「ある日、ヘッドハンターを名乗る人物からヘッドハンティングの提案があった。失敗せずに転職したいから、注意点があれば知りたい。」
ヘッドハンティングは、依頼された企業から優秀な候補者を選出し、高い給料額や役職を提示して他社から引き抜く採用方法です。
もし、あなたが初めてヘッドハンターに声をかけられたなら、提案を受けてもいいものなのか、不安に感じることでしょう。
そこでこの記事では、ヘッドハンティングを受けて転職する時に、失敗せずに済む6つの方法を紹介していきます。
この記事を読んで、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する、判断材料として役立ててください。
活況を見せる転職市場の裏側から見える問題点
最近の転職市場は、活況を見せています。2019年12月時点の転職求人倍率は3.14倍で、100人の求職者にたいして314件もの求人があり、1人あたりで換算すると、1人に対して3件の求人数があるのです。
このデータは、一般の転職活動全体の求人倍率であり、優秀な人材を他社から引き抜くヘッドハンティング形式の採用活動は、より求人倍率が高いと予想されます。
人手不足の背景から、企業はヘッドハンティングを業者に依頼し、他社よりも好条件・好待遇を提示することで、エリート社員の確保に苦慮している状況です。
そのため、ヘッドハンターが優秀な社員に近づき、他社よりも魅力的な案件をちらつかせて、無理に転職させようとするケースも存在します。
出典:https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/index.html
次の項目から、ヘッドハンティングを受けて転職に失敗してしまった例を2つ紹介していきます。
ヘッドハンティングを受けて転職に失敗してしまった例①
ヘッドハンティグを受けて転職に失敗してしまった例として最初に紹介するのは、入社前と入社後とのギャップにズレがあったという事例です。
ヘッドハンターは、優秀な社員を他社に取られたくないため、給料や福利厚生といった待遇面や業務内容などを、誇張して伝えることがあります。
入社前では「年収1000万円、海外でも仕事ができるので、やりがいがありますよ。」とヘッドハンターが言っていたのに、入社後は年収500万円で、海外で仕事ができるというのはウソだったという場合があります。
入社前と入社後のギャップが大きく、せっかくヘッドハンティングを受けて転職したのに、転職先を辞めてしまうこともありえるのです。
あくまで、ヘッドハンターはヘッドハンティングを成功させるために仕事をこなすため、相手のことを考えずに、自分のことしか頭にないヘッドハンターも少なくありません。
ヘッドハンティングを受けて転職に失敗してしまった例②
ヘッドハンティグを受けて転職に失敗してしまった例として次に紹介するのは、入社後にプレッシャーを感じてしまう事例です。ヘッドハンティングは通常の転職よりも、高い年収や役職付きで条件を提案されます。
提案の裏には、依頼した企業側から見ると、「これだけ高い費用をかけてるから、早く成果を出して欲しい。」という期待が隠されています。
転職後に慣れない環境の中で、いち早く結果を出さなければいけないので、その分プレッシャーがのしかかってくるのです。
結局、ヘッドハンティングを受けて転職したものの、プレッシャーに耐えられずにすぐに辞めてしまったという例も少なくありません。
次の項目から、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法を、6つ紹介していきます。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法①
最初に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、好待遇な条件に踊らされないことです。
ヘッドハンティングでは、条件によっては年収が1.5倍になり、会社役員や管理職といった役職付きで提案されることがあります。
こんなに高い給料がもらえるうえに、役職付きで転職できるのか。自分の能力はこんなに凄いのか。
「自分は絶対に踊らされない。」と思っていても、いざ、好待遇な条件をヘッドハンターから提示されると、自分の能力が認められたことから、冷静に判断できなくなるものです。
ヘッドハンターから高い給料や役職付きの求人を提案されたら、「なぜ、こんなにも条件が良いのか」と、理由を必ず考えましょう。
魅力的な求人内容の裏には、その分厳しい実績を求められることも考えられます。実績を出せなかった場合、降格や減給といった処分を下されることもありえるのです。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法②
次に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、給料交渉をすることです。
ヘッドハンティングを受けて転職した後では、給料額の変更ができないため、「もっと給料についてヘッドハンターと話をしておけば良かったのに。」と、入社した後で後悔してしまう場合があります。
そのため、ヘッドハンティングにおいては給料交渉を必ずしましょう。
依頼した企業は自社が抱える問題を解決するために、「ぜひ、あなたの力を貸して欲しい」と、お願いしているのです。そのため、対等に話すことになるので、給料交渉がしやすい傾向にあります。
給料交渉しましょうと言われても、実際どのぐらいの金額を提示したら良いのか分からない…。
初めて企業からヘッドハンティングを受けた人にとっては、どのぐらいの金額を提示したら良いのか分からないかと思います。
ヘッドハンティングされた場合、一般的に今の年収の20%~30%増しの金額を提示すればいいとされています。
最低ラインの20%だとすると、年収500万円なら年収600万円、年収600万円なら年収700万円が目安です。
また、給料交渉をよりスムーズに進めたいなら、以下の3点を確認しましょう。
- 現在の給料やボーナス、手当、今後もらえる退職金の金額を洗い出す
- 自分が行っている業務内容を確認する
- 今まで自分が成し遂げてきた実績を確認する
あなたが今もらっている金額だけでなく、退職金といった今後もらえるお金も考慮しましょう。その上で、自身の業務内容と実績を確認することで、少しでも多くの給料をもらえる材料を揃えることができます。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法③
次に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、ヘッドハンティングを依頼した企業の情報を確認することです。
依頼した企業の情報を確認することで、入社前と入社後のミスマッチによる離職を防ぐことが出来ます。
ヘッドハンターに直接、企業の情報を聞いたとしても、ヘッドハンティングは秘密裏に行われるため、最初の段階では企業名をあなたに教えてくれません。
ですが、ヘッドハンターは企業の規模や、事業内容といったおおまかな情報は教えてくれるので、そこから判断していきましょう。聞いた情報を基にネットで調べれば、企業のおおよそのイメージがつかめます。
ヘッドハンターは、最初の段階では依頼された企業の名前を伝えませんが、依頼された企業と相談のうえ名前を公表するタイミングを決めるため、状況によって名前を教えてくれます。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法④
次に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、転職後のポジションについて確認することです。
ヘッドハンティングの求人内容は、一般的な転職よりも事業部長や取締役員といった役職付きのポジションが提示されたり、より責任の重い業務を任されるものであったりします。
そこで、ヘッドハンターが提案した企業に転職したらどのようなポジションになるかを、以下の3点を踏まえて直接相手に聞いてみましょう。
- どのような立場の役職になるのか
- 役職は期限付きの雇用形態か
- 業務内容は国内だけか、それとも海外も視野に入れているのか
もし、あなたが今勤めている企業で部長というポジションなら、提案された企業でも同じ部長という役職のままなのか、それともより上の立場を任されるのかという点を確認しましょう。
また、役職付きの雇用は、場合によっては2年の有期雇用という雇用形態もあるので、終身か期限付きかどうかも確認したほうがいいです。
業務内容についても、国内だけなのか、海外も視野に入れているかの違いによって、海外転勤の有無や高い言語能力が必要とされるかが異なります。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法⑤
次に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、他社のエージェントサービスを利用して相談してみることです。
ヘッドハンターから提案された話は確かに魅力的だけど、私が受けていいものだろうか…。
ヘッドハンターから提案された話を充分に検討しても、本当に自分が受けてもいいものなのか、不安になるかと思います。
そこで、転職エージェントにヘッドハンティングの内容を相談することで、第三者の視点から冷静に検討できます。転職エージェントサービスを提供している各社を挙げると、以下の通りです。
例を挙げた各社には、各業界に精通したプロのエージェントが在籍しているので、提案されたヘッドハンティングの内容を安心して相談できます。
ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法⑥
最後に紹介する、ヘッドハンティングを受けて失敗せずに転職する方法は、提案を口約束しないことです。
ヘッドハンティングの提案は、口約束でも「諾成(だくせい)契約」という当事者間の合意が成立し、法的効力が発生します。そのため、軽く口約束したとしても、提案に同意したとみなされてしまいます。
年収800万にアップは間違いなしです。管理職のポジションをお任せしようかとも考えていますので、~さんの能力に見合った求人ですよ。
本当ですか。こんなに良い条件の提案を受けさせていただけるなんて。ぜひ、よろしくお願いします。
このように、高い年収や役職付きのポジションの提案だけでなく、あなた自身の能力が評価されると、つい勢いにまかせて口約束してしまいがちです。
勢いにまかせて口約束をした後、提案された企業へ転職すると、給料額が低くなったということや、役職付きという話はウソだったというトラブルも実際にあります。
裁判所に訴えたとしても書面に残されていないやり取りであるため、泣き寝入りをするしかありません。そのため、ヘッドハンティングの提案を受ける時は、必ず契約書に基づいて行うようにしましょう。
まとめ
ここまで、ヘッドハンティングを受けて転職する時に、失敗せずに済む方法を紹介していきました。内容をまとめると、以下の通りです。
- 好待遇の条件に隠された理由を考える
- 転職した後で後悔しないために給料交渉する
- 相手に企業の情報を聞いてみる
- 転職後のポジションや業務内容の確認
- 他社のエージェントサービスを利用して相談する
- ヘッドハンティングを口約で受けない
ヘッドハンティングは、あなたの能力を認めて高額な給料や役職を提案してくれることから、冷静な判断ができずに失敗する可能性があります。
また、ヘッドハンティング会社の中には、仲介手数料や個人情報流出を目的とした悪質な会社もあり、被害に遭ってしまう例もあるのです。
この記事で紹介した方法を全て知っておくことで、ヘッドハンティングの転職に失敗する可能性を減らせます。検討に検討をかさねたうえで、後悔のないヘッドハンティングを受けるようにしましょう。