部下から突然「退職をしたい」と言われたら、あなたはどのように説得しますか?上司という立場上、組織や業務への影響を考える必要もあるので、簡単に返事をすることはできませんよね。
また、退職をしたい部下だけではなく、退職を判断する上司にも大きな負担が掛かります。お互いにとって最善な選択をするためにも、最低限のノウハウは認識しておきたいところです。
この記事では、退職したい部下への上司が取るべき対応を紹介していきます。説得の手順や注意点、説得した後のケアについても紹介するので、是非参考にしてください。
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部下の退職を説得する前に
部下が退職を申し出たとき、「背中を押してあげたいけど、業務に影響が出るかもしれない…」など、いろんな思いが出てくるかと思います。
上司として冷静に判断を下すためには、「会社という組織にいる以上、退職を申し出る社員がいる」「説得をしても退職を再考してくれる訳ではない」という事実を認識しておくことが大切です。
自分の都合ばかりではなく、お互いにとって良い選択となるよう説得を行いましょう。次の章からは、部下の退職を説得する2つの手順を紹介します。
部下の退職を説得する手順①退職理由・意志を確認する
部下が退職を申し出たとき、退職に至った「理由」や今後の活動への「意志」についてしっかりと確認することが重要です。
「そんなことは当たり前」と思うかもしれませんが、ただ理由や意志を聞くのではなく、説得できる余地があるのかを確認する必要があります。
例えば、「職場環境」への不満であれば、職場を見直すことで退職を再考してくれることもあります。しかし、「新しいことへの挑戦」など強い意志がある場合、再考してくれる見込みは低いと言えるでしょう。
部下がどのような心境であるかを見定めながら、慎重に話を進めていきましょう。
部下の退職を説得する手順②部下の意志を尊重しながら説得を行う
退職を希望する理由や今後の活動への意志を確認したら、部下への説得を行います。ただ再考してほしいと伝えるのではなく、あなたや会社にとってどれだけ部下を必要としているかを述べましょう。
人間は誰から必要とされるときに幸せを感じるので、損得の話をするのではなく、部下の存在価値を示してあげることが大切です。
また、過去の自分と状況や境遇が重なる場合、自分の人生について開示するのも良いでしょう。人間は共感を求める生き物なので、共感できる人が近くにいれば退職を再考してくれるかもしれません。
そして、説得をするときに最も重要なのは、改善策を提示することです。1度退職を希望した人が変化のない環境に残ることはないので、改善策を具体的に示し、言葉ではなく行動で示すようにしましょう。
もし、部下の心境に変化がない場合は、今後の人生に向けて背中を押してあげましょう。気持ち良く送り出してあげることも、上司としての重要な職務です。
部下の退職を説得する際の注意点
この章では、部下の退職を説得するときの注意点について紹介します。まず認識しておきたいのが、退職の際に本音を話す人は少ないことです。
退職を希望する主な理由としては、「人間関係」「労働時間・環境」「給料」「上司・経営者の方針」が挙げられ、本音を伝えられない方が多い傾向にあります。
また、「どうせ辞めるのに本音を話す必要がない」と考えている方も多く、「キャリアアップ」「新しい挑戦」という理由を建前にして退職する方も多いです。
どこまで本音を聞き出せるかは分かりませんが、部下を説得をする際は、以下のことに注意しながら話を進めていきましょう。
- やたらに意見を否定しない
- 話に耳を傾け、冷静に物事を判断する
- 会社・自分の都合で話を進めない
尚、「もう少し頑張ってみようか」というような曖昧な言葉は、時に人を追い詰めてしまいます。
「今まで頑張ってきてないみたい」「何を頑張れば良いの」というように、ネガティブに捉えてしまう可能性があるので、曖昧な表現でアドバイスをするのは極力控えましょう。
部下の退職を説得した後にやるべきこと
この章では、部下の退職に対して説得をした後に会社・上司がやるべきことを紹介していきます。
どんなプロセスであったとしても、辿り着く答えは退職するか・しないかの2択であり、どちらを選択するかによってやるべきことは大きく変わります。
- 部下が退職を再考した場合:改善策を行動に移す
- 部下が退職を決めた場合:退職スケジュールを組む
部下を説得する中で、説得すること自体がゴールになってしまい、説得後の行動が伴っていない方も多いです。次の章からは、上記のやるべきこと2点について具体的に解説します。
部下の退職を説得した後にやるべきこと①改善策を行動に移す
部下が退職を再考してくれた場合は、提示した改善策を行動に移さなければなりません。
提示することは誰にでもできることであり、行動することによって初めて効果・価値が生まれます。行動に移さなければ、「やっぱり退職したい」という気持ちにさせてしまうでしょう。
筆者の友人の話ですが、上司に対して職場環境への不満を伝えたところ、「検討してみる」という言葉だけで何も行動してくれなかったそうです。
変わらない環境・行動が伴わない上司の下で、働きたいと考える人はいるのでしょうか?たった1つの行動が信頼性を大きく左右することを改めて認識しておきましょう。
部下の退職を説得した後にやるべきこと②退職スケジュールを組む
「説得をしたから大丈夫」と思っていても、退職を再考してくれるとは限りません。部下が退職を決めた場合、退職までのスケジュールを組むことも大切な仕事の1つです。
- 退職日を決める
- 有給休暇を消化する
- 退職届を提出してもらう
- 引継ぎ内容を決める
退職が決まったからとは言え、退職を迎えるまでは従業員の1人であることに変わりはありません。
退職する日まで職務を全うしてもらい、業務に支障が出ないような退職スケジュールを組んでいきましょう。次の章では、退職が決まった後のケアについて解説します。
部下の退職が決まった後のケアも大切
意外と疎かになっているのが、部下の退職が決まった後のケアです。前述したように、退職が決まった場合でも、退職を迎えるまでは従業員の1人に変わりはありません。
退職が決まったことによってやる気のない態度を見せていた場合、周りの従業員のモチベーション低下や会社の評判悪化に繋がることが考えられます。
反対に、退職するまで懸命に働いてたとしても、周りから冷たい視線を送られることもあるでしょう。
上司の職務は、健全に組織を運営していくことです。退職する・しないのどちらにしても、部下の様子に気を配りましょう。
部下の退職を今後の組織・行動に活かす
部下の退職にショックを受けることもありますが、その際に学んだものを今後の組織・行動に活かしていくことが大切です。
人によって退職理由は様々であり、良し悪しの基準も異なります。しかし、部下が退職することで、会社の不備や自分の非に気づくこともあるでしょう。
もちろん退職する側に問題があることもありますが、変化のない環境では、新たな退職希望者を増やしていく一方です。
日頃のコミュニケーションや部下との距離感など、身近なところから変えていくように努めていきましょう。
部下の退職に対する説得まとめ
今回は、部下が退職を希望したときの上司が取るべき対応について紹介しました。
「部下の気持ちを尊重したい」と思いながらも、会社のことも考えなければならないので、どうすれば良いのか分からなくなることもあるでしょう。
この記事を読んでいるということは、真剣に部下の退職に向き合っている証拠でもあるので、その気持ちがあれば最善の答えを見つけることができると思います。
お互いにとって良い選択ができるよう、部下の気持ちを大切にしながら、あなた自身の気持ちも伝えるようにしましょう。