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【意外と知らない】辞任とは違う取締役の退任とは?イチから徹底解説

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「取締役が辞任するのはなんとなくイメージできるのだが、退任は辞任とどう違ってくるのだろうか。退任のイメージがいまいち湧かないな・・・。」

  • 取締役が辞任の形で辞めるのは、なんとなく分かる
  • でも、取締役が退任の形で辞めるのはよく分からない

この記事では、取締役が退任するのは辞任とどう違ってくるのか、退任にはどういうものがあるのかを説明していきます。

取締役の辞任と退任の違いを知って、取締役がいなくなってしまう前に今後の方針を決めていきましょう。

取締役の辞任とは

まずは、取締役の退任の意味を正確に理解するために、それぞれの言葉の意味を説明します。

取締役の「辞任」とは、職務や役職を自分の意志で辞めることを言います。取締役は自分の意志でいつでも辞めることができます。

取締役には任期がありますが、任期に関係なく途中で辞任という形で辞めることができ、代表取締役に辞表を提出し、辞任を伝える手続きをとります。

取締役は一般の社員と同様にいつでも辞められますが、取締役は会社の経営に携わっていることから責任は大きく、辞任による損害賠償を請求される可能性もあるので注意です。

取締役の退任とは

https://www.pakutaso.com/20150543128post-5484.html

取締役の「退任」とは職務や役職を辞めることを言います。本人の意志に関わらず、取締役を辞めるということです。

取締役の「退任」については会社法で以下のように定められていて、取締役と会社の関係は、委任の関係にあるとされています。

株式会社と役員等との関係

第330条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

出典:http://home.lifeplan-japan.net/index.php?%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95330%E6%9D%A1

また取締役の「退任」は、以下の条件が発生した場合、会社との委任関係は終了し、取締役の地位を失います。

取締役の退任の条件
  • 辞任
  • 解任
  • 任期満了
  • 欠格事由の発生
  • 死亡
  • 後見開始の審判
  • 解散や破産手続きの開始

「辞任」と「解任」も取締役の「退任」の条件に含まれています。どちらも辞めることに変わりはないので、言葉の意味合いは同じとされているからでしょう。

取締役の辞任や退任とも違う解任

https://www.pakutaso.com/20170630153post-11850.html

取締役の「解任」とは、会社の意向で職務や役職を辞めることを言います。取締役は株主総会の決議によって解任ができます。このような場合、取締役自身の意志とは無関係なので解任となるのです。

また、取締役を解任する時の株主総会の決議要件は定款に別段の定めがない限り、普通決議となっています。

普通決議は、決議方法に特段の指定がない限り原則として、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数を必要とする普通決議によって決議されること(会社法309条1項より)

参考サイト:https://business.bengo4.com/practices/19

なお、取締役が正当な理由がなく解任された場合は、取締役は会社に対して損害賠償を請求できます。

取締役の辞任の違いその1「任期満了」の退任

https://www.pakutaso.com/20171218360post-14650.html

取締役には必ず任期が定められていて、その任期が満了した時には、取締役は任期満了の日から退任となります。

任期満了を迎えて退任する取締役は、退任登記が必要となります。経営に携わる重要な取締役が退任し、会社の運営に支障をきたさないためです。

なお取締役が退任となり、会社法や会社の定款に決められている取締役の人数を満たせなくなった場合、例外として取締役は権利義務取締役として取締役の地位に留まります。

権利義務取締役とは、任期満了または辞任によって退任した取締役で、次の役員が決まるまでその権利義務を有する人のことです。

取締役の退任任期はいつか

https://pixabay.com/ja/photos/%E9%9B%BB%E5%8D%93-%E6%89%8B-%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%81%99%E3%82%8B-%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88-428294/

取締役には任期があり、任期満了によって取締役は退任すると説明しました。任期については、会社の定款で定められていない場合、会社法で以下の基準が設けられています。

取締役の任期
  • 取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
  • 公開会社ではない会社は、10年まで伸長可能
  • 定款により短縮可能

出典:http://shiodome.co.jp/js/blog/614

取締役の任期は会社の都合によって、一律に決められるものではありません。就任した取締役の能力を見定めるために、株主に1、2年ごとに意見を聞く機会を設ける会社もあります。

取締役の辞任と同様に退任も登記が必要

https://www.pakutaso.com/20170450116post-11271.html

取締役が任期満了で退任するためには、退任登記が必要です。退任登記が必要と言われても、どのような手続きがあるのか具体的なイメージが湧きませんよね。退任登記には、以下の手続きがあります。

退任登記の手続き
  • 【登記の申請先】― 会社の本店の所在地を管轄する法務局に、登記を申請。
  • 【登記の申請期間】― 取締役の退任の日から2週間以内
  • 【登記の申請に必要な書類】― 登記申請書と登録免許税納付用台紙、登記すべき事項を保存したCDやUSBなど、添付書面。
  • 【添付書面について】― 退任したことを証明する書面。(辞任・解任・死亡等の事実を証する書面。代理申請の場合は委任状が必要)
  • 【機関の廃止をする場合】― 会社の定款変更の手続きによって、当該機関設置の定めを廃止し、その旨の登記をあわせて申請。会社法で義務づけされている機関の廃止は不可。
  • 【登録免許税の料金】― 申請件数1件につき、資本金1億円以下の会社は1万円。その他の会社は3万円。
  • 【登記申請の完了】― 申請から1週間~10日間程度が目安。
取締役の辞任に際して行う登記には何が必要?準備はどうする?「取締役が辞任をしたら、登記手続きは何をすればいいの?」と思っている担当者はいるのではないでしょうか? 社員の辞職はあっても、取締...

辞任との違いその2 取締役の「欠格事由の発生」で退任

https://www.pakutaso.com/20180515149post-16268.html

取締役が「欠格事由」に該当してしまった場合、取締役は退任することになります。「欠格事由」とは以下のものに該当します。

欠格事由に当たるもの
  • 【一】― 法人
  • 【二】― 成年被後見人、被保佐人
  • 【三】― 会社法若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、又は金融商品取引法、民事再生法、会社更生法及び破産法上の一定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 【四】― 三に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

出典:https://www.crear-ac.co.jp/shoshi-exam/kaisya331/

なお、破産者未成年者は欠格事由には当たりません。なかなか解釈の難しい点もあるので、専門家に相談した上で取締役に選任するかを決めましょう。

辞任との違いその3 取締役の「死亡」で退任

取締役が亡くなってしまった場合は、会社との委任関係が終了するので、取締役は退任となります。

なお、取締役に子供などの相続人がいる場合は、自動的に子供が取締役に選任されることはありません。株主総会を開き、取締役に子供が選ばれる手順が必要です。

取締役の地位の相続は相続人に自動的になされませんが、会社の相続は別です。

【株式会社や特例有限会社の場合】― 取締役が所有していた株式を相続人が所有します。1人だけの会社の場合、相続によって得られた株式を持つ相続人が取締役を決められます。

【個人事業主の場合】― 取締役とは話が変わりますが、個人事業主が事業をしていた場合、事業用財産を含めた個人資産の全てが相続人の対象です。

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辞任との違いその4 取締役の「後見開始の審判」

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取締役が「後見開始の審判」を受けた場合、会社との委任関係が終了するので、取締役は退任します。

「後見開始の審判」に当たるものは認知症が思い当たるでしょう。退任する取締役は高齢であることが多く、70歳や75歳などの団塊の世代の人たちが認知症になってしまうリスクが考えられます。

認知症が進んでしまっていた場合、自らの意志で辞めることすら、ままならなくなる場合があります。

なお、会社法で定められている「後見開始の審判」には「成年被後見人」「被保佐人」に当たる場合、取締役は退任となります。

「被補助人」が会社法では挙げられていないので、取締役に補助人が選任された場合は退任されません。

辞任との違いその5 「解散や破産手続きの開始」で取締役は退任

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取締役が勤めている会社が「解散」した場合、または「破産手続きの開始」を受けた場合は、取締役は地位を失うことになるので、自動的に退任となります。

会社を解散する時には、株主総会で清算人を選任します。清算人が決められなかった場合は、解散した時の取締役をそのまま清算人に選ぶことも可能です。

会社を解散するためには、以下の理由に該当する必要があります。

  • 会社の定款で決めた存続期間が満了する場合
  • 会社の定款で決めた解散の項目に該当した場合
  • 株主総会の決議があった場合
  • 合併や買収による会社の消滅や、破産、解散命令があった場合
  • 会社を最後の登記から12年間以上何も変更登記をしていない場合

取締役の辞任と退任の違いまとめ

https://www.pakutaso.com/20150558127post-5472.html

ここまで、取締役の「辞任」と「解任」について触れ、主に「退任」について説明していきました。

取締役の「辞任」は任期などによらず自分の意志で辞めることが主になります。一方で、「退任」については自分の意志に関わらず、

  • 任期満了
  • 欠格事由の発生
  • 取締役の死亡
  • 後見開始の審判
  • 解散手続きや破産の開始

これら5つの項目によって、取締役が辞めることがポイントです。

取締役の「辞任」と「退任」は同じような意味で使われることが多いですが、細かく見ていくと違う部分もありますので、会社によって取る手段も変わってきます。

この記事で紹介した例を1つでも参考にし、事前に取締役の「退任」について対策を考え、いざという時に困らない体制を整えましょう。

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