取締役を辞任したいのだけれど、辞任届はどのように書けばいいのか?取締役ともなれば、辞任届を書く機会はそうないと思います。慣れない分、書き方に様々な疑問を持ってしまいます。
取締役の辞任届のよくある疑問の一つに、辞任届に使用する印鑑は何を使えばいいのか?というものがあります。この記事では、取締役の辞任届に関する印鑑の疑問を解消します。
また、辞任届の基本的な書き方や、実際に辞任届を作成する際にはどのような書き方が有効なのか紹介しています。他にも、辞任に関するルールも解説しているので、悩んでいる方は参考にしてみて下さい。
取締役の辞任届の書き方の例
取締役として辞任届を書く機会はそうないと思います。むしろ、書いたことがないという人の方が多いのではないでしょうか。
ここでは、取締役を辞任する際に提出する辞任届の書き方の例を一つ紹介します。書き方がわからず悩んでいる方はこれから紹介する書式を参考にしてみて下さい。
辞任の理由については「一身上の都合」と明記しましょう。会社側から詳細な辞任の理由を書けと言われても、詳細を書く義務はありませんので「一身上の都合」で問題ありません。
書いている途中に動揺することもあるかと思いますが、大切な書類となるので落ち着いて、間違えないで記入するようにしましょう。
取締役の辞任届に押印する印鑑は?
取締役が辞任届を書く際に、氏名の横に印鑑を押印します。ですが、印鑑にも実印や会社印など様々な種類があり、どれを使っていいのか悩んでしまいますよね。
取締役の辞任届の際には、認印を使っても問題ありません。もちろん、実印を使うことも可能です。会社印は使用しないので、用意する必要はないです。
取締役の場合は、辞任届に使用する印鑑の種類に関して、「必ず実印を使用する」といった明確な規定はありません。ですので、実印ではなく認印を使っても問題はありません。
取締役の辞任届に使ってはいけない印鑑
取締役の辞任届に使用する印鑑について明確な規定はありませんが、辞任届に使用することのできない印鑑があるので、使用できない理由も併せて紹介します。
辞任届に使用できない印鑑は「シャチハタ」です。使用できない理由は、シャチハタに使用しているインクは、朱肉と比べて消えやすいものだからです。
そのため、長期間保存しなければいけない書類には使えません。また、印面が柔らかいため、力加減によって印影が変わってしまうことから、公的文書などの重要な書類には使用できないのです。
辞任届は、法務局で取締役変更の申請をする際に提出する重要な書類となります。ですので、シャチハタの使用はできません。
参考:法務省HP http://www.moj.go.jp/MINJI/minji69.html#32
取締役の辞任届に印鑑証明書が必要な場合
取締役の辞任届について調べていて「印鑑証明書」という言葉をよく目にします。取締役の辞任届は認印でもいいのに印鑑証明書は必要になるの?と疑問に感じる方もいるでしょう。
取締役の辞任届に印鑑証明書が必要となる場合は、取締役でも「代表取締役」が辞任届を書く際に個人の実印を使用した場合には印鑑証明書が必要になります。
参考:法務省HP 役員の登記(取締役・監査役の就任,代表取締役の辞任)添付書面の改正について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
取締役の辞任届の場合は、前述したとおり使用する印鑑の規定はありません。実印を使用する義務はないため、印鑑証明書を提出しなくてもよいのです。
仮に、取締役の辞任届に個人の実印を使用した場合であっても、印鑑証明書を提出する必要はありません。ですが、自身が必要と感じて印鑑証明書を提出したい場合には、提出しても構いません。
辞任届の印鑑に会社印や個人の実印が必要な場合
取締役の辞任届に使用する印鑑については明確な規定はありません。ですが、代表取締役の場合は辞任届に使用する印鑑の規定があります。
代表取締役の辞任届の場合は、会社印または個人の実印を使用しなければなりません。そして、個人の実印を使用した場合は印鑑証明書も提出する必要があります。
参考:法務省HP 役員の登記(取締役・監査役の就任,代表取締役の辞任)添付書面の改正について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
取締役と代表取締役とでは、辞任届に使用する印鑑の規定が違うので、混同しないように注意しましょう。
取締役の就任承諾書に実印を押印した場合の辞任届に使う印鑑
近年では、取締役の就任承諾書に個人の実印を押印する企業が増えてきています。就任承諾書に実印を使用したのだから、辞任届にも実印を使用するべきなのでは?という疑問もあるでしょう。
結論から言えば、実印を使用する必要はありません。就任と辞任、どちらの場合も登記申請をする必要がありますが、それぞれ手続きは全く違います。ですので、一緒に考える必要はありません。
例えば、取締役に就任する際には本人確認証明書が必要ですが、辞任の場合には本人確認証明書は必要ありません。このように、就任と辞任とでは手続きは違います。
ですので、就任承諾書に実印を使用したとしても、辞任届にまで実印を使わなければいけない義務はありません。
トラブルを避けるため辞任届の印鑑は実印が望ましい
前の項目までは、法務省で規定された印鑑の使用について解説してきました。会社にとって取締役という役職は大きな存在です。場合によっては、後になって辞任という行為を巡ってトラブルに発展する可能性もあります。
ここでは、トラブルの可能性を少しでも抑えるために、辞任届を書く際のより良い方法を紹介するので、辞任届を書く際の参考にしてみて下さい。
辞任届を書く際に、自身の氏名を書かなければいけません。パソコンで氏名を打ち込むのも問題ありませんが、直筆で署名をするのが望ましいです。直筆の署名の方が本人の辞任意思確認の効果が高いためです。
そして、印鑑は実印を使用し、印鑑証明書も添付することが望ましいでしょう。こちらも、認印を使用するより、本人の辞任意思確認の証明としての効果が高まります。
取締役の辞任の効力はいつから?
辞任を決意した場合、気になることが一つあります。辞任の意思表示が認められる「辞任の効力」はいつから発生するのでしょう?辞任届を出したはいいものの、きちんと受理されるか不安ですよね。
辞任の効力が発生する時期は2つあります。一つ目は、口頭で会社(代表取締役)に辞任の意思を伝えた時、二つ目は、辞任届が会社に到着した日です。
口頭でも問題はないのですが、辞任の意思表示が形として残る辞任届を提出するのが望ましいですね。どのみち、取締役変更の申請をする際に辞任届が必要となるので、辞任届を提出するのがベストでしょう。
何かしらの理由で会社側が受け取ってくれない可能性がある場合は、配達証明郵便と内容証明郵便で辞任届を会社宛てに送付しましょう。どちらも、辞任届を会社に送付した証拠となります。
取締役が辞任をする際の手続きは辞任届を提出するだけ?
辞任できる条件さえそろっていれば、辞任届を提出するだけで手続きは完了です。辞任できる条件に関しては、次の項目で解説します。
よくある疑問の一つに、辞任には代表取締役や株主総会の承認が必要なのでは?というものがあります。結論は、どちらの承認も必要ありません。会社(代表取締役)に辞任の意思表示をするだけで問題ないです。
また、会社側は取締役が辞任した日から2週間以内に取締役変更の申請をしなければなりませんが、中には取締役変更の申請をしない会社もあるそうです。
その場合は、会社側に取締役変更の申請をするよう催促する必要があります。それでも取締役変更の申請をしない場合は、法的手段を用いることも考慮するようにしましょう。
まとめ
取締役にまでなる人が辞任届を書く機会はそうないでしょう。なので、取締役の辞任届はどのような書式なのか悩んでいる人にとって、取締役の辞任届を書く際の手助けになってくれます。
取締役の辞任届には直筆での署名と実印での押印をして、さらに印鑑証明書を添付すれば、取締役の辞任の意思が明確となり辞任に関する後々のトラブルの可能性を抑えることができるため、参考にしてみて下さい。
辞任をしてからも、取締役変更の申請がなされているか確認する必要もあります。トラブルなく取締役としての任をまっとうしたいものですね。
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