技術者として企業に勤めているあなたは、最高技術責任者という言葉を、会社で一度は聞いたことがあると思います。
技術部門のトップである最高技術責任者を目指している人は多いものの、その実態を知らない人は多いのではないでしょうか?
今回は、そんな人のために最高技術責任者の役割や最高技術責任者になるための方法について紹介していきます。
あなたのキャリアアップにもつながる話になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/歯車-売上原価-マシン-機械-1236578/)
最高技術責任者(CTO)とは
最高技術責任者とは、英語で「Chief Technology Officer」と呼ばれ、企業内における技術や研究開発を統括する役職のことを指します。
もともとはアメリカの企業で生まれた名称です。責任の所在を明確にするために導入された役職で、近年は日本の企業でも定着しつつあります。
最高技術責任者は、英語の「Chief Technology Officer」の頭文字を取って「CTO」とも呼ばれています。
最高技術責任者(CTO)の役割
CTOには、主に次の2つの役割があります。順を追って説明していきます。
企業戦略と技術面のすり合わせ
CTOは、企業のビジョン・戦略を把握して、それに対してどのような技術的アプローチを行うかを考えなくてはなりません。
日ごろから、最新技術をキャッチアップして経営に生かせる技術がないかを考えることが必要になります。
技術・研究開発やプロジェクトのマネジメント
CTOは、企業内のエンジニアのトップの存在として技術・研究開発を統括する立場にあります。
しかしそれだけではなく、どのようにプロジェクトを進めていくか・誰をどこに配置するかといったマネジメントもする必要があります。
最高技術責任者(CTO)に必要なスキル
CTOには、どのようなスキルが求められるのでしょうか?ここでは、最高技術責任者に求められるスキルについて紹介していきます。
CTOは、主に次の3つのスキルが求められます。順を追って説明していきます。
1.技術力
CTOとして働く前提として、やはり技術力は絶対に必要となる能力です。
また、企業を成長させていくためにも最先端の技術を常に学んでいく姿勢が必要になります。
2.マネジメント能力
CTOには、技術力だけではなく、マネジメント能力も必要になります。
例としては、以下の3つの項目のマネジメントが必要になります。
- 人材の流出を防止するための施策をどのように行うか?・どうやって魅力的な環境にするかといった人・組織のマネジメント
- 製品開発の実行計画を考えるプロダクトマネジメント
- プロジェクトの進め方を決定するプロジェクトマネジメント
CTOならば、以上のマネジメント能力を少しでも多く身に付けて、企業に合うやり方にカスタマイズしていかなければなりません。
3.リーダーシップ
「技術力・マネジメント能力があればいいのか?」というと、そういうわけではありません。社員から「この人についていきたい」と思われるような、リーダーシップのある人物でなければなりません。
そのためにも、日ごろからの社員とのコミュニケーションや、社員への指導を行っていくことが重要になります。
最高技術責任者(CTO)の仕事
CTOの仕事内容としては、主に次の3つがあります。順を追って説明していきます。
1.企業内エンジニアの代表としての意思決定
CTOは、企業内のエンジニア部門のトップです。つまり代表として、企業内のエンジニアたちをまとめる必要があります。
また、技術面の方向性の決定・技術開発に関する計画の立案をすることも仕事の一つです。
実際に研究開発に携わる場合もあれば、社員に方針や作業の指示を与えるだけといったケースもあります。
2.人材採用
企業の人事と相談して、採用する人材を決定する必要があります。実際に、面接官として面接に参加することもあります。
3.教育
社員がどのような技術を学ぶべきかという教育内容の検討をする必要があります。実際に、社員への研修の際に講師として指導する場合もあります。
最高技術責任者(CTO)の現状と課題
企業ではCTOを技術者のトップとして位置付けて、権限責任を与えています。
しかしCTOの課題はとても多いのが現状です。主な課題としては、以下のことがあります。
- CTOの必要性が認識されていない
- CTOにふさわしい人材が育成されておらず役職として設置できない
- 他のエンジニアと同じ待遇であったり十分な稼ぎを得られない
上記の課題はすべて、CTOの重要性の理解が進んでいないために発生しています。つまり、これを解決するためには「CTO権限・役割を明確に定義する」ことが必要になってきます。
最高技術責任者(CTO)のやりがい・魅力
CTOは企業の技術者の代表なので、仕事の進め方などに対して大きな権限を持っています。
その分、実力や責任感は伴いますがプロジェクトが成功したときには、大きな達成感を味わうことができるでしょう。
また、CTOには技術力だけでなくマネジメント能力が必要なので、「CTO=技術・マネジメント能力にたけている人材」という認識を得ることができます。
技術・マネジメント能力は企業の成長に直結するため、自らの成長=企業の成長として実感できるはずです。
最高技術責任者(CTO)になるためには
CTOになるためには、次の3つの方法があります。順に紹介していきます。
1.現在働いている企業で昇進してCTOになる
一つ目は、現在働いている会社で昇進をしてCTOとなるケースです。
デメリットとしては、昇進までの道のりが厳しく長いことです。基本的には、新卒で入社してから10年以上の経験が必要になります。
しかし、その反面CTOになった際には相当の実力をつけることができるというメリットがあります。
2.CTO求人を探して転職する
二つ目は、CTOを募集している企業を探して転職するというケースです。
この時、転職するのはスタートアップ企業がおすすめです。なぜかというと、スタートアップ企業は、創業時にいたエンジニアがそのままCTOになっているケースがあるからです。
そのため、もしあなたが今の企業で十分な経験を積んでいるのなら、転職時にCTOになる可能性はとても高くなります。
3.自ら起業してCTOになる
三つ目は、自ら起業してCTOになるケースです。メリットとしては、30代後半・40代の熟練エンジニアが多いCTOに20代という早期からなれる可能性があるということです。
しかし、自分の技術力が会社の成長スピードに合っていないと、中途採用で入ってきた人にCTOの役職をとられてしまうといったデメリットもあります。
最高技術責任者(CTO)の年収・待遇
CTOになるとどのくらいの給料がもらえるのでしょうか?一般的なCTOの平均年収は、784万円といわれています。
(出典:https://agency-star.co.jp/column/chief-technical-officer/)
一般的なエンジニアの平均年収が454.5万円なので、それと比べると約1.7倍の金額です。
(出典:https://www.creativevillage.ne.jp/53221)
しかし、CTOの年収は、所属する会社の規模に大きく左右されてしまいます。何故かというと、社内のエンジニアが増えればそれだけ統括するのが大変になり、知識が必要になるからです。
また、転職をしてCTOになろうとしている人は、その企業の待遇を事前にしっかり調べることをおすすめします。なぜなら、CTOとは名ばかりで待遇が他のエンジニアと変わらないといったケースもあるからです。
最高技術責任者(CTO)と最高情報責任者(CIO)の違い
最高技術責任者(CTO)に似た用語として最高情報責任者(CIO)があります。ここでは、これらの両者の違いについて説明していきましょう。
CTOは、企業の技術関連全般の責任を負います。それに対して、CIOは情報システム関連に対する責任を負います。
企業の中には、CTOとCIOを一人で兼任している企業・完全に異なるものとして扱っている企業もあります。
こうすることで、それぞれの役割を分けることができて専門性の高い役職にすることができるのです。
最高技術責任者(CTO) の解説 まとめ
今回は、CTOと呼ばれる最高技術責任者について解説しました。要約すると下記の通りです。
- 企業戦略と技術面のすり合わせ
- 技術・研究開発やプロジェクトのマネジメント
- 技術力
- マネジメント能力
- リーダーシップ
CTOになることができれば、技術面・経営面の両方から会社に関わることができるので、エンジニアが目指す役職としては価値のあるポジションでしょう。
この記事では、CTOに必要なスキル・なるための方法について解説しました。この記事が、あなたがCTOになる助けになることを願っています。
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