取締役が辞める際に必要な手続きは何か?注意すべきことは?

もし、あなたの会社の取締役が辞めることになったとき、あなたはその手続きについて理解していますか?ほとんどの人が理解していません。

当然ですよね。頼りにしている取締役が辞めてしまうことは、誰しもが考えたくないことです。

その気持ちはわかりますが、辞めるためのきちんとした手続きをとらないと、新たな取締役の任命が遅れてしまいます。その結果、会社運営に支障をきたしてしまいます。

この記事では取締役が辞める際の必要な手続きについて紹介します。

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取締役が辞めるリスクはどの会社にもある

取締役は、会社との間で労働契約を締結しているわけではなく、株主総会によって選ばれ、会社との間で「委任契約」を結びます。これにより労働者では無くなるので、労働法の保護が無くなります。

労働者になると無くなる保護について詳しく紹介します。以下に示す権利を会社から受けられなくなります。

  1. 残業代
  2. 年次有給休暇
  3. 雇用保険
  4. 健康保険

労働者ではないので、どれだけ働いたとしても残業代は出ませんし、年次有給休暇もありません。また雇用保険の適用がないため突然解任されたとしても失業給付はもらえないことになります。

また業務中のケガにはふつうの健康保険を使うことができません。そのため原則として病院代は全額自己負担となります。

このように、取締役になったことで失われる保護は多く、その状態に不安を感じる人が多いのは自然ではないでしょうか。

取締役を辞めるときに取るべき手続き

取締役を辞める際は、「登記」変更手続きが必要です。以下に取締役が辞めるときに必要な手続きを紹介します。

  1. 辞める意思表示
  2. 登記申請書類の作成
  3. 変更登記申請を行う

上記の通りとなっています。「登記」というのは変更登記申請のことを指します。変更手続きの申請を行う前に、必ずこれらのステップを忘れずに行うようにしてください。

辞める意思表示

取締役は、辞める意思があることを確実に伝えるべきです。代表取締役を含め、取締役は会社と委任関係にあるため自分の都合のよいタイミングで辞めることができます。

意思表示に際しては、口頭よりも文書で残しておくのが一般的です。

登記申請書類の作成

辞める意思表示を会社側は確認したら、引き続き登記申請書類の手続きに入ります。法務局にて変更登記申請の手続きを行うのですが、司法書士に依頼することもできます。

時間がない人や、面倒な手続きを行いたくない人は司法書士に依頼する選択肢もあることを覚えておいてください。

登記申請書類を準備できたら、変更登記申請を行うために法務局に出向きましょう。

代表取締役が辞める場合は手続きに注意

代表取締役を務めている人が取締役を辞める場合には、手続きが異なります。というのも、代表取締役は前提条件として取締役の地位も持ってる必要があるからです。

そのため現在代表取締役を務めている人が、取締役を辞めると自動的に代表取締役の職も辞めることになってしまいます。(前提条件を満たせていないため)

また以下に示すとおり、取締役会の設置有無で辞める方法が変わりますので、注意が必要です。

取締役会を設置している会社の場合

取締役の辞任と同様に辞める意思表示をするだけで退任することができます。

取締役会を設置していない会社の場合

株主総会の決議により選定された場合は、定款の変更又は株主総会の決議を経て辞任をすることになります。

なぜ取締役が辞めるときに登記変更手続きが必要?

取締役が辞める場合になぜ登記変更手続きの申請が必要なのか紹介します。それは、代表取締役や取締役は、登記事項となっていることが関係しています。

登記簿謄本や、定款に名前が記載されていたり、取締役の人数が規定されているからです。「登記簿謄本」とは登記記録の電子データを印刷したものです。

場合によっては取締役の人数を減らすために定款を書き換えたり、辞任・就任が伴う場合には名前を変更する必要があります。

役員クラスの人間が辞任した場合には、登記簿謄本や定款の内容を変更する手続きが増えてしまうことも覚えておいてください。

取締役が辞めるときは取締役会を確認しよう

取締役会を設置している会社の場合には、取締役の最低人数である3人を下回らないことを注意する必要があります。

取締役会設置会社においては3人以上の取締役が必要です。取締役の員数を欠くことで、会社の運営が停滞してしまうことになってしまいます。

会社の運営が停滞してしまう状況を避けるため、「会社法」で以下のように規定されています。

任期満了や辞任によって取締役が退任するときに、その取締役が退任することにより法定の取締役数を満たさなくなってしまう場合は、後任者が就任するまで、取締役としての権利義務を有する

引用元:WIKIBOOKS 会社法 第346条1項

取締役が辞める手続きに関する3つの違い

取締役の辞任の手続きについて調べていると、以下3つの言葉が登場します。

  • 退任登記
  • 辞任登記
  • 変更登記

これらの違いに関しては、結論を言うと大きな違いはなく、呼び方が違っているだけです。役員クラスが退任・辞任した際に行う登記のこと全般を指します。

取締役が辞任をし、後任の取締役を就任させることは「就任登記」と言う場合もありますが、変更登記とセットで覚えておけば十分です。

使われている言葉がサイトによって違う場合があり、混乱してしまうかもしれませんが全て同じものだという認識で問題ありません。

取締役が辞めるためのより具体的な手続き

取締役が辞任し、新しい取締役が就任する場合における変更手続き申請に必要な書類を紹介します。以下に示す書類が手続きに必要となります。

  • 辞任届(印鑑を押印する)
  • 登記申請書
  • 就任承諾書(後任の取締役)
  • 住民票記載事項証明書or運転免許証等の写し(後任の取締役)

代表取締役ではない取締役が辞める場合、上記4つの書類があれば法務局にて変更手続きを申請することができます。

なお、辞任届に記載する辞任する取締役本人の署名は必ずしも必要ではありません。押印も、印鑑証明書も同様です。

会社側のみで辞任届を作成できてしまうシステムとなっています。ただ人道的には本人に納得してもらうためにも、これらは用意すべきです。

取締役を辞める際、議事録は必要か?

結論から言うと、取締役会や株主総会の議事録作成は会社法上要求されていません。また手続きの際にも、議事録の添付は不要です。

さらに税務上も、議事録を残しておく必要はありません。したがって、取締役辞任の議事録は全くもって不要です。

辞任というのは取締役が自ら辞めるというものです。そのため、株主総会や取締役会の承認の余地はありません。

なお、取締役辞任の議事録を作っている会社もあるようです。そのような会社は、議事録として残しておくことで、現在誰が取締役なのかわかりやすくしておこうという意図で作っているのではないかと思います。

取締役を解任する場合に必要な手続き

あなたが50%を超える会社の議決権をコントロールできる場合、株主総会の手続さえ踏めば、取締役を自由に解任ができることになります。

しかし解任はあくまで最後の手段です。まずは、当該取締役を説得して辞めてもらいましょう。「解任」の場合には、会社の商業登記簿謄本にその旨が記載されてしまい、見栄えがよくないということが理由となります。

それ以外にも解任では、以下の会社法により後に紛争に巻き込まれるリスクがあります。それは特定の取締役を解任する株主総会決議をしても、その招集手続に違法があれば、解任が無効となる可能性があるからです。

株主総会の「招集の手続」が法令・定款に違反している場合、株主や取締役は、株主総会決議の取消しの訴えを提起することができる

引用:WIKIBOOKS 会社法 第831条1項

まとめ

取締役が辞めるにあたり、必要な手続きを紹介してきました。取締役が辞める場合、代表取締役が辞める時と登記手続きや準備するものが異なります。

取締役が辞める場合、必要となる書類は以下の通りとなっています。

  • 辞任届(印鑑を押印する)
  • 登記申請書
  • 就任承諾書(後任の取締役)
  • 住民票記載事項証明書or運転免許証等の写し(後任の取締役)

代表取締役が辞める場合と、取締役が辞める場合とでは必要となる書類も変わってきますので、注意してください。もし手続きがわからなかったり面倒だと思ったら、司法書士に依頼するのも手段の1つですよ。