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【上司向け】部下の評価基準と評価時の注意点を紹介!

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企業や組織に長く属していると、部下を評価する立場になっていきます。

しかし、いきなり評価をしろと言われても評価基準が分からず、どのように評価をすればいいのか戸惑う方も多いのではないでしょうか?

この記事では、部下の評価基準や評価方法、具体的な評価項目が載っている評価シートのサンプルなどを紹介しています。実際評価をする際に参考になるものばかりですので、ぜひ最後まで読んでくださいね!

部下を評価する目的とは?

まず部下を評価するにあたり、なぜ評価するのかという目的を理解しておきましょう。部下を評価する目的は、以下の通りです。

部下を評価する目的
  • 部下に企業の経営方針・目標を理解してもらうため。
  • 部下の能力を見極め、適材適所の人材配置を図るため。
  • 部下の成果に見合った待遇を決定するため。
  • 部下の成長を促進するため。

部下の結果や能力を適切に評価し、正確なフィードバックしていくことで、部下のモチベーションを高め、部下の更なる成長に繋がります。

しかし、評価が曖昧で、納得できない評価内容だと部下のモチベーションが下がり、人材の育成が遅れたり、人材を失ってしまったりといったリスクに繋がります。

そのようなことを避けるためにも、上司は評価基準を明確にして、公正な評価を行う必要があるのです。

部下の評価基準の3本柱

https://pixabay.com/ja/photos/フィードバック-チェックリスト-3676922/

一般的に部下を評価する基準として、3本の柱があるとされています。その3本の柱とは、「成果(業績)評価」「能力評価」「情意評価」です。

部下の評価基準の3つの柱
  1. 成果(業績)評価
    「与えられた業務をどのくらい遂行できたか」「目標をどのくらい達成できたか」といった業績や活動実績を評価するもの。
  2. 能力評価
    「上司の指示を正確に理解できるか」「同僚や上司との報告・連絡・相談ができているか」といった、業務に必要な技術や能力を評価するもの。
  3. 情意評価
    「規律を守れているか」「苦手な仕事にも積極的に挑戦しているか」といった業務に取り組む姿勢を評価するもの

では、この3つの柱について具体的にどのように評価をするのか、見ていきましょう。

部下の評価基準① 成果(業績)評価

まず、成果(業績)評価の具体的な評価手順や評価内容を解説していきますね!

成果(業績)評価手順

成果(業績)評価の主な流れ

目標の設定 → 業務遂行・期中で目標の見直し → 目標達成度評価

目標の設定

目標の設定では、「売り上げ件数◯件」「顧客満足度◯%」「◯◯の資格取得」「セミナーに◯件参加する」など具体的な数値目標や行動目標を設定します。

人事評価のプロ
人事評価のプロ
目標は高すぎても、低すぎてもいけません。努力すれば達成できるぐらいの難易度にしましょう!

業務遂行・期中で目標の見直し

目標設定後は、その目標を達成するために日々の業務を遂行します。しかし、期中に想定外の出来事が起きた場合は、どうしても当初の目標達成が困難になることもあります。

現状から見て無理な目標設定になっていないか、定期的に目標設定の見直し・修正をしていくようにしましょう。

目標達成度の評価

評価期間が終了したら、設定した目標がどの程度達成できたか評価を行います。

成果(業績)評価項目

成果(業績)評価の項目は業績目標達成度課題目標達成度の2項目で行われます。いずれも、設定した目標の達成率で評価されます。

業績目標達成度 期初に設定した数値目標の達成度。
課題目標達成度 期初に設定した行動目標の達成度。

部下の評価基準② 能力評価

続いて、能力評価の評価手順や評価項目について紹介していきます。

能力評価の手順

能力評価については、それぞれの評価項目がどの程度、達成できたかを3段階〜5段階で評価します。一般的には、被評価者が自己評価を行なった後、上司が他者評価を行います。

能力評価の項目

能力評価で評価される具体的な項目としては次のようなものが挙げられます。

企画力・計画力 自分やチームの担当業務が円滑にこなせるように、計画立案する能力
実行力 担当業務やプロジェクトを実際に遂行する能力
改善力 業務内で発生した問題点や課題を発見し、改善していく能力
対人能力 グループをまとめたり他者との折衝や交渉をする能力
判断力 現在の状況を正しく把握して適切に対応していく能力
知識 業務遂行に必要な知識を獲得できているかどうか

ただ評価されるべき項目は職種によって異なります。部下の業務内容を踏まえて、評価すべき項目を考えてみてください。

部下の評価基準③ 情意評価

次に、情意評価の評価手順と評価項目について紹介していきます。

情意評価の手順

情意評価は能力評価と同様に、それぞれの評価項目がどの程度、達成できたかを3段階〜5段階で評価し、自己評価他者評価を行うことが一般的です。

情意評価の項目

情意評価で評価される具体的な項目として、次の4つが挙げられます。

規律性 社会のルールや規律、人との約束を守れているか。
責任性 自分の仕事や役割を理解し、それを最後まで全うしているか。
協調性 チームや同僚と協力できているか。
積極性 自発的に新しい仕事に挑戦したり、自己啓発に取り組んだりしているか。

具体的な数値や技術が求められる成果(業績)評価や能力評価とは異なり、立ち振る舞いや仕事に取り組む態度での評価です。

入社して間もない部下の場合は、これらの項目を重点的に評価してみるといいかもしれません。

評価方法に迷った時は評価シートのサンプルを参考に!

ここまで、部下を評価する際に参考にしてほしい評価基準を紹介しました。

現在では、独自の人事評価制度を導入している企業も多いです。「どうやって部下を評価したらいいの?」と悩んだ際には一度、人事部などに確認することをお勧めします。

しかし、人事評価制度を導入していない企業の場合、どうすればいいのか戸惑いますよね。そんな方は評価シートのサンプルを活用してみてください。

特に厚生労働省のHP内にある職業能力評価基準のページでは、職種ごとの評価シートのサンプルも掲載されているので、かなり参考になりますよ!

人事評価のプロ
人事評価のプロ
この評価シートのサンプルを参考に自社に合った評価シートを作成することもオススメです!

本来であれば、評価目的や部下の業務内容を理解した上で、話し合いを行い、評価基準を定めることが理想です。

今後、定期的に部下の評価を行うのであれば、評価制度を整えるようにしましょう。

新たな評価基準 コンピテンシー評価

近年ではコンピテンシーに基づき、評価を行うという企業も増えてきています。このコンピテンシーとは、高い業績を残している社員の行動特性を評価基準にするというものです。

具体的にはどんな基準?

常に営業成績上位にいるA氏。そんなA氏が意識的に行なっていることをヒアリングしてみた結果、以下のような行動があった。

  • 担当営業先から電話や連絡があったら、翌日には必ず出向く。
  • 連絡がない場合も2週間に1度は担当営業先に訪問するようにしている。
  • 常にデスク周りは片付けている。
  • 自宅には絶対仕事を持ち帰らないようにしている。

コンピテンシー評価では、仕事が出来る人が実際に行なっているこれらの行動を評価基準として採用していきます。

コンピテンシーの評価項目は、組織や企業に適した評価項目を作成するのが好ましいとされてます。

評価項目を作成するにあたり、アメリカで開発された「コンピテンシーディクショナリー」を活用して作成することをオススメします。

コンピテンシーディクショナリー
  • 達成・行動
    達成志向/秩序・品質・正確性への関心/イニシアチブ/情報収集
  • 援助・対人支援
    対人関係理解/顧客支援志向
  • インパクト・対人影響力
    インパクトと影響力/組織感覚/関係の構築
  • 管理領域
    他者育成/指導/チームワークと協力/チームリーダーシップ
  • 知的領域
    分析的志向/概念的志向/技術・専門職的・管理的専門性
  • 個人の効果性
    自己管理/自信/柔軟性/組織コミットメント

参考:日本におけるコンピテンシー − モデリングと運用 –

このコンピテンシー評価の導入には、ヒアリングや評価項目の決定など検討することが多くあるため、一朝一夕でできるものではないので注意が必要です。

部下を評価する時に注意したい評価エラー

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3168060

ここからは、公正な評価を行うにあたって、注意すべき評価エラーについて7つ紹介します。

ハロー効果

ハロー効果とは、評価対象の部下に突出した能力があるなど、何か1つ良い印象があると、他の評価項目についても高い評価をしてしまうことです。

寛大化傾向・厳格化傾向

寛大化傾向・厳格化傾向とは、評価をする際に実際より甘く評価をしてしまったり(寛大化傾向)、厳しい評価をしてしまったり(厳格化傾向)と適切な評価ができなくなってしまうことです。

「反抗的な態度をとる後輩には腹立たしいので悪い評価をつける」というのが典型的な厳格化傾向です!

中心化傾向

中心化効果とは、評価結果が中央値に集中してしまうことです。適切な評価ができておらず、評価対象者全員が似たような評価結果になってしまうことがあります。

対比誤差

対比誤差とは、評価者自身の経験や実績など評価者目線の基準で評価を行ってしまうことです。評価者が得意な分野は評価が厳しく、評価者が苦手な分野は評価が甘くなる傾向があります。

「昔は日付が変わるまで働いていた」「自分が新人の頃のノルマはもっと高かった」といった基準での評価も対比誤差の特徴ですね!

論理的誤差

論理誤差とは、実際の実績の分析・確認で評価をするのではなく、推論で評価を下してしまうことです。

具体的には、「東京大学を出ているから、営業の成績も良いだろう」と営業成績を見ずに評価をするということが挙げられます。

逆算化傾向

逆算化傾向とは最終的な評価結果を最初につけて、そこから逆算して細かい評価項目の結果を調整するというものです。

期末効果

期末効果とは、評価期間全体の出来事ではなく、評価期間終了直前に起きた出来事のみを対象に評価をしてしまうことです。

人事評価のプロ
人事評価のプロ
これらのエラーを起こしてしまうと、評価の公平性が失われてしまいます。部下のモチベーションを下げてしまう原因になりますので、十分に気をつけて評価をしましょう。

評価後のフィードバックも大切に!

部下を評価した後、ほとんどの場合、上司が評価結果をまとめ、後日面談などを通じて、フィードバックを行います。

その時のフィードバックの内容やフィードバックの仕方次第では、部下のモチベーションを下げてしまう危険性があります。出来れば、それは避けたいですよね!

Executive Naviでは、部下のモチベーションを上げるフィードバックのコツを紹介した記事もあります。ぜひ、こちらもあわせて確認してみてください。

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部下の評価基準のまとめ

今回の記事で紹介した部下の評価基準については、以下の通りです。

成果(業績)評価 業績目標達成度、課題目標達成度
能力評価 企画力・計画力、実行力、改善力
対人能力、判断力、知識 等
情意評価 規律性、責任性、協調性、責任性
コンピテンシー評価 達成・行動、援助・対人支援、インパクト・対人影響力、管理領域、知的領域、個人の効果性の6領域。項目は20項目。

公正な評価を行うことができれば、部下のモチベーションを上げることができ、結果的には企業の成長に繋がります。

ただ公正な評価を行うには、評価基準を定める必要があります。ぜひ、評価基準が定まっていないという方は今回の記事を参考に、評価基準や評価項目を決めてみてくださいね!

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Anna.
文章を書くことが好きだと気付き、ライターの世界へ。人の心に響く文章を書くのが目標です。