転職活動をしている方の中には「少しでも自分を良く見せたい」という思いから、面接で嘘をついてしまう人がいるようです。
もしあなたが「別に嘘をついても問題ないでしょ?」と考えているなら、少し立ち止まってみてください。と言うのも、面接で嘘をつくのは、転職者にとって“リスキー”なことだからです。
この記事では、面接での嘘がバレる可能性や、面接で嘘をつくリスクについて解説していきます。また、嘘をつくことなく上手に魅力を伝える方法も紹介するので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3851376?title=スーツを着た男性66)
なぜ転職の面接で嘘をつく人が多い?
「嘘をつくことは良くない!」と理解しているのにも関わらず、なぜ面接で嘘をついてしまうのでしょうか。その理由として「少しでも自分を良く見せたい」という心理の働きが挙げられます。
いざ面接を受けるとなると「絶対に採用してほしい」という思いから、ライバルよりも自分を良く見せたくなるものです。むしろ、周りよりも自分を良く見せようと努めなければ、転職を成功させるのは難しいと言えます。
また、「転職したいけど、スキルやキャリアに自信がない」という理由から、資格や経歴を誤魔化してしまう人もいるようです。嘘は良くありませんが、嘘をつきたくなる気持ちは理解できるのではないでしょうか。
転職の面接でついてしまいがちな嘘とは?
では実際に、転職者はどのような嘘をつくことが多いのでしょうか。面接でついてしまいがちな嘘としては、以下のようなものが挙げられます。
- 「資格・スキル」に関する嘘
- 「経歴」に関する嘘
- 「退職・転職理由」に関する嘘
- 「他社の選考状況」に関する嘘
資格・スキルに関する嘘
よくありがちなのが「資格・スキル」に関する嘘です。具体的には以下のような例が挙げられます。
- 片言でしか話せない英語を「問題なく話せる」と答える
- 勉強中でまだ取得していない資格を「取得済」と答える
また、書類選考の段階でTOEICのスコアを実際のスコアよりも高く記載する方もいるようです。
持っていない資格を「取得済」と答えたり、TOEICの点数を誤魔化したりするのは、立派な詐称になるので注意が必要です。
経歴に関する嘘
少しでも自分をよく見せようとして、これまでの「経歴」に関して嘘をつく人も多いと言われています。具体的には以下のような例が挙げられます。
- 学校を中退しているのに「卒業した」と伝える
- 前職の勤続年数を実際よりも多く伝える
- 入社してすぐに辞めた会社のことを話さない
- マネジメント経験がないのに「経験している」と伝える
経歴を良く見せたくなる気持ちは分かりますが、嘘の経歴を伝えてしまうと後々自分の首を絞めることになります。
尚、経歴詐称は「内定取り消し」や「入社後の解雇処分」に繋がる可能性が高いので、ありのままの経歴を伝えるようにしましょう。
退職・転職理由に関する嘘
転職の面接では、前の職場を退職した理由や、転職する考えに至った経緯について聞かれることが多いです。
その際、退職・転職の理由がネガティブな内容の場合、素直に伝えることができない人もいるようです。具体例には以下のような例が挙げられます。
- 業務が辛くて退職したのに「職場環境が悪い」など会社に非があるように伝える
- 給与や人間関係が原因なのに「新しい業界に挑戦したい」など異なる転職理由を伝える
- 前職を解雇されているのに「自己都合で退職した」と伝える
退職・転職理由に関しては、時に嘘をつかなければならない場合があります。
と言うのも、ネガティブな退職・転職理由をそのまま伝えてしまうと、高い確率で不採用になってしまうからです。
採用する側も転職理由の本音が「会社に対する不満・不平」であることを理解しているので、その点は心配しなくても問題ありません。
ただ解雇されたことを自己都合退職と伝えるように、事実を変えてしまうのは詐称になるので注意しておきたいところです。
他社の選考状況に関する嘘
転職活動は、複数の企業の選考を並行して受けていくのが一般的です。そのため、面接では他社の選考状況について聞かれることも多いでしょう。
その際、転職活動を有利に進めようと嘘をついてしまう方もいるようです。具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- まだ他の企業から内定を受けていないのに「内定を貰っている」と偽る
- 1社しか応募していないのに受けていない企業の名前を挙げる
- 複数の選考を受けているのに「御社のみにしか応募していない」と伝える
他社の選考状況に関しては、正直に答えてもマイナス評価になることはありません。
後程解説する「志望度」だけに注意しておけば、面接で悪い印象を与えることはないでしょう。
実際に転職の面接で嘘をつくとバレるのか?
ここまで面接でよく見られる嘘について紹介しましたが、中には「嘘をついたところでバレるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言うと、面接でついた嘘は“バレる可能性があります”。と言うのも、転職の面接でついた嘘は、以下のような経緯で発覚するケースがあるからです。
- 応募書類の内容と面接での回答の矛盾
- 源泉徴収票や離職票など提出書類との矛盾
- リファレンスチェック
- 共通の知人・友人からの情報
リファレンスチェック:求職者から了承を得た上で、関係者に問い合わせること
特に「応募書類の内容と面接での回答の矛盾」で嘘がバレることが多いです。転職の面接では、職務経歴書や履歴書に記載した内容について、面接官から深く質問されます。
その際に内容が矛盾していたり、上手く答えられなかったりした場合、すぐに面接官に怪しまれてしまいます。
採用担当の方は、これまでに数々の応募者に対応してきた経験があるので、下手に嘘をついたところで見抜かれてしまうでしょう。
また、「提出した書類から経歴詐称がバレる」「リファレンスチェックや共通の知人の証言から、人物像や退職した経緯がバレる」といったことも少なくありません。
内定取り消しも!?転職の面接で嘘をつくことのリスク
前章では“面接でついた嘘はバレる可能性が高い”と解説しましたが、実際に嘘をつくことでどのようなリスクがあるのでしょうか。
1度ついてしまった嘘は取り消すことができないので、以下のようなリスクがあることをしっかりと頭に入れておきましょう。
- 選考で落とされる
- 内定が取り消される
- 試験期間中に解雇される
- 社内での信用を失う
- 罪悪感にさいなまれる
選考で落とされる
もし面接の場で嘘をついたことが発覚すれば、次の選考に進める可能性は極めて低いでしょう。
採用する側からしてみれば、面接で嘘をつく人に対して「誠実ではない」「業務上でも嘘の報告をするかもしれない」と判断するのは当然のことです。
誇れるようなスキルや経歴を持っていても、採用担当者は不誠実な人を採用しようとは思いません。
内定が取り消される
内定を獲得した後に面接でついた嘘がバレると、内定が取り消される場合があります。
特に仕事をする上で必要な「資格」「技術」「知識」についての嘘があると“重大な経歴詐称”と判断され、内定取り消しになる可能性が高いです。
尚、内定が決まった後には「資格の取得証明書」や「TOEICの公式認定書」などの提出を求められることもあるので、面接で嘘をつかない方が無難と言えます。
試験期間中に解雇される
一般的に多くの企業では、入社後の数ヶ月を「試用期間」としています。
企業側は、試用期間内に面接で確認したスキルや能力をチェックし、実際に業務をこなせるかどうかを確かめていきます。
もし業務をこなすことができずに嘘が発覚すると、最悪の場合「解雇」となるので注意が必要です。
また、職歴や学歴などに関する虚偽の申告が確認された場合、多くの企業では「懲戒免職」になる傾向にあります。
社内での信用を失う
入社後に嘘が発覚して解雇されなかったとしても「重要な場で嘘をつく人」というレッテルが貼られてしまいます。
そうなると、社内での信用を失うことになり、せっかく転職できたとしても職場に居づらくなるでしょう。
また、周りからの信用を失うことで重要な仕事に参加できなかったり、社内評価が低くなったりすることも十分に考えられます。
罪悪感にさいまなれる
面接で嘘をついてしまうと、もしバレなかったとしても罪悪感を抱えたまま働かなければなりません。
「いつかバレるかもしれない…」と怯えながら過ごすことになるので、大きなストレスやプレッシャーを感じるでしょう。
そのような状態だと、自分が持っている本来の力を十分に発揮できず、業務に集中できなくなってしまう可能性が高いです。
転職の面接で嘘をつかずに上手く魅力を伝える方法
これまでの内容から、面接で嘘をつくことがいかにリスキーなのか理解していただけたかと思います。
とは言え、転職を成功させるためには、自分の魅力をしっかりとアピールしなければなりません。
以下の4つのポイントを意識すれば、面接で嘘をつくことなくあなたの魅力を伝えられるでしょう。
- 資格・スキルは詐称せず、フォローを加えるのがコツ
- 経歴は実績以外に“活かせる経験”もアピールする
- 退職・転職理由はポジティブな表現に変換して伝える
- 他社の選考状況は志望度の伝え方に注意すればOK
上記の4つの方法は、面接で好印象を与えるために必要なポイントになるので、次の章から詳しく解説していきます。
①資格・スキルは詐称せず、フォローを加えるのがコツ
前述したように、資格やスキルの虚偽申告は“重大な経歴詐称”となるので、嘘をつかずに伝えるようにしてください。
もし企業が求める条件を満たしていない場合は、スキル不足であることを認めた上で、熱意が伝わるフォローを加えると好印象を与えやすいです。
例えば、「現在資格取得に努めており、学んだスキルを活かして御社に貢献したいと考えております」と伝えれば、スキルに自信がない方もアピールしやすいかと思います。
また、面接まで時間がない方は「御社でスキルや経験を積みつつ、迅速にキャッチアップしていきます」と伝えるのも良いでしょう。
②経歴は実績以外に“活かせる経験”もアピールする
転職の面接では、これまでの実績や経験年数などを聞かれることが多いです。もし実務経験が足りない場合は、他に活かせる経験をアピールして不足分を補うことが大切です。
例えば、「現在〇〇のプロジェクトに取り組んでおり、御社の役に立てると考えております」と伝えれば、嘘をつかなくても好印象を与えられます。
また、「経験年数は少ないですが、少数で稼働していたため、より多くの経験を積んでいます」とアピールするのも良いでしょう。
特筆すべき実績や経験年数がなくても、経歴をアピールすることはできます。ですので、これまでのキャリアを棚卸しして、転職先で活かせる経験を整理しておきましょう。
③退職・転職理由はポジティブな表現に変換して伝える
先程は“退職・転職理由は、時に嘘をつく必要がある”と解説しました。厳密に言うと、嘘をつくのではなく「ポジティブな表現に変える」という方が正しいでしょう。
と言うのも、大抵の退職・転職理由は「給与が低かった」「人間関係が上手くいかなかった」などネガティブな理由が多いです。
前職への不満をそのまま伝えると、面接官から「うちに来ても同じ理由でやめるかもしれない」と思われてしまうかもしれません。
ですので、「給与が低かった→実績がきちんと給与に反映される環境で働きたい」というように、ポジティブな表現に変えた方が好印象を与えやすいです。
④他社の選考状況は志望度の伝え方に注意すればOK
大抵の場合、面接では他社の選考状況について聞かれることが多いです。他社の選考状況は、正直に伝えてもマイナス評価にならないので、わざわざ嘘を必要はありません。
と言うのも、転職活動は複数社に並行して応募することが普通なので、他社の選考を受けていても問題はないからです。
ただ1つだけ注意しておきたいのが「志望度」に関する答え方です。もし他の企業が第1志望の場合に「御社は第2志望です」と伝えると、面接官は「内定を辞退されるかもしれない」と考えてしまいます。
ですので、第1志望でない企業に対しても、建前として“第1志望群”であることをアピールしておきましょう。言い換えれば“嘘”になってしまいますが、この建前は面接におけるマナーの1つなのでOKです。
まとめ:転職の面接は嘘をつかなくてもアピールできる
今回は、面接でついた嘘がバレる可能性や、面接で嘘をつくリスクについて解説しました。改めて記事の内容を簡単にまとめてみます。
- 面接でついた嘘はバレる可能性が高い
- 嘘が発覚すると内定取り消しや解雇される場合がある
- 嘘がバレなかったとしても会社での居心地が悪くなる
- 下手に嘘をつくより受け答えを工夫した方が得策
基本的に面接で嘘をつくことはNGですが、「ネガティブな退職・転職理由」と「御社の志望度」だけに関しては“唯一ついても良い嘘”と言えます。(厳密にはポジティブな表現や建前を使う)
この記事を読んだあなたなら、面接で嘘をつくことなく自分の魅力をしっかりとアピールできるでしょう。ぜひ紹介したポイントを活かして、転職を成功させてみてください。