「ヘッドハンティング会社は、依頼先の企業から一体どれくらいの報酬を貰っているのか気になる。」
近年、日本の労働市場では人手不足が続き、以前よりも転職へのハードルが下がっています。人材難の状況が長期化するにつれ、国内では様々な転職エージェントが乱立する様になりました。
人事担当として人材採用する立場に立っているあなたにとって、数ある転職エージェントの中でも特に「ヘッドハンティング会社」の存在に注目していることでしょう。
うちもヘッドハンティング会社を利用して、優秀な人材を積極的に採用したい。しかし採用活動をいざ始めるとなると、ヘッドハンティング会社に支払う報酬を把握できず、先に進められない。
今回は、そんなあなたが一番気になっているヘッドハンティング会社に支払う報酬について、詳しく解説していきます。
ヘッドハンティング会社が受け取る報酬とは?
ヘッドハンティング会社は、主にエグゼクティブ層の人材を探している企業から依頼を受け、希望通りの人材を採用できた時に、依頼された企業から報酬を受け取ります。
ちなみに、報酬の金額は転職希望者の年収に応じて決まります。そして、その転職希望者は年収の高いエグゼクティブ層なので、通常の転職エージェントと比べて報酬の金額が割高になる場合が多いです。
また、企業がヘッドハンティング会社に依頼する場合、通常の転職エージェントよりも人材斡旋に関わる人員が多く人件費がかさむため、結果的にヘッドハンティング会社が要求する報酬も割高になります。
次の項目から、ヘッドハンティング会社が受け取る報酬について、もう少し詳しく解説していきますね。
ヘッドハンティング会社における報酬の仕組み
ヘッドハンティング会社が受け取る報酬は、主に「着手金」と「成果報酬」の2種類で成り立っています。
着手金
着手金とは、企業がヘッドハンティング会社へ依頼する際に発生する費用のことです。スカウト対象者を調査するための費用として計上され、結果の成功、不成功に関わらず先払いしなければなりません。
成果報酬
成果報酬とは、依頼した企業が希望する人材を採用できた時に支払う費用で、着手金とは異なり後払いで収める費用となります。
ヘッドハンティング会社は、着手金と成果報酬を合わせた金額を報酬として受け取っているんですね。
また、ヘッドハンティング会社の様な転職エージェントでは、「固定報酬型」もしくは「成功報酬型」と呼ばれる形態で契約を結ぶのが主流です。
ここからは、「固定報酬型」と「成功報酬型」の2つの契約形態について詳しく解説していきます。
固定報酬型のヘッドハンティングとは
固定報酬型のヘッドハンティングでは、先程の段落で解説しました「着手金」のみの金額が、報酬の全額として依頼した企業からヘッドハンティング会社へ支払われます。
この固定報酬型は、人材を採用できなかった場合でも報酬の全額を支払う必要があるので、人材紹介を希望する企業側にとってリスクが高い形態です。
しかし、ヘッドハンティング会社としては人材リサーチにコストを掛けられるため、ハンティングの精度が高くなるメリットがあります。その結果、依頼した企業の希望通り優秀な人材を確保できる確率も高くなるのです。
依頼した企業側が、リスクを背負ってハイクラスな人材を探す時に選択するのが「固定報酬型」と言えるでしょう。
成功報酬型のヘッドハンティングとは
成功報酬型のヘッドハンティングでは、2つ目の段落で解説しました「着手金」と「成果報酬」をあわせた金額が、依頼したヘッドハンティング会社へ支払う報酬額となります。
また、この成功報酬型は希望する人材を企業が採用できた際に、ヘッドハンティング会社へ「成果報酬」が発生する形態です。
なので、依頼した企業が希望する人材を採用できなかった場合、企業は成果報酬をヘッドハンティング会社へ支払う必要がありません。
成功報酬型のヘッドハンティングは、依頼する企業にとって「固定報酬型」と比べてリスクが低い形態と言えます。
しかし、ヘッドハンティング会社としては報酬を全額受け取っていない状態なので、固定報酬型に比べて成果達成に対するインセンティブが弱くなります。
結果的にハイクラスの人材を確保する確率が低くなるので、固定報酬型に比べ専門性の高いエグゼクティブクラスの人材を希望する場合には不向きです。
ヘッドハンティング会社へ人材斡旋を依頼する際は、固定報酬型と成功報酬型のメリット・デメリットをしっかりと吟味する必要がありますね。
それでは、実際にヘッドハンティング会社が受け取る報酬額はどの程度でしょうか。一般的な転職エージェントと比べて解説していきます。
一般的な転職エージェントが受け取る報酬の相場
一般的な転職エージェントでは「紹介手数料」という形で、依頼された企業から報酬を受け取ります。
この紹介手数料は、人材紹介を希望する企業と採用される人材との間で合意した想定年収の30〜35%が相場です。
主に転職エージェントが、依頼された企業に対して転職希望者を紹介するために費やしたコスト、つまり人件費を勘案した割合が相場となっています。
ちなみに転職エージェントが費やすコストの内訳は、以下の通りです。
- 転職希望者のキャリア面談
- 履歴書、職務経歴書のチェック
- 企業との面接の日程調整
- 内定後の条件調整など
転職エージェントの様な人材紹介業は、報酬額と人件費の差額から利益を得ているのですね。
ヘッドハンティング会社が受け取る報酬の相場
ヘッドハンティング会社の場合、報酬額は紹介した人材の想定年収の50〜60%に設定するのが一般的です。
例えば、想定年収が1,000万円の人材を紹介した場合、ヘッドハンティング会社は依頼された企業から500〜600万円の報酬を頂くことになります。
また、仮に企業が希望する人材が見つからなかった場合でも、依頼した企業に先払いの着手金が返ってこないことがあります。
なので、人材を募集する企業にとってヘッドハンティング会社は、どうしてもハイクラスな人材が欲しいときだけに使う切り札的な存在と言えるでしょう。
企業がヘッドハンティング会社を利用する背景
先程の段落で解説した様に、ヘッドハンティング会社へ依頼すると着手金が返ってこないリスクがあるため、人材を確保したい企業にとって、ヘッドハンティング会社は敬遠されがちです。
それでも近年の国内市場では、ヘッドハンティング会社全体の業績は伸び続けています。
経済が低迷する国内市場において、日本企業はなぜヘッドハンティング会社を利用するのでしょうか?
日本企業がヘッドハンティング会社を利用する背景として、主に以下の2つの要因が挙げられます。
採用ができない(応募者がいない)
日本企業がヘッドハンティング会社を利用する一番の要因が、この「応募者がいない」という理由です。
細分化すると、「企業のネームバリューが低い」「転職希望者の要望と企業の想定年収に乖離がある」などの理由が挙げられます。
この様なケースでは、ヘッドハンティング会社が企業側へ打開策を提案した上で、人材確保などの活動を行います。
妥協せず優秀な人材を採用したい
企業が将来の経営幹部候補を見越した採用を行う際も、ヘッドハンティング会社を利用するケースが多いです。
このケースではリサーチ期間が長くなりますが、じっくりと優秀な人材を確保したいという企業側の思惑があります。
ヘッドハンティング業界は、そういった企業のニーズを捉えて成長を続けているんですね。
ヘッドハンティングの対象者
実際にヘッドハンティング会社が対象とする優秀な人材とは、一体どの様な人なのでしょうか。
基本的には、希少性の高いスキルや経験を持っている人材が、ヘッドハンティングの対象となります。
例えば、通常の求人情報での採用が難しいと思われる経営層の人材や、ニッチな分野の業務経験者などが挙げられます。
その様な人材は、通常の転職市場で見つけることが困難なので、企業はヘッドハンティング会社を利用して人材を確保しているのが現状です。
もし紹介された人材が入社後早々に退職した場合
もしヘッドハンティング会社から紹介された人材が、入社後すぐに自己都合で退社された場合、依頼した企業にとって時間的・金銭的に大きな損失となってしまいます。
そういったリスクを考慮し、ヘッドハンティング会社では返金規定が設けられているのが普通です。
例えば、一般的なヘッドハンティング会社では、企業に紹介した人材が入社後90日以内に自己都合で退職した場合、退職までの期間に応じて報酬の一部を返金するという規定があります。
ちなみに、返金の保証期間は通常90日程度ですが、ヘッドハンティング会社によっては180日の保証期間を設けているケースや、1ヶ月で退職してしまった場合は報酬を全額返金してくれるところもあります。
ヘッドハンティング会社によって保証期間や返金額が異なりますので、契約する際は必ずチェックするようにしましょう。
まとめ
ここまで、ヘッドハンティング会社の報酬について解説しました。要約すると以下の様になります。
- ヘッドハンティング会社に支払う報酬は「着手金」と「成果報酬」
- ヘッドハンティング会社との契約形態は「固定報酬型」と「成功報酬型」
- 一般的な転職エージェントの報酬は、想定年収の30〜35%が相場
- ヘッドハンティング会社の報酬は、想定年収の50〜60%が相場
この記事を参考に、あなたもヘッドハンティング会社を有効活用し、優秀な人材を確保できると嬉しいです。