはメルカリのバリューにはそぐわないとしてリモートワークを廃止しました。
LINEの場合
コミュニケーションアプリを提供する日本の大手企業であるLINEも、リモートワークを非推奨する企業です。
LINEは、2017年4月1日に本社を新宿に移転し、分散していたオフィスを一箇所に集約させて従業員同士のコミュニケーションの活性化と業務効率化を目指すことを示しました。
リモートワークでは、LINEが目指す経営方針は実行できません。そのためLINEでは、リモートワークは非奨励というわけです。
新オフィスには社員が働きやすい設備を数多く用意し、「出社したくなる」空間づくりをして職員たちが働きやすい環境作りを進めています。
アナグラムの場合
アナグラムは、リスティング広告やソーシャルメディア広告など運用型広告の代行事業を行う企業です。
「仲間は近くにいないとイノベーションは起こせない」という考えから、リモートワークを原則として「推奨しない」方針をとっています。
些細な会話からアイデアが浮かんだりする、そんな可能性はリモートワークでは得られないという思いがあるようです。コミュニケーションを重視するアナグラムではリモートワークは合っていないのでしょう。
リモートワークを廃止した時のメリット・デメリット
リモートワークを成功させるには、4つの課題があります。4つの課題は以下のとおりです。
- 情報セキュリティの強化
- テレワーク社員の人事評価が難しい
- テレワーク社員の労働時間の把握
- コミュニケーション不足の解消
これら、4つの課題を理解し取り組むことでリモートワークの運営がスムーズに進みます。しかし、この課題はリモートワークを廃止すれば解消することができるのです。
一番の課題は、人事評価とコミュニケーション不足の解消です。リモートワークを廃止すれば、お互いのコミュニケーションも保たれ社員の評価も的確にできるでしょう。
逆に、リモートワークを廃止した時の生じる問題はオフィスの家賃や光熱費、物品代などの経費がかかることが上げらます。また、社員の交通費や出張費も発生してきます。
社員は通勤時間にかかる時間をストレスと感じている人も少なくありません。リモートワークなら優秀な人材を確保できる可能性も高いです。
リモートワーク廃止後のメリット | リモートワーク廃止後のデメリット |
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コミュニケーションは社員にとっては重要と言えます。システムの導入だけでは、コミュニケーション不足を解決しきれない場合があります。
社員の不満が募ってはリモートワークは成功と言えません。リモートワークで生まれる社員の不満の例を次の章で紹介していきます。
リモートワークの廃止になりかねない社員の不満とは?
実は、リモートワークを導入したものの働く従業員たちの不満が募り離職者が増加。その結果、リモートワークを廃止した事例もあります。
では、従業員たちの不平不満とはいったいどんなものなのでしょうか。この章では、オフィスで働く人とリモートワークで働く人それぞれの不満を紹介していきます。
オフィスで働く人の不満
オフィスで働く人の不満は、リモートワークで働いている人がどんなふうに仕事をしているのか見えないので不信感が募ってしまうということです。
今までは、同じ職場で電話対応や来客対応などしていたのに、全部残された自分たちが対応しないといけなくなり不公平さや苛立ちが募っていきます。
また、リモートワークの人たちと自分たちは、きちんと評価されているのか不安も大きくなっていくのです。そのため、自分だけが損な役回りだと感じ仕事への意欲もなくなっていってしまうのです。
リモートワークで働く人の不満
逆にリモートワークで働く人も不安や不満が大きくなっていきます。情報がリアルタイムに伝わらなかったり、他の職員とコミュニケーション不足から疎外感や孤独感が強くなっていきます。
職場の輪に入っていない錯覚を覚え、オフィスで働く人たちで仕事が回っているように感じてしまうのです。リモートワークで働く人も公平に評価されているのか不安に感じてしまいます。
オフィスで働いていた時には些細な疑問や、うまく進まない業務に対しての質問もしやすかったはずです。それがリモートワークでは、一人で対処しなくてはならなくなり追い詰められていきます。
リモートワークのメリットばかりを追求していると、働く人たちの不満はぬぐいきれないものになっていく恐れがあるのです。
コミュニケーションをチャットで解決した事例
コミュニケーション方法が、リモートワーク継続には一番の課題であることがわかったと思います。
この、コミュニケーション方法を見出し解決することでリモートワークを継続している企業があります。それは、ビジネスのIT化支援サービスを提供している株式会社RSコネクトです。
株式会社RSコネクトでは、2019年から働き方改革を推進する取り組みを開始。その後、従業員へのアンケートを重ね、社内のコミュニケーションの対策に乗り出しました。
コミュニケーションの改善のため、ビジネスチャットの導入に踏み切ったのです。現在は、社員たちがそれぞれ異なる場所で働きながら、ピンポイントに案件ごとの連絡がスムーズにできるようになったそうです。
Google式のリモートワークの働き方とは?
リモートワークを続けるための4つの課題が克服できないならリモートワークを廃止すべきなのでしょうか?
Google等のIT大手もリモートワークを推奨していませんが、リモートワークを否定しているわけではありません。Googleでは、人間同士の繋がりを重視し出社勤務が基本パターンとしています。
しかし、長かった新型コロナウイルス感染症対策において社員が地方で暮らしている場合も少なくないためGoogleでは全面オフィス勤務ではなくハイブリッド勤務を取り入れています。
これは、業務の多くをリモートワークでこなし、週に1~2度オフィスで働くというスタイルの働き方です。「オフィス出社」と「自宅でのリモートワーク」の利点を掛け合わせた働き方と言えるのです。
廃止の前に日本に合ったリモートワークは何かを考える
日本が、なかなかリモートワークが根付かない理由はなんでしょうか。日本は、まだまだ紙社会ですし、印鑑押印が必須の場合が多いです。また、海外では使われなくなったファックスを使っていたりしますよね。
新技術の方が効率がいいとはわかっていても、すぐに変えられないのが現状と言えます。そんな日本ですからいきなり全面リモートワークに移行するのは難しいでしょう。
しかし、問題点の克服が困難だからといって、廃止してしまうのは少し早いのかもしれません。
アメリカのIBMやYahoo!の失敗談から学び、Google式のハイブリッド勤務のような働き方も参考に考えた方がいいでしょう。日本においてもハイブリッド勤務は今後増えていくと思われます。
【まとめ】リモートワークは継続か廃止か?
2020年のコロナ感染対策のため、政府がリモートワークを奨励しました。しかし、世界ではリモートワークの働き方に警鐘を鳴らし廃止する企業がでてきています。
それは、「コミュニケーション」と「信頼関係」がうまく築けず離職者が増え会社の生産性が損なわれたからです。もちろん、リモートワークのメリットもありますし、オフィスで働くことにもデメリットはあります。
仕事をこなすうえでコミュニケーションと他人との信頼関係がとても大事であることがわかってきました。そして、コミュニケーション不足を解消するため、「ハイブリッド勤務」は今後、注目されてくるでしょう。
この先、リモートワークをすべて廃止するのではなく、リモートワークをうまく取り入れながら会社の形態を変えていく必要があると言えるでしょう。